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易経 · No.05 · 水天需

水天需(第5卦)の卦辞、爻辞、変卦、伝統的解釈をまとめた易経資料。

目次 · 75
  1. 本卦
  2. 本卦原文
  3. 本卦の現代語訳
  4. 邵雍の解釈
  5. 傅佩栄の解釈
  6. 高島吞象の解釈
  7. 伝統的解卦
  8. 二・爻辞
  9. 初九
  10. 本卦と変卦
  11. 爻辞原文
  12. 爻辞の現代語訳
  13. 邵雍の解釈
  14. 傅佩栄の解釈
  15. 高島吞象の解釈
  16. 変卦原文
  17. 変卦の現代語訳
  18. 邵雍の解釈
  19. 伝統的解卦
  20. 二九
  21. 本卦と変卦
  22. 爻辞原文
  23. 爻辞の現代語訳
  24. 邵雍の解釈
  25. 傅佩栄の解釈
  26. 高島吞象の解釈
  27. 変卦原文
  28. 変卦の現代語訳
  29. 邵雍の解釈
  30. 伝統的解卦
  31. 三九
  32. 本卦と変卦
  33. 爻辞原文
  34. 爻辞の現代語訳
  35. 邵雍の解釈
  36. 傅佩栄の解釈
  37. 高島吞象の解釈
  38. 変卦原文
  39. 変卦の現代語訳
  40. 邵雍の解釈
  41. 伝統的解卦
  42. 四六
  43. 本卦と変卦
  44. 爻辞原文
  45. 爻辞の現代語訳
  46. 邵雍の解釈
  47. 傅佩栄の解釈
  48. 高島吞象の解釈
  49. 変卦原文
  50. 変卦の現代語訳
  51. 邵雍の解釈
  52. 伝統的解卦
  53. 五九
  54. 本卦と変卦
  55. 爻辞原文
  56. 爻辞の現代語訳
  57. 邵雍の解釈
  58. 傅佩栄の解釈
  59. 高島吞象の解釈
  60. 変卦原文
  61. 変卦の現代語訳
  62. 邵雍の解釈
  63. 伝統的解卦
  64. 上六
  65. 本卦と変卦
  66. 爻辞原文
  67. 爻辞の現代語訳
  68. 邵雍の解釈
  69. 傅佩栄の解釈
  70. 高島吞象の解釈
  71. 変卦原文
  72. 変卦の現代語訳
  73. 邵雍の解釈
  74. 伝統的解卦
  75. 三・卦例

本卦

六親納甲水天需
妻財Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄
兄弟Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄
子孫Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄  世
兄弟Jia Chen 甲辰▄▄▄▄▄▄▄
官鬼Jia Yin 甲寅▄▄▄▄▄▄▄
妻財Jia Zi 甲子▄▄▄▄▄▄▄  応

本卦原文

需は孚(まこと)あれば、光(おお)いに亨る。貞なれば吉なり。大川(たいせん)を渉(わた)るに利あり。
物おさなきは養わざるべからず。故にこれを受けるに需(じゅ)をもってす。需とは飲食の道なり。

本卦の現代語訳

需卦。捕虜を得る。大吉にして利あり、吉なる占い。大河を渡るに利あり。《象辞》に曰く:需の上卦は坎(雲)、下卦は乾(天)なり。雲が天上に集まり、時を待ちて雨を降らせるのが需卦の象である。君子はこの卦象を観て、宴飲して安楽に過ごし、時を待ちて動くべし。

邵雍の解釈

坎陥が前にあり、阻まれて進めず。大器晩成であり、収穫は後にある。小凶:この卦を得る者は、時機が未だ熟しておらず、辛抱強く待つ必要がある。急進すればかえって凶を見る。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 時機は未だ熟せず、辛抱強く待つべし。
  • 財運: 資本が集まらず、開業することができない。
  • 家宅: 無事平穏が幸せである。
  • 健康: 飲食を調節すれば、健康の回復が期待できる。

高島吞象の解釈

  • 戦争: 需とは待つことなり。雲が天上にあり、陰陽が未だ交わらず、戦うべき時ではない。《乾》は君子であり、また武人であり、主帥の言葉に属す。《坎》は酒なり、故に「飲食宴楽」と言う。これ軍を進めるに先立ち軍糧を備えることを言うなり。
  • 商業: 爻辞を味わうに、食糧の輸送や酒場の開業の業と思われる。「雲、天に上る」とは、雲が上にありながら雨が未だ降らないことであり、資本が未だ集まらないことを想わせる。故に《需》と言う。
  • 功名: 風雲の機会に未だ巡り合えず、なお待つべき時である。
  • 病気: 飲食で調養し、安楽に過ごして自らを慰めるべきである。長く経てば自然と癒える。
  • 妊娠: 男児を産む。

伝統的解卦

この卦は異卦(下乾上坎)が重なり合う。下卦は乾で剛健の意、上卦は坎で険難・陥入の意。剛をもって険に遭う。穏健妥協が宜しく、軽挙妄動すべからず。時を観て変化を待てば、進むところ必ず成功する。

  • 大象: 雲が天に昇れど雨は降らず、急進すべからず、時機を待つ象なり。
  • 運勢: 智者は時を待ちて行うべし。急進すればかえって凶険を見る。
  • 事業: 鍵は状況を見極め、辛抱強く待つことにある。事は平穏の中に成る。決して冒険すべからず、急いては事を仕損じる。自信に満ち、危険に臨んでも恐れず、中正を堅守すれば、必ず危機を好機に変えられる。有利な状況にあっても、常に備えを忘れてはならない。
  • 商売: 行動の初期は困難を伴う。多大な忍耐をもって条件と機会を創出し、公明正大に行動し、時を観て変化を待ち、願いを果たすべし。成功が近づいた時こそ、さらに慎重になるべきであり、九仞の功を一簣に欠くことなきよう。
  • 名声: 時機は未だ熟しておらず、辛抱強く待つべきである。この時は信念を固く持ち、世間の噂話に動揺せず、自己の充実に努め、然る後に信頼できる人の助けを借りれば成功に至る。
  • 婚姻: 慎重であるべきで、決して軽率に行動してはならない。次第に感情を育み、誠実と情熱をもって接すれば、途中に変動があっても、最終的には良好な結末を得られる。双方が「柔よく剛を制す」道理を理解すべきである。
  • 判断: 前途は明るく、雄大な志があり、しかもそれを実現できる。そのために実力を蓄え、時機を待つべし(大器晩成)。本人は強い意志と冷静な頭脳を持つ。前途には困難や障害が待ち受けているため、極めて慎重である必要があり、小人の誹謗中傷には平然と対処し、災禍を前にしても冷静沈着であるべき。軽挙妄動せず、冷静に進路を選ぶこと。謙虚で率直であれば、多くの人の助けを得て事業を成功に導く。時機が熟せば、必ずや順風満帆となる。

二・爻辞

初九

本卦と変卦

六親納甲水天需六親納甲水風井
妻財Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄父母Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄
兄弟Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄妻財Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄  世
子孫Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄  世官鬼Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄
兄弟Jia Chen 甲辰▄▄▄▄▄▄▄官鬼Xin You 辛酉▄▄▄▄▄▄▄
官鬼Jia Yin 甲寅▄▄▄▄▄▄▄父母Xin Hai 辛亥▄▄▄▄▄▄▄  応
妻財Jia Zi 甲子▄▄▄▄▄▄▄  応 ○ →妻財Xin Chou 辛丑▄▄           ▄▄

爻辞原文

初九
郊(こう)に需(ま)つ。恒(つね)を用うるに利あり。咎なし。

爻辞の現代語訳

初九:郊外にて待つ。旧来通り待ち続けるのが良く、危険はない。《象辞》に曰く:郊外にて待つとは、危険を冒して進んではならないということ。旧来通り待ち続けて危険がないのは、時機を待って動くことが正常な原則に反していないからである。

邵雍の解釈

平。この爻を得た者は、旧守するのが宜しく、そうすれば災禍はない。官職にある者は常職を守り、根気強く機会を待つべきである。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 長く待つ必要があり、恒(つね)を守ることが肝要である。
  • 財運: しばらく投資は見合わせるべき。貨物に損失はない。
  • 家宅: 郊外に居を構えるのがよい。
  • 健康: 静かに隠居して病を養えば、最終的には大きな障りはない。

高島吞象の解釈

  • 戦争: 爻に「需于郊(郊に需つ)」とあるのは、必ず郊外に陣営を敷くことである。《坎》は険であり難であり、進む先に必ず険難があるため、ゆえに《象》に「難に犯んで行かざるなり」と言う。初爻は卦の始まりであり、初の出軍であることを知る。「恒」と言い、「需」と言うのは、久しく待つのが宜しいと知るためである。恒にして後に進めば、必ず咎なからん。
  • 功名: 卦は初爻に属し、初めて世に出て名を求めることと知る。郊は草むらの地であり、「需于郊」とは野に退き居るのが宜しいということである。恒は久なり。「利用恒(恒を用いるに利あり)」とは、久しく待って後に利を見るべしということである。《象》に「難に犯んで行かざるなり」と言うは、その難に立ち入らぬことを言い、「常を失わざるなり」とは、その恒を守ることができるゆえに咎なきことを言う。
  • 商業: 行商の道は、恒久をもって利となす。「需于郊」とは、前途に険難があることを知り、しばらく貨物を郊外に積み置き、時を待って行くことである。《象》に「常を失わざるなり」と言うは、貨物に損失がないことを知るためである。
  • 病気: 「郊」とは田野の広々とした場所のことであり、野外に赴き、静かに隠居して病を養うのが宜しいということ。「無咎」とは、病に害がないことを言う。
  • 妊娠: 男児誕生。

変卦原文

井(せい)は、邑(ゆう)を改めて井(せい)を改めず。喪(うしな)うなく得(う)るなし。往くも来るも井々(せいせい)たり。汔(ほと)んど至らんとして、亦(ま)たいまだ井(せい)を繘(つりいと)せず、その瓶(つるべ)を羸(やぶ)る。凶なり。
上に困しむ者は必ず下に反(かえ)る。故にこれを受くるに井(せい)をもってす。

変卦の現代語訳

井卦。村落(邑)を改めるも、井戸(水井)は改めない。これでは何もしなかったのと同じである。人々は井戸の傍を行き来して水を汲むが、井戸が枯れて泥が溜まり、それを浚おうとせず、かえって釣瓶を壊してしまう。これは凶険の象である。『象辞』に言う:本卦の下卦は巽で巽は木、上卦は坎で坎は水である。水が下に浸透して樹木が育つ、これが井卦の象である。君子はこの卦象を観て、井戸水が人を養うことに倣い、人々に労働を促し互いに励まし合わせる。

邵雍の解釈

静かな水が源に通じ、運気は穏やかである。守るべきところを変えず、現状を維持する。小吉:この卦を得る者は、身を修め養生し、自然の成り行きに任せて泰然と処すのがよい。静かにしていれば利きあり、動けば凶となる。

伝統的解卦

この卦は異卦(下巽上坎)が重なり合う。坎は水、巽は木なり。樹木は水を得て蓬勃と成長する。人は井戸に頼って生活し、井戸は人が掘って成る。互いに養い合い、井戸は水をもって人を養い、久しく衰えず。人はこの徳に倣い、勤勉に自らを励ますべし。

二九

本卦と変卦

六親納甲水天需六親納甲水火既済
妻財Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄兄弟Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄  応
兄弟Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄官鬼Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄
子孫Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄  世父母Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄
兄弟Jia Chen 甲辰▄▄▄▄▄▄▄兄弟Ji Hai 己亥▄▄▄▄▄▄▄  世
官鬼Jia Yin 甲寅▄▄▄▄▄▄▄  ○ →官鬼Ji Chou 己丑▄▄           ▄▄
妻財Jia Zi 甲子▄▄▄▄▄▄▄  応子孫Ji Mao 己卯▄▄▄▄▄▄▄

爻辞原文

九二
沙(すな)に需(ま)つ。小(すこ)しく言(ものい)うことあり。終(ついに)に吉なり。

爻辞の現代語訳

九二:砂地にて待つ。少しばかりの小言(非難)はあるが、最後には吉となる。《象辞》に曰く:砂地にて待つとは、砂地は柔らかく進みにくく、時機を遅らせる過失が生じるが、その過失は自身にある。少しの過失はあるものの、最終的な結果はやはり良いものとなる。

邵雍の解釈

吉。この爻を得た者は、争いや訴訟の煩わしさに遭うが、寛厚な心で人に接すれば、弁明せずとも自ずから明らかになる。官職にある者は流言飛語に悩まされるが、最後には吉祥となる。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 流言による妨げがあるが、最後には吉祥となる。
  • 財運: 貨物の流通は滞るが、商業に実害はない。
  • 家宅: 口舌の争いあり。
  • 健康: 心懐を広く持てば、自ずから吉祥となる。

高島吞象の解釈

  • 戦争: 《坎》は隠伏となす。爻象を観るに、砂漠の地に兵を伏せるのが宜しいということ。あるいはスパイによって誤りを生じ、小さな挫折はあるが、最後には必ず吉となる。
  • 時運: 砂は水に従い少に従う、すなわち水の少ない場所であり、舟を通じることはできない。「需于沙(沙に需つ)」とは、時運が通じないことを言う。二爻の辰は寅にあり、また上は箕(き)に値す。《詩緯》に云う:「箕は天口にして、気を出すを主る」と。少し言あるとは、讒言のことである。然れども需(ま)ちてこれに待つ、ゆえに「終には吉」なり。
  • 妊娠: 男児誕生。

変卦原文

既済(きせい)は、小(すこ)し亨(とお)る。貞(ただ)しきに利あり。初めは吉にして終りには乱る。
物に過ぐることある者は必ず済(な)す。故にこれを受くるに既済(きせい)をもってす。

変卦の現代語訳

既済卦。亨通する。これは小事において吉となる貞卜である。初めは吉であるが、終わりには乱れる。《象伝》に言う:本卦の上卦は坎であり、坎は水;下卦は離であり、離は火である。水が上にあり火が下にあって、水が火を消すのが既済の卦象である。君子はこの卦象を観て、患いのない時に備え、未然に防ぐのである。

邵雍の解釈

救済が成し遂げられ、堅忍にして自重する。大より小へ、盛運を確保する。小吉:この卦を得る者は、事業が成り、成功の象であるが、盛極まれば必ず衰えることを戒め、退守するのを吉とし、さらに進むのは凶とする。

伝統的解卦

この卦は異卦(下離上坎)が重なったものです。坎は水、離は火であり、水と火が交わり、水が火の上にあるため、水の勢いが火の勢いを抑え込んで消火の大功が成し遂げられます。「既」はすでに、「済」は成るの意味です。既済とは、物事がすでに成功したものの、最終的には変動や異変が生じることを意味します。

三九

本卦と変卦

六親納甲水天需六親納甲水沢節
妻財Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄兄弟Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄
兄弟Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄官鬼Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄
子孫Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄  世父母Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄  応
兄弟Jia Chen 甲辰▄▄▄▄▄▄▄  ○ →官鬼Ding Chou 丁丑▄▄           ▄▄
官鬼Jia Yin 甲寅▄▄▄▄▄▄▄子孫Ding Mao 丁卯▄▄▄▄▄▄▄
妻財Jia Zi 甲子▄▄▄▄▄▄▄  応妻財Ding Si 丁巳▄▄▄▄▄▄▄  世

爻辞原文

九三
泥(ひじりこ)に需(ま)つ。寇(あだ)の至るを致す。

爻辞の現代語訳

九三:泥濘(ぬかるみ)にて待つ。賊を招き寄せることになる。《象辞》に曰く:泥濘にて待つとは、泥濘は汚れて環境が険悪であり、災難がすぐ近くにあるということ。自ら賊を招き寄せることになったが、厳重に謹んで臨機応変に対処すれば、傷を負うことはない。

邵雍の解釈

凶。この爻を得た者は、盗難の憂いを防ぎ、また水難を予防しなければならない。官職にある者は免職や左遷の恐れがある。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 上達は望みにくく、謹んで自己を保つべきである。
  • 財運: 流通せず、詐欺に注意せよ。
  • 家宅: 婚姻はまとまりにくく、成就しても怨むべき配偶者となる。
  • 健康: 外傷に注意せよ。

高島吞象の解釈

  • 戦争: 九三は内卦の終わりに居て外卦に迫る。《坎》は寇(あだ)であり、また災いでもあるため、ゆえに「災、外に在るなり」と言う。敵が来て侵入するのを寇が至ると言い、我が自ら敵を招き寄せるのを「寇を致すに至る」と言う。必ず謹んで自らを持し、まず不敗の地に立つべきである。
  • 商業: 「泥」とは拘泥である。商売においては流動的であるべきで、拘泥すべきではない。もしこだわりすぎて融通が利かず、内に疑念や忌避が生じれば、やがて外に変端が生じることになる。「慢蔵誨盗(財物を粗雑に蔵しておくと盗賊を招く)」とは、自ら災いを招くことであり、慎まないわけにはいかない。
  • 功名: 爻辞に「泥に需(まつ)」とあり、泥は水際の汚泥である。ここに滞まる者は、必ずや下流に落ちぶれ、上達を期することは難しくなる。破滅を免れるだけでも幸いという状態である。
  • 婚姻: 『易』において「寇(賊)」と「婚媾(婚姻)」は対比して語られ、寇であれば婚媾ではなく、すなわち怨みある配偶者となる。「泥に需(まつ)」は進まない象(かたち)であり、婚礼の事においては必ずや成就しない。
  • 妊娠: 男児が生まれる。

変卦原文

節(せつ)は亨(とお)る。苦節貞(てい)にすべからず。
渙とは離るるなり。物もって離るるに終るべからず。故にこれを受くるに節(せつ)をもってす。

変卦の現代語訳

节卦(せつか)。願い事は通る。ただし、節制を苦痛とするならば、その吉凶を占うことはできない。『象伝』に言う:本卦の下卦は兌(沢)、上卦は坎(水)である。沢の中に水が満ちているため、堤防を高く築いて防ぐ必要がある。これが節卦の象形である。君子はこの卦象を観て、政綱や制度を確立し、倫理の原則を定めるのである。

邵雍の解釈

操守と節度を保ち、適度なところでとどめること。時勢を推し量り、変化に融通を利かせること。小凶:この卦を得た者は、分相応に自守すべきであり、貪欲であってはならない。諸事において節制が必要であり、度を越してはならない。特に酒色を戒めるべきである。

伝統的解卦

この卦は異卦(下兌・上坎)が重なったものである。兌は沢、坎は水を表す。沢に水があるが、流れる量には限りがあり、多すぎれば沢の外へ溢れ出る。したがって節度が必要であり、ゆえに「節」と名付けられた。節卦と渙卦は相反し、互いに綜卦(裏表の卦)であり、交互に作用し合う。天地に節度があるからこそ常に新しくあり続け、国家に節度があるからこそ安泰であり、個人に節度があるからこそ完璧たり得るのである。

四六

本卦と変卦

六親納甲水天需六親納甲沢天夬
妻財Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄兄弟Ding Wei 丁未▄▄           ▄▄
兄弟Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄子孫Ding You 丁酉▄▄▄▄▄▄▄  世
子孫Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄  世 × →妻財Ding Hai 丁亥▄▄▄▄▄▄▄
兄弟Jia Chen 甲辰▄▄▄▄▄▄▄兄弟Jia Chen 甲辰▄▄▄▄▄▄▄
官鬼Jia Yin 甲寅▄▄▄▄▄▄▄官鬼Jia Yin 甲寅▄▄▄▄▄▄▄  応
妻財Jia Zi 甲子▄▄▄▄▄▄▄  応妻財Jia Zi 甲子▄▄▄▄▄▄▄

爻辞原文

六四
血に需(ま)つ。穴より出(い)ず。

爻辞の現代語訳

六四:はじめは血の海に滞留するが、のちに危険な落とし穴から脱出する。『象伝』に言う:血の海に滞留し、予期せぬ運命の到来を座して待つ。六四の爻は九五の爻の威光に脅かされているため、強者に従い、そのなすがままになるしかない。

邵雍の解釈

平。この爻を得る者は、悪運が次第に遠ざかり、平穏を取り戻す。官吏は身を全うして退職できる。国学を修める者は、身を立てて名を成すことができる。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 心力を尽くし切って初めて、頭角を現すことができる。
  • 財運: 鉱業への投資は、利益を得る見込みがある。
  • 家宅: 引っ越しの慶事あり。
  • 健康: 気血を調養し、陰陽のバランスを調和させる。

高島吞象の解釈

  • 戦争: 四は『坎』の始まりであり、『坎』は血卦である。「血に需(まつ)」とは、戦いにおいて傷を負うことである。「穴より出づ」とは、傷を負いながらもなお危険から脱出できることである。その危険を脱する理由は、強硬に争うことにあるのではなく、順従に聞き従うことにあり、従順であれば害を免れることができる。
  • 家宅: 血に需(まつ)と言い、穴より出づと言うのは、幽谷を出て喬木へと移る象(きざし)がある。従順なる者は家道が順調であり、吉である。
  • 商業: 爻辞を吟味するに、おそらく鉱物資源の採掘のことである。「穴より出づ」とは、すなわち利益を得ることである。
  • 功名: いわゆる心血を注ぎ尽くして初めて人の上に立てるということであり、ゆえに『需』の「血に需まり穴より出づ」の象がある。
  • 病気: 吐血の症と思われるため、必ず気血を調養し、陰陽を和順に保てば、自ずから危険を脱して生き延びることができる。
  • 妊娠: 男児が生まれる。多少の困難や危険はあるものの、最終的には安産となる。

変卦原文

夬(かい)は、王庭(おうてい)に揚(あ)ぐ。孚(まこと)あって号(さけ)ぶ、厲(あやう)きことあり。告(つ)ぐること邑(ゆう)よりす。戎(じゅう)に即(つ)くに利あらず。往くところあるに利あり。
益して止めなければ、かならず決(決壊)す。ゆえにこれを受けるに夬をもってする。

変卦の現代語訳

夬の卦。王庭にて音楽を奏でて舞っている。ある者が「敵の来襲あり」と大声で告げる。邑中から「出撃は不利、厳戒態勢を整えよ」と命令が伝わる。この爻を得れば、外への旅行は吉となる。《象辞》に言う:本卦の上卦は兌で、兌は沢;下卦は乾で、乾は天。すなわち沢の水が上昇して大地を潤すのが夬の卦象である。君子はこの卦象を見て、恵みを下に施し、自らの功績に傲ることなく、またこれを戒めとする。

邵雍の解釈

排除し決断するには、剛毅果断でなければならない。始めは吉なれど終わりは凶、慎んで自重せよ。凶:この卦を得た者は、大運が過ぎ去ろうとしており、困難が訪れる兆しがあるため、警戒を怠らず、言動を慎むべきである。

伝統的解卦

この卦は異卦(下乾上兌)が重なったものである。乾は天にして健、兌は沢にして悦。沢の気が上昇して雨となり、雨が大地に注いで万物を潤す。五陽が一陰を取り除くことは難しくなく、決(取り除く意)すればよいため、名づけて夬(かい)という。夬とは決のことである。

五九

本卦と変卦

六親納甲水天需六親納甲地天泰
妻財Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄子孫Gui You 癸酉▄▄           ▄▄  応
兄弟Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄  ○ →妻財Gui Hai 癸亥▄▄           ▄▄
子孫Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄  世兄弟Gui Chou 癸丑▄▄           ▄▄
兄弟Jia Chen 甲辰▄▄▄▄▄▄▄兄弟Jia Chen 甲辰▄▄▄▄▄▄▄  世
官鬼Jia Yin 甲寅▄▄▄▄▄▄▄官鬼Jia Yin 甲寅▄▄▄▄▄▄▄
妻財Jia Zi 甲子▄▄▄▄▄▄▄  応妻財Jia Zi 甲子▄▄▄▄▄▄▄

爻辞原文

九五
酒食(しゅし)に需(ま)つ。貞(てい)なれば吉。

爻辞の現代語訳

九五:酒宴の場で待つ。これは吉をもたらす占いの兆しである。『象伝』に言う:酒食があることは吉の兆しである。なぜなら九五の爻は上卦の中位に位置し、その人が中正の徳を備えていることを象徴しており、自ずから善を選んで居り、優雅で寛容な境遇にあるからである。

邵雍の解釈

吉。この爻を得る者は、物産が豊かになり、衣食に不自由せず、また婚姻の喜びがある。官吏は俸禄が豊かになる。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 功を成し名を遂げ、宴楽を楽しむことができる。
  • 財運: 飲食業への投資は、利益を得ることができる。
  • 家宅: 婚姻は適正でふさわしいものとなる。
  • 健康: 飲食による養生。

高島吞象の解釈

  • 戦争: 爻辞に「酒食に需(まつ)」とあるのは、勝利を収めて帰還し、恩賞を与え勲功をねぎらう象である。ゆえに「貞なれば吉」と言う。
  • 功名: これぞ鹿鳴(宴会)を楽む時であり、吉である。
  • 商業: 五は互卦で『離』を含み、辰は午にあり、上は柳宿に当たる。付随する星には酒旗や外厨があり、宴享や飲食を司る。したがって、酒館や食糧などの事業であることが分かる。また『坎』は人であり、納めることであるから、その商売は必ずや輸入に余剰があると分かる。ゆえに「貞なれば吉」である。
  • 婚姻: 『需』の四爻が変ずれば『泰』となる。『泰』の六五には「帝乙妹を帰(とつ)がす、以て祉あり元吉なり」とあり、また九三には「食(は)むにおいて福あり」とある。これこそ「酒食に需(まつ)」の意味である。「福あり」、ゆえに「貞なれば吉」となる。『象伝』に「中正なるを以てなり」とあるのは、婚姻の正しさを得ていることを言っている。
  • 妊娠: 男児が生まれる。子を得れば必ず酒宴を設けるのは古今東西同じであり、ゆえに爻に「酒食に需(まつ)」と言う。

変卦原文

小(しょう)往き大(だい)来(きた)る。吉にして亨(とお)る。
履んで然る後に安し。故にこれを受くるに泰(たい)をもってす。

変卦の現代語訳

泰卦。小往き大来たる、微より盛に由る、吉利、亨通なり。『象辞』に曰く:天地交わるは泰。君子もって天地位を裁成し、天地の宜を左右し、もって左右民す。

邵雍の解釈

小往き大来たる、通泰吉祥なり。泰極まれば否に転ず、事守るに固きに宜し。吉:この卦を得る者は、否極まりて泰来たり、鴻運当頭にして諸事みな順調なり。ただ楽極まりて悲しみ生じるを防ぐべし。

伝統的解卦

この卦は異卦(下乾上坤)が重なり合ったもので、乾は天であり陽、坤は地であり陰です。陰陽が交感し、上下が通じ合い、天地が交わることで万物が盛んに生成します。逆に交わらなければ凶となります。万事万物は対立し、変化し、盛極まれば衰え、衰極まれば盛んに転じるため、時に応じて変化するものが「泰(通)」となります。

上六

本卦と変卦

六親納甲水天需六親納甲風天小畜
妻財Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄  × →兄弟Xin Mao 辛卯▄▄▄▄▄▄▄
兄弟Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄子孫Xin Si 辛巳▄▄▄▄▄▄▄
子孫Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄  世妻財Xin Wei 辛未▄▄           ▄▄  応
兄弟Jia Chen 甲辰▄▄▄▄▄▄▄妻財Jia Chen 甲辰▄▄▄▄▄▄▄
官鬼Jia Yin 甲寅▄▄▄▄▄▄▄兄弟Jia Yin 甲寅▄▄▄▄▄▄▄
妻財Jia Zi 甲子▄▄▄▄▄▄▄  応父母Jia Zi 甲子▄▄▄▄▄▄▄  世

爻辞原文

上六
穴に入る。速(まね)かざるの客三人あって来(きた)る。これを敬(つつし)むときは終(つい)に吉なり。

爻辞の現代語訳

上六:洞窟のような住居に入ると、三人の招かれざる客がやって来る。彼らを敬意を持って迎え入れれば、最終的には吉となる。『象伝』に言う:招かれざる客が来たが、敬意を持ってこれをもてなせば、最終的には吉である。全卦において陽剛が過剰であり、陰柔を圧迫しているが、上六は陰の位にあり、その位置が適切であるため、驚きはあるものの危険はなく、大きな損失には至らない。

邵雍の解釈

平。この爻を得る者は、慎み深くあれば憂いは自然と解消される。官吏には昇進の機会があるが、讒言や邪悪な輩を警戒する必要がある。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 険阻な地に拠って自守し、和解をもって尊しとなす。
  • 財運: 適正な価格であれば売却すべきで、死蔵してはならない。
  • 家宅: 家を治める道があり、少男(末息子)にとっては吉である。
  • 健康: 病状は極めて危険であり、万が一の幸運をあてにしてはならない。

高島吞象の解釈

  • 戦争: 上は『坎』の極みであり、「穴」とは坎の険難を指す。「穴に入る」とは、険阻な地形に拠って自守することである。「三人」とは内卦の三陽を指し、「速(まね)かざる」とは、招かれずして自ら来ることであり、敵兵が三方から囲んでくることを言う。すでに危険な地に入っている以上、再び戦うべきではなく、礼を尽くして接し、これと和解すべきである。ゆえに「これを敬すれば、終には吉なり」と言う。
  • 商業: 《坎》は労卦であり、万物の帰する所であるため「穴に入る」と言う。穴とは窟であり、貨物を貯蔵する地を謂う。「三人来たる」とは買客のことであり、敬礼をもってこれに接すれば、値が合えば売れるため「終には吉」となる。しかし《坎》は水穴であり、貨物を蔵するに宜しからず、幸いにして客が来てすぐに売れるため、「位に当たらざるも、未だ大いには失わざるなり」と言う。
  • 家宅: この家は必ずや幽暗で湿気が多いが、幸いにして三面から陽光が差し込むため、吉と言う。
  • 婚姻: 《需》の六爻変ずれば《小畜》となり、《小畜》の上九に「婦、貞にして厲(あやう)し」とある。婦と称するのは既に嫁いだ女のことであり、ゆえに「位に当たらず」と言い、その「貞にして厲し」なるをもって「終には吉」となる。「穴に入る」は、生きては室を同にし死しては穴を同にするの義がある。「三人来たる」とは、仲人のことである。
  • 病気: 穴に入ると言うは凶象である。「終には吉」と言うは、終えてのちに吉となるもので、病においてはやはり凶である。
  • 妊娠: 男児が生まれる。「終には吉」と言うは、必ずや少男にして初めて吉となる。

変卦原文

小畜は亨(とお)る。蜜雲(みつうん)して雨ふらず、わが西郊(せいこう)よりす。
比とは比しむなり。比しめば必ず畜(たくわ)うるところあり。故にこれを受くるに小畜(しょうちく)をもってす。

変卦の現代語訳

小畜卦。吉。西の郊外に濃雲が立ち込めるが、まだ雨は降らない。《象辞》に曰く:上卦は巽、巽は風。下卦は乾、乾は天。和風が地を払い、草木がなびいて生き生きと繁茂する、これが小畜の卦象である。君子はこの卦象を観て、万物を促し育む和風に倣い、自らの徳行を励まし、徳教を推し進める。

邵雍の解釈

力量が薄弱で、前進が阻まれる。才能を隠して時を待ち、忍耐強く進めるべき。小凶:この卦を得る者は、力量が弱く、運勢が変転しやすいため、実力を蓄えて静かに時機を待つのが宜しい。急進すれば危険があり、何事も忍耐強く進める必要がある。

伝統的解卦

この卦は異卦(下乾上巽)が重なったもので、乾は天、巽は風を表す。風が和らぎ雨が順調で、穀物が育つことをたとえ、ゆえに卦名は小畜(蓄)となる。力量に限りがあるため、一定の段階まで発展するのを待ってから初めて大いに為すことができる。


三・卦例

このサイトの易経占いツールで卦を立て、この卦を実例の中で確認できます。梅花心易や小六壬も利用できます。

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