易経 · No.06 · 天水訟
天水訟(第6卦)の卦辞、爻辞、変卦、伝統的解釈をまとめた易経資料。
本卦
| 六親 | 納甲 | 天水訟 |
|---|---|---|
| 子孫 | Ren Xu 壬戌 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 妻財 | Ren Shen 壬申 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 兄弟 | Ren Wu 壬午 | ▄▄▄▄▄▄▄ 世 |
| 兄弟 | Wu Wu 戊午 | ▄▄ ▄▄ |
| 子孫 | Wu Chen 戊辰 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 父母 | Wu Yin 戊寅 | ▄▄ ▄▄ 応 |
本卦原文
訟は孚(まこと)ありて塞がる。惕(おそ)れて中(ちゅう)すれば吉。終えんとすれば凶。大人(たいじん)を見るに利あり。大川(たいせん)を渉るに利あらず。
飲食すれば必ず訟(うった)えあり。故にこれを受くるに訟(しょう)をもってす。
本卦の現代語訳
訟卦。利(捕虜)を得るに良いとはいえ、警惕し警戒すべきである。その事は中途では吉であるが、のちには凶となる。占ってこの爻を得れば、貴族や王公に見えるに利あり、大河を渡るには利あらず。《象辞》に言う:上卦は乾、乾は天。下卦は坎、坎は水。天と水は隔絶し、流れる方向が背き合っており、事理が食い違っている。これが訟卦の卦象である。君子はこの卦象を観て、争訟を根絶することを念頭に置き、事を謀るはじめに慎重のうえにも慎重を期すのである。
邵雍の解釈
天は高く水は深し、遠くに達して親しまず。謀りを慎み退いて守り、畏れ敬えば凶なし。凶:この卦を得る者は、心身が安まらず、事多くして滞り、他者との争い訴訟が多し。身を修め養性し、慎重に処事すべきなり。
傅佩栄の解釈
- 時運: 功名は阻まれ、敵を作るは宜しからず。
- 財運: 始めは慎重にすれば、終わりに利益を得るべし。
- 家宅: 君子は必ず淑女を求むべし。
- 健康: 予防は治療に勝る。
高島吞象の解釈
- 戦争: 天は《乾》なり。《乾》は剛武なり。水は《坎》なり。《坎》は寇盗なり。故に訟事を主り、また軍事を主る。両軍相違し、以て相戦うに至る。而してその相違する所以のものは、未だ戦わざるの始めに在り。故に「君子作事謀始(君子は事を作すに始めを謀る)」と言う。即ち孔子の慎戦の旨なり。
- 商業: 《訟》卦の内互は《離》なり。《離》は資斧なり。外互は《巽》なり。《巽》は商なり。営商の義これにあり。営商の道、相合えば成り、相違えば敗る。且つ《乾》は始となり、《坎》は謀となる。故に「作事謀始」と言う。その始を良くすれば、乃ちその終を謀るべく、ここに営商は久大なるを得て吉なり。
- 功名: 《乾》は健なり、《坎》は険なり。これ《乾》進まんと欲して坎険に陥る。これ功名の難き所以なり。
- 婚姻: 婚姻とは、両姓の好みを合わせて成るものにして、相合うありて相違うなきなり。男に家あり、女に室あり、人倫の始めなり。故に君子は必ず淑女を求む。これ「謀始」の道なり。
- 病気: 病の始めて起こるや、必ず陰陽の不和に由る。不和なれば行い違い、行い違えば即ち疾と成る。これを治する者は、宜しく先ずその始を慎むべし。
- 妊娠: 男児誕生。
- 遺失物: この物は高き処にあり、水中に墜落して再び得べからず。恐らくは大いに口舌の争いあり。
伝統的解卦
この卦は異卦(下坎上乾)が相重なる。需卦と相反し、互いに「綜卦」なり。乾は剛健、坎は険陥。剛と険、健と険、互いに反対し、必ず争訟を生ず。争訟は善事にあらず、務めて慎重に戒懼すべし。
- 大象: 乾天は上に昇り、坎水は下に降り、相背いて行きて訟(うったえ)を起こす。
- 運勢: 事志と違ひ、万事順調ならず。小人の加害あり、陥穽を防ぐべし。
- 事業: 初めは順調にして利あり。継いで挫折あり、必ずや警惕し、慎みに慎むべし。己の見に固執すべからず。訴訟紛争の争論に介入するを極力避けるべし。これよりは退いて人に譲り、和解を求め、正理に安んずれば、不慮の災いを免るべし。争訟に陥れば、たとえ勝つとも最後には失うものあり、得る所は失う所に及ばず。
- 商売: 和気財を生じ、損して得取れ。不義の財を求むるなかれ。商業交渉は公正公平、互利の原則を堅持し、衝突を極力避けるべし。しからば好結果あらん。
- 名声: 不利なり。自己にいまだ競争の実力欠く。純正を堅守し、隠忍自励、自強自勉し、決して強がるなかれ。地位ある人の助けに頼り、早く難関を渡るべし。
- 婚姻: 意に満たざるも、似合いの夫婦なり。互いに理解し合えば悪からず。双方は温和なる方法を以て生活を処理すべし。
- 判断: 勝ちを争い強きを好み、現状に安んぜず。運命を変え他人を追い越さんと奮闘す。頭脳明晰、反応敏捷にして貴人の助けあり。されど持続の毅力に欠け、鋒芒を現しやすく、他人の怒りを買い訴訟の災いを招きやすし。現実を認め、自然に従い、足るを知りて止まるべし。教訓を受け入れ、戒めとせば、功成り名遂げるべし。
二・爻辞
初六
本卦と変卦
| 六親 | 納甲 | 天水訟 | 六親 | 納甲 | 天沢履 |
|---|---|---|---|---|---|
| 子孫 | Ren Xu 壬戌 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 兄弟 | Ren Xu 壬戌 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 妻財 | Ren Shen 壬申 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 子孫 | Ren Shen 壬申 | ▄▄▄▄▄▄▄ 世 |
| 兄弟 | Ren Wu 壬午 | ▄▄▄▄▄▄▄ 世 | 父母 | Ren Wu 壬午 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 兄弟 | Wu Wu 戊午 | ▄▄ ▄▄ | 兄弟 | Ding Chou 丁丑 | ▄▄ ▄▄ |
| 子孫 | Wu Chen 戊辰 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 官鬼 | Ding Mao 丁卯 | ▄▄▄▄▄▄▄ 応 |
| 父母 | Wu Yin 戊寅 | ▄▄ ▄▄ 応 × → | 父母 | Ding Si 丁巳 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
爻辞原文
初六
事とするところを永くせず。小(すこ)しく言(ものい)うことあれども、終(つい)に吉なり。
爻辞の現代語訳
初六:事を行うに持続性がなく、わずかに過失があるが、最後には吉となる。《象辞》に曰く:事を行うに持続性がないとは、訴訟を長引かせることができないことを示す。わずかに過失はあるものの、争う双方の是非曲直は最終的に明らかになる。
邵雍の解釈
吉。この爻を得る者は、是非が生じるが最後には吉となる。病人は薬なしで癒える。官職にある者は誹謗を受けるが、弁明せずとも自ずから明らかになる。
傅佩栄の解釈
- 時運: 長く困窮することなく、最後には名を成す。
- 財運: 速やかに売却すれば、口舌の災いは障りとならない。
- 家宅: 多少の論争はあるが、是非を明らかにすればそれで良い。
- 健康: 初期の病は癒えるが、長引く病は凶である。
高島吞象の解釈
- 戦争: 訴訟は二人の争い、戦争は二国の争いである。故に終局の訴訟と武力の乱用は、いずれも凶事である。爻に「その事を永くせず」とあるのは、一戦して勝ち、再び武を汚さないことを謂う。聖人がやむを得ず兵を用いるのであり、好戦的ではないことが見て取れる。
- 病気: 初爻は病の初期である。「その事を永くせず」とは、長くかからずに癒えることを謂う。故に「吉」と曰う。長引く病は凶である。
- 功名: 初爻は卦の始まりに居り、出世を求めて歩み始めたばかりである。「その事を永くせず」とは、長く人の下に困窮しないことを謂う。故に「終には吉」と曰う。
- 商業: 爻に「その事を永くせず、小だてに言あり」とあるのは、商人が貨物を販売する際、速やかに売り払うのが宜しく、売買において多少の言い争いがあっても大した障りにはならないことを謂う。故に「終には吉」と曰う。
変卦原文
虎の尾を履(ふ)む、人を咥(くら)わず。亨(とお)る。
物畜えられて然る後に礼あり。故にこれを受くるに履(り)をもってす。
変卦の現代語訳
履卦。虎の尾を踏むような危うさがあっても、虎は人を噛まず、吉となります。『象辞』に言う:本卦の上卦は乾(天)、下卦は兌(沢)であり、上には天、下には沢があり、尊卑の別が明らかである。これが履卦の象である。君子はこの卦象を見て、上下の秩序や尊卑を弁え、人々に規律を守らせ、本分を尽くさせるのである。
邵雍の解釈
歩みが不安定で、困難や危険が伴います。謙虚に自らを重んじ、慎んで主人に仕えるべきです。小凶:この卦を得たときは困難な時期であり、多くの障害や不順があります。すべての事において急進は禁物で、順序を追って進み、慎重に行動しなければなりません。
伝統的解卦
この卦は異卦(下卦が兌、上卦が乾)が重なったものです。乾は天、兌は沢であり、天を君主、沢を庶民に例えています。原文には「虎の尾を踏むも、人を咥(か)まず」とあります。そのため、結果は吉となります。君主は上に、民は下にあり、それぞれがしかるべき位置にあります。兌の柔軟さが乾の剛強さに遭うため、踏むところは危険を伴います。「履」は実践を意味し、卦の義は地に足をつけ、着実に前進・向上することを意味します。
二九
本卦と変卦
| 六親 | 納甲 | 天水訟 | 六親 | 納甲 | 天地否 |
|---|---|---|---|---|---|
| 子孫 | Ren Xu 壬戌 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 父母 | Ren Xu 壬戌 | ▄▄▄▄▄▄▄ 応 |
| 妻財 | Ren Shen 壬申 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 兄弟 | Ren Shen 壬申 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 兄弟 | Ren Wu 壬午 | ▄▄▄▄▄▄▄ 世 | 官鬼 | Ren Wu 壬午 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 兄弟 | Wu Wu 戊午 | ▄▄ ▄▄ | 妻財 | Yi Mao 乙卯 | ▄▄ ▄▄ 世 |
| 子孫 | Wu Chen 戊辰 | ▄▄▄▄▄▄▄ ○ → | 官鬼 | Yi Si 乙巳 | ▄▄ ▄▄ |
| 父母 | Wu Yin 戊寅 | ▄▄ ▄▄ 応 | 父母 | Yi Wei 乙未 | ▄▄ ▄▄ |
爻辞原文
九二
訟に克(か)たず。帰りて逋(のが)る。その邑人(ゆうじん)三百戸にして、眚(わざわい)なし。
爻辞の現代語訳
九二:訴訟に敗れ、帰ってその采邑に走り、三百戸の奴隷が逃亡する。大きな災いはない。《象辞》に曰く:訴訟に敗れて逃げ帰るのは、反訴を避けるためである。小官が大官と争えば、敗れて帰るのは勢いの必然である。幸いにも災難はそれ以上拡大しない。
邵雍の解釈
平。この爻を得る者は、無事平安である。官職にある者は食邑の栄誉を得る。
傅佩栄の解釈
- 時運: 退いて隠居すれば、害がないことを保てる。
- 財運: わずかな損失はあるが、深く憂慮する必要はない。
- 家宅: 婚姻には宜しくない。
- 健康: 出先で病に罹り、家に帰って養生する。
高島吞象の解釈
- 戦争: 二は五に応じ、五は尊位にあり、大国である。二は勢い弱く、克てないことを自覚している。《坎》は隠伏となるため、「帰りて逃る」のである。三百戸は小邑であり、二が既に逃げ帰り、五もまた戦いをやめたため、三百戸は災いを免れることができる。
- 商業: 九二の爻辰は寅にあり、上は尾箕斗に値し、天弁の星に近く、市場や門の象があり、営商の象である。二が変ずれば《否》となり、《否》は敗北であるため「克たず」と曰い、消耗敗退の象がある。外互は《巽》であり、《巽》は帰るとなるため「帰りて逃る」と曰う。三百は小数を表すため「眚なし」と曰う。
- 病気: 爻象を観るに、必ずや外で病を得るため、速やかに帰宅して治療するのが宜しい。病人が帰宅すれば、病気が感染することはないため「邑人眚なし」と曰う。
- 功名: 爻に「克たず」とあるのは、一時的に名を成し得ないことであり、退いて隠居すれば害はない。
- 婚姻: 二と五は敵対し、尊卑が釣り合わないため、婚姻は取りやめるのが宜しく、そうすれば災いはない。
- 妊娠: 男児が生まれるが、育たない恐れがある。
変卦原文
否の人にあらざる、君子の貞(てい)に利あらず。大往き小来(きた)る。
泰とは通ずるなり。物はもって終に通ずべからず。故にこれを受くるに否(ひ)をもってす。
変卦の現代語訳
否卦。小人に隔てられ、これは君子にとって不利な占いで、事業も盛んから衰へと向かう。『象辞』に言う:天地が隔たって交わらず、万物が閉塞して通じないのが、否卦の象である。君子はこの卦象を観て、国家の政治が閉塞している時には、隠居して仕官せず、倹約を尊んで災難を避け、禄利を栄誉とすべきではないと考える。
邵雍の解釈
大往き小来たる、閉塞して通じず。否極まれば泰来たる、徳を修めて難を避く。凶:この卦を得るは、万物閉塞の象、上下和合せず、諸事順調にいかず。何事も耐え忍ぶべきであり、時運が好転するのを待って行動を起こすべきである。
伝統的解卦
この卦は異卦(下坤上乾)が重なり、その構造は泰卦と反対である。陽気が上昇し、陰気が下降して、天地が交わらず、万物が通じない。これらは互いに「綜卦」であり、泰が極まれば否となり、否が極まれば泰が来たるという、互いに因果となることを示している。
三六
本卦と変卦
| 六親 | 納甲 | 天水訟 | 六親 | 納甲 | 天風姤 |
|---|---|---|---|---|---|
| 子孫 | Ren Xu 壬戌 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 父母 | Ren Xu 壬戌 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 妻財 | Ren Shen 壬申 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 兄弟 | Ren Shen 壬申 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 兄弟 | Ren Wu 壬午 | ▄▄▄▄▄▄▄ 世 | 官鬼 | Ren Wu 壬午 | ▄▄▄▄▄▄▄ 応 |
| 兄弟 | Wu Wu 戊午 | ▄▄ ▄▄ × → | 兄弟 | Xin You 辛酉 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 子孫 | Wu Chen 戊辰 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 子孫 | Xin Hai 辛亥 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 父母 | Wu Yin 戊寅 | ▄▄ ▄▄ 応 | 父母 | Xin Chou 辛丑 | ▄▄ ▄▄ 世 |
爻辞原文
六三
旧徳に食(は)む。貞(てい)なれば厲(あやう)けれども終(つい)に吉なり。或いは王事に従えば成すなし。
爻辞の現代語訳
六三:先人の遺業に頼って暮らす。占えば険難の兆しであるが、最後には吉となる。しかし、もし王事に奉仕して利禄を求めようとすれば、成功することはない。《象辞》に曰く:先人の遺業に頼って暮らすとは、六三の爻象が九四の下に居ることを示し、先祖の恩恵にすがることで初めて吉を得るからである。
邵雍の解釈
平。この爻を得る者は、現状を維持するのが宜しく、そうすれば災難はない。官職にある者は職守を固く守るのが宜しく、昇進は望めない。
傅佩栄の解釈
- 時運: 旧業を慎んで守るのが良く、仕官を求めても成らない。
- 財運: 家産を固守すれば、最後には利益を得られる。
- 家宅: 新居を別に建てるのは宜しくない。
- 健康: 元の医師の指示に従うのが宜しい。
高島吞象の解釈
- 戦争: 六三は《坎》の終わりに居り、《乾》の位に逼迫している。いわゆる「陰陽相薄り」、「《乾》において戦う」である。《坎》はもともと《乾》が再び求めて得た男であり、《乾》は旧、徳である。「旧徳を食む」とは、子が父の遺した禄を食むことであり、常を安んじて分を守り、その旧業を保ち、争い戦うことがないため吉である。もし王師を起こそうとすれば、《坎》は破であり、災いとなるため、必ずや成功しない。故に「成すなし」と曰う。
- 商業: 爻に「旧徳を食む」とあり、その商売は先祖の遺産によるものであり、慎重に守り抜くことで最終的に吉を得ることを示しています。
- 功名: 先人の旧業をそのまま守るのが良く、外に出て仕官を求めても決して成し遂げられません。
- 病気: 前の医師の処方をそのまま服用し続けるのが吉です。
- 家宅: 旧宅にそのまま留まるべきで、新たに新居を建てる必要はありません。建てても成就しない恐れがあります。
- 妊娠: 男児が生まれます。この子が成長した際も、父の家業を継ぐことが吉となります。
変卦原文
姤(こう)は、女(じょ)壮(さか)んなり。用(もっ)て女(じょ)を取(めと)るなかれ。
夬(かい)とは決なり。決すれば必ず遇う所あり。故にこれを受くるに姤(こう)をもってす。
変卦の現代語訳
姤卦。夢に女子が傷つくを見る。占ってこの卦に遭えば、女を娶るに利ならず。《象辞》に曰く:本卦の上卦は乾にして、乾は天となり、下卦は巽にして、巽は風となる。天の下に風あるは、これ姤卦の卦象なり。君子はこの卦象を観て、風の万物を吹き払うに倣い、天下に教化を施し、四方に昭告す。
邵雍の解釈
陰長じ陽消え、鴻運は中途で衰える。滞り多し、慎みて防ぐべし。凶:この卦を得る者は、陰長じ陽衰え、諸事順調にいかず。慎重に行動すべく、さらに桃色トラブルに注意すべし。
伝統的解卦
この卦は異卦(下巽上乾)が相重なる。乾は天、巽は風。天の下に風あり、大地に吹き渡り、陰陽交わり合いて万物繁茂す。姤卦は夬卦と相反し、互いに「綜卦」となる。姤はすなわち媾にして、陰陽相遭うなり。ただし、五陽一陰なれば、長く相処るべからず。
四九
本卦と変卦
| 六親 | 納甲 | 天水訟 | 六親 | 納甲 | 風水渙 |
|---|---|---|---|---|---|
| 子孫 | Ren Xu 壬戌 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 父母 | Xin Mao 辛卯 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 妻財 | Ren Shen 壬申 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 兄弟 | Xin Si 辛巳 | ▄▄▄▄▄▄▄ 世 |
| 兄弟 | Ren Wu 壬午 | ▄▄▄▄▄▄▄ 世 ○ → | 子孫 | Xin Wei 辛未 | ▄▄ ▄▄ |
| 兄弟 | Wu Wu 戊午 | ▄▄ ▄▄ | 兄弟 | Wu Wu 戊午 | ▄▄ ▄▄ |
| 子孫 | Wu Chen 戊辰 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 子孫 | Wu Chen 戊辰 | ▄▄▄▄▄▄▄ 応 |
| 父母 | Wu Yin 戊寅 | ▄▄ ▄▄ 応 | 父母 | Wu Yin 戊寅 | ▄▄ ▄▄ |
爻辞原文
九四
訟に克(か)たず。復(かえ)って命に即(つ)き、渝(かえ)りて、貞(てい)に安んずれば、吉なり。
爻辞の現代語訳
九四:訟(あらそ)いに敗れ、家に帰り、判決に服す。平穏を占えば、吉兆を得る。《象辞》に言う:訟いに敗れて帰り、判決に服し、本分を安んじて守ることは、正道を失わないことである。
邵雍の解釈
吉。この爻を得た者は、危うきを転じて安きと為す。官職にある者は、閑職から復職するでしょう。
傅佩栄の解釈
- 時運: 危うきを転じて安きと為す。
- 財運: 協力関係は成立しないが、かえってそれが良い結果をもたらします。
- 家宅: 改婚(再婚・縁組の変更)をしても、その道を失うことはありません。
- 健康: 凶険がありますが、生活様式を改めれば吉となります。
高島吞象の解釈
- 戦争: 四と初は敵対しており、初がすでに「その事を永くせず」であるため、四もまた克(か)つべき対象がなく、ゆえに「克たず」と言います。《乾》は君であり、「命」は君命です。凱旋して君に復命することを示します。戦は危うい事ですが、危うきを変じて安きと為すため、吉です。
- 商業: 爻象を考察すると、その商売は必ず初爻と共同で行うものであると分かります。初がすでに「その事を永くせず」であるため、四もまた復して「命に即(つ)く」となります。復命とは事業をやめるという意味でもあり、ゆえに吉です。
- 婚姻: 内卦の《坎》は女家、外卦の《乾》は男家です。《坎》の初に「その事を永くせず」とあり、《乾》の四もまた復して「命に即く」となるのは、計画を改めて改婚することを示します。《象》に「失わざるなり」とあるのは、その道を失わないことを言います。
- 病気: 克つに至らないのは凶象です。「復」は再生を意味します。《坎》は病、炎症であり、《乾》は生、慶びです。命に即く(復命する)とは《乾》に復することです。変じて安らぎを得るため、吉です。
- 妊娠: 男児が生まれます。
変卦原文
渙(かん)は、亨(とお)る。王有廟(ゆうびょう)に仮(いた)る。大川(たいせん)を渉(わた)るに利あり。貞(ただ)しきに利あり。
兌とは説ぶなり。説びて後にこれを散らす。故にこれを受くるに渙(かん)をもってす。
変卦の現代語訳
渙卦。亨(通)る。王、宗廟に仮(いた)り、災いを祓い福を祈るためである。大川を渡るに利あり。これは吉なる貞卜である。『象辞』に曰く、本卦の上卦は巽(風)、下卦は坎(水)である。風が水の上を行くのが、渙の卦象である。先王はこの卦象を観て、天帝を祭り、宗廟を建て、天を尊び祖先に孝を尽くす「徳教」を推し進めた。
邵雍の解釈
離散や解消、災害の霧散。機に乗じて変化を観、威を養い鋭気を蓄える。小吉:この卦を得る者は、初めは順調にいかないが、最終的には困難を脱する。万事において慎重であれば百事亨る。我が儘や放縦は忌むべきである。
伝統的解卦
この卦は異卦(下が坎、上が巽)が重なり合う。風が水の上を行き、波を立てて四方に溢れ流れる。渙は、水が流れ散る意味。組織や人心の弛緩・散乱を象徴し、積極的な手段と方法によって克服し、弊害を打破して、危機を安泰へと変えなければならない。
五九
本卦と変卦
| 六親 | 納甲 | 天水訟 | 六親 | 納甲 | 火水未済 |
|---|---|---|---|---|---|
| 子孫 | Ren Xu 壬戌 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 兄弟 | Ji Si 己巳 | ▄▄▄▄▄▄▄ 応 |
| 妻財 | Ren Shen 壬申 | ▄▄▄▄▄▄▄ ○ → | 子孫 | Ji Wei 己未 | ▄▄ ▄▄ |
| 兄弟 | Ren Wu 壬午 | ▄▄▄▄▄▄▄ 世 | 妻財 | Ji You 己酉 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 兄弟 | Wu Wu 戊午 | ▄▄ ▄▄ | 兄弟 | Wu Wu 戊午 | ▄▄ ▄▄ 世 |
| 子孫 | Wu Chen 戊辰 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 子孫 | Wu Chen 戊辰 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 父母 | Wu Yin 戊寅 | ▄▄ ▄▄ 応 | 父母 | Wu Yin 戊寅 | ▄▄ ▄▄ |
爻辞原文
九五
訟(うった)え元吉(げんきつ)なり。
爻辞の現代語訳
九五:争訟。占ってこの爻に遭えば、大吉大利。《象辞》に言う:争訟して大吉大利なのは、九五の爻が上卦の中位に居り、人が中正の道を守るようだからである。
邵雍の解釈
吉。この爻を得た者は、経営、企て、求財のすべてにおいて大吉です。官職にある者は重用され、学問をする者は優秀な成績を収めるでしょう。
傅佩栄の解釈
- 時運: 正道をもって進歩を求めれば、必ず大いに顕れることができます。
- 財運: 公平に経営し、正当な財を得ます。
- 家宅: 富貴の家の人と婚姻します。
- 健康: 吐納(呼吸法)の術によって健康を保ちます。
高島吞象の解釈
- 戦争: 五は尊位に居り、戦を主導する大君です。師(軍)の出動には大義名分があり、中正を得ており、王者の師であって天下に敵なしであるため、「元吉(大吉)」と言います。
- 商業: 《乾》は利、《坎》は平です。商売は利益を求めるものですが、公平かつ正直であることも必要であり、そうすれば争いに至らず、商売が正道を得ることになります。ゆえに吉です。
- 功名: 「訟」の字は「言」と「公」から成ります。五は主爻であり、名を求める者は、言葉によって主公(君主)に知られることを意味します。「元」は三元(科挙の首席)を指し、功名の最高峰であり、これ以上の吉はありません。
- 婚姻: 五は卦主であり、五と婚姻を結ぶことは、卑しき者が貴きに従い、貧しき者が富める者に従うことであるため、「元吉」と言います。
- 妊娠: 男児が生まれます。この子は容姿端正で、かつ福沢があります。
変卦原文
未済(びせい)は、亨(とお)る。小狐(しょうこ)汔(ほと)んど済(わた)る。其(そ)の尾を濡らす。利するところなし。
物は窮まるべからざるなり。故にこれを受くるに未済(びせい)をもってしてここに終る。
変卦の現代語訳
未済卦。亨る。小狐、殆んど渡らんとして、その尾を濡らす。征くところ利なし。『象辞』に曰く:本卦の上卦は離で、離は火。下卦は坎で、坎は水。火が水の上にあり、水が火を克すことができないのが未済卦の象である。君子はこの卦象を観て、水火が位置を異にして相克しないことに感じ入り、慎重な態度をもって事物の性質を見極め、それぞれの居所を正す。
邵雍の解釈
助けを得られず、時を待って動くべきである。小より大へ至るものであり、焦って進んではならない。小凶:この卦を得る者は、運勢が通ぜず、諸事思い通りにならない。小より始めて大に進み、着実に進取し、辛抱強く難関を突破すれば、最終的には成功する。
伝統的解卦
この卦は異卦(下坎上離)が重なったものである。離は火、坎は水。火が上にあり水が下にあるため、火の勢いが水の勢いを圧倒し、消火の大功がまだ成就していない。ゆえに未済と称する。『周易』は乾坤の二卦をもって始まり、既済・未済の二卦をもって終わるが、これは変化と発展の思想を十分に反映している。
上九
本卦と変卦
| 六親 | 納甲 | 天水訟 | 六親 | 納甲 | 沢水困 |
|---|---|---|---|---|---|
| 子孫 | Ren Xu 壬戌 | ▄▄▄▄▄▄▄ ○ → | 父母 | Ding Wei 丁未 | ▄▄ ▄▄ |
| 妻財 | Ren Shen 壬申 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 兄弟 | Ding You 丁酉 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 兄弟 | Ren Wu 壬午 | ▄▄▄▄▄▄▄ 世 | 子孫 | Ding Hai 丁亥 | ▄▄▄▄▄▄▄ 応 |
| 兄弟 | Wu Wu 戊午 | ▄▄ ▄▄ | 官鬼 | Wu Wu 戊午 | ▄▄ ▄▄ |
| 子孫 | Wu Chen 戊辰 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 父母 | Wu Chen 戊辰 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 父母 | Wu Yin 戊寅 | ▄▄ ▄▄ 応 | 妻財 | Wu Yin 戊寅 | ▄▄ ▄▄ 世 |
爻辞原文
上九
或いはこれに鞶帯(はんたい)を錫(たま)う。終朝(しゅうちょう)に三たびこれを褫(うば)わん。
爻辞の現代語訳
上九:王侯から紳帯(身分の高い者が用いる帯)を賜るが、一日が終わらぬうちに、三度賜り三度奪われる。《象辞》に言う:訟いによって紳帯を賜る栄誉を得たとしても、尊敬するに足りるものではない。
邵雍の解釈
平。この爻を得た者は、争訟の憂いがあります。徳を修めて身を養い、大きな問題を小さく収めるのが良いでしょう。官職にある者は成敗があり、一喜一憂します。学問をする者は真面目に学べば必ず佳績を得られます。
傅佩栄の解釈
- 時運: 得失に一喜一憂し、まったく割に合いません。
- 財運: 正当な財ではなく、得られるものより失うものの方が多いでしょう。
- 家宅: 安住しにくいでしょう。
- 健康: 病状は一進一退を繰り返し、凶の恐れがあります。
高島吞象の解釈
- 戦争: 上は《乾》の陽の極みに居り、陽が極まって戦えば、勝つことすら困難です。一日に三勝三敗するに至っては、敗れればもちろん恥辱であり、勝ったとしても栄誉とは言えません。
- 功名: 「錫」は賜ること、「褫」は奪うこと、「或」は未定の言葉です。賜ることを仮定しながら、一日のうちに三度もそれを奪われるというのは、得失に汲々とする浅ましい者の姿であり、どうして尊敬するに足りるでしょうか。
- 商業: 爻辞を玩味するに、得ては失うことを繰り返し、最終的には得るものより失うものの方が多くなる。しかもその得るものは正道による財ではなく、いわゆる『悖りて入りて悖りて出づ』のものであり、不義の財であって卑しむべきものである。
- 病気: 病状が一進一退し、一日のうちに変転が激しい。上爻にあっては、卦の極限に位置するため、形勢を挽回することは極めて困難であり、恐らく最終的には凶となるであろう。
- 妊娠: 男児が生まれる。ただし男児が多く生まれても育ちにくく、四人目にしてようやく育つ。
変卦原文
困(こん)は、亨(とお)る。貞(ただ)し。大人は吉にして咎なし。言うことあれど信ぜられず。
升りて已(や)まざれば必ず困(くる)しむ。故にこれを受くるに困(こん)をもってす。
変卦の現代語訳
困卦。通泰なり。王公貴族の事を占って吉、災いなし。この卦に遭えば、罪ある者は弁明することができない。《象辞》に曰く:本卦の上卦は兌(沢)、下卦は坎(水)であり、水が沢の底に浸み込んで、沢が涸れ果てるのが困の象である。君子はこの卦象を観て、困難な境遇にあっても自らを励まし、困窮すれどもいよいよ堅く、身を捨て命を捧げて志を遂げる。
邵雍の解釈
沢の上に水なく、困窮す。万物生ぜず、徳を修めて静守す。凶:この卦を得る者は困境に陥り、事々意のごとくならず、正道を堅守して時を待つがよい。
伝統的解卦
この卦は異卦(下坎上兌)が重なる。兌は陰であり沢で悦びを表し、坎は陽であり水で険難を表す。「沢水困」、窮地に陥り、才能を発揮し難いが、正道を堅守して自ら楽しめば、必ず事を成し遂げて窮地を脱することができる。
三・卦例
Share