易経文字数 10853読了時間≈ 28 分

易経 · No.27 · 山雷頤

山雷頤(第27卦)の卦辞、爻辞、変卦、伝統的解釈をまとめた易経資料。

目次 · 75
  1. 本卦
  2. 本卦原文
  3. 本卦の現代語訳
  4. 邵雍の解釈
  5. 傅佩栄の解釈
  6. 高島吞象の解釈
  7. 伝統的解卦
  8. 二・爻辞
  9. 初九
  10. 本卦と変卦
  11. 爻辞原文
  12. 爻辞の現代語訳
  13. 邵雍の解釈
  14. 傅佩栄の解釈
  15. 高島吞象の解釈
  16. 変卦原文
  17. 変卦の現代語訳
  18. 邵雍の解釈
  19. 伝統的解卦
  20. 二六
  21. 本卦と変卦
  22. 爻辞原文
  23. 爻辞の現代語訳
  24. 邵雍の解釈
  25. 傅佩栄の解釈
  26. 高島吞象の解釈
  27. 変卦原文
  28. 変卦の現代語訳
  29. 邵雍の解釈
  30. 伝統的解卦
  31. 三六
  32. 本卦と変卦
  33. 爻辞原文
  34. 爻辞の現代語訳
  35. 邵雍の解釈
  36. 傅佩栄の解釈
  37. 高島吞象の解釈
  38. 変卦原文
  39. 変卦の現代語訳
  40. 邵雍の解釈
  41. 伝統的解卦
  42. 四六
  43. 本卦と変卦
  44. 爻辞原文
  45. 爻辞の現代語訳
  46. 邵雍の解釈
  47. 傅佩栄の解釈
  48. 高島吞象の解釈
  49. 変卦原文
  50. 変卦の現代語訳
  51. 邵雍の解釈
  52. 伝統的解卦
  53. 五六
  54. 本卦と変卦
  55. 爻辞原文
  56. 爻辞の現代語訳
  57. 邵雍の解釈
  58. 傅佩栄の解釈
  59. 高島吞象の解釈
  60. 変卦原文
  61. 変卦の現代語訳
  62. 邵雍の解釈
  63. 伝統的解卦
  64. 上九
  65. 本卦と変卦
  66. 爻辞原文
  67. 爻辞の現代語訳
  68. 邵雍の解釈
  69. 傅佩栄の解釈
  70. 高島吞象の解釈
  71. 変卦原文
  72. 変卦の現代語訳
  73. 邵雍の解釈
  74. 伝統的解卦
  75. 三・卦例

本卦

六親納甲山雷頤
兄弟Bing Yin 丙寅▄▄▄▄▄▄▄
父母Bing Zi 丙子▄▄           ▄▄
妻財Bing Xu 丙戌▄▄           ▄▄  世
妻財Geng Chen 庚辰▄▄           ▄▄
兄弟Geng Yin 庚寅▄▄           ▄▄
父母Geng Zi 庚子▄▄▄▄▄▄▄  応

本卦原文

頤(い)は、貞(ただ)しければ吉。頤を観る。自ら口実を求む。
物畜えられて然る後に養うべし。故にこれを受くるに頤(い)をもってす。

本卦の現代語訳

頤卦。占って吉兆を得る。養生(頤養)の道を探求するには、自食其力(自力で生計を立てること)にある。『象辞』に曰く:本卦は上卦が艮(山)、下卦が震(雷)であり、雷が山中より出でて万物が萌発する、これが頤卦の卦象である。君子はこの卦象を観て、生命を育むことの難しさを思い、言動を慎んで災いを避け、飲食を節制して修身養性につとめる。

邵雍の解釈

養正養育、謹言節食。実務を観察し、自知審慎す。小凶:この卦を得た者は、言動および飲食において、すべて慎まなければならない。正道を堅守し、言動を慎み、陰謀を企てる者は災いを招く。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 生機顕達、謹言慎行。
  • 財運: 内外昇降、必ずしも流通せず。
  • 家宅: 防火に注意せよ。賢婦は夫に従う。
  • 健康: 上寒下熱、五日にして癒える。

高島吞象の解釈

  • 戦争: 上止下動。下位の者が妄動して混乱を招くこと、あるいは機密漏洩、酒に酔っての論争に防備すべし。最も慎むべきである。
  • 功名: 山の下に雷あり。雷が鳴り響けば山もまた鳴る。声名騰達の象なり。
  • 商売: 『頤』の象は内が動き外が止まる。貨物が内地で動き昇り、外地で低落する象を主とする。また、貨物を外へ売り出しても一時的に販売できない恐れがある。その貨物は概ね食品に類する。
  • 家宅: 『艮』の山は止まろうとし、『震』の雷は動こうとする。山が上にあり、雷が下にあるため、地盤の震動を恐れる。火災を防ぐべきである。
  • 病気: 上止下動。山は土に属し、雷は火に属す。上焦が寒閉し、下焦が熱瀉する象を主とする。必ず五爻を待つべし。『象』に「順以て上に従う」とあり、上下が通順して初めて吉となる。一爻を一日とし、五日に至れば癒える。
  • 旅人: 内卦が動き外卦が止まる。すでに身を起こしたものの、外の用事によって阻止されている。上九に「大川を渡るに利あり」とあり、水路から来ることがわかる。近ければ六七日、遠ければ六七ヶ月で帰る。
  • 妊娠: 男児出産。
  • 遺失物: 山の下に雷あり。その物は重い物に押さえつけられて止まっており、一時的には見つからないが、のちに得られる。
  • 訴訟: 言葉や飲食の些細なこだわりから争いを起こすことを主とする。下が動こうとして上がこれを止めるため、必ず上官が出てきて阻止し、訴訟は最後まで行かない。
  • 婚姻: 頤は養うことなり。婦人は中饋(ちゅうき・家事飲食)を主り、養うの義あり。外が夫で内が妻、内が動いて外が止まる。婦が夫に従う象にして、吉なり。

伝統的解卦

この卦は異卦(下震上艮)が重なったものである。震は雷、艮は山。山が上にあり雷が下にあって、外実内虚である。春の暖かさに万物が養育され、時に従い賢人を養い民を育てる。陽実陰虚であり、実なる者は人を養い、虚なる者は人に養われる。自食其力(自力で生きる)の象。

  • 大象: 形は口腔の象に似ており、飲食の道を取る。言葉を慎み、日常生活を重んじるべきである。
  • 運勢: 物事に対処するにあたって周到な考慮を欠く。陰謀を心に抱くのは良くない。正道を堅守して善を行えば吉。
  • 事業: すべての事は個人の追求と自己の奮闘によるべきであり、他人に依存してはならない。まして不当な手段で財物を求めてはならない。正道に従い、自食其力し、言動を慎み機敏に行動すれば、必ずや良い機会に恵まれる。この時、辛苦の奮闘を経て成功に至ることができる。
  • 商売: 成功を急いではならない。初期はかろうじて生活を維持できる程度にとどまる。慎重に、順序を追って進め、誠実をもって人に接し、他人と真摯に協力し、時に適う判断を下し、絶えず新たな開拓の方向を模索すること。必要なときには適度な冒険も許される。
  • 名声: 自身の知識を豊かにすることを目的に、足るを知り安貧し、刻苦努力すれば、成功の希望は極めて大きい。
  • 婚姻: 成功を急いではならない。要諦は自身の修養を強めることにある。一度選んだら全力で追求すべきであり、決して二心を持ってはならない。
  • 判断: 道徳的修養に注意し、できる限り他人を助け、他人の急難を救うことを喜び、得るべきでない財物を貪ってはならない。それによって他人の尊重を受け、また絶えず外部からの援助を得ることができ、個人の事業は非常に順調に進み、成功する可能性が極めて高い。特に油断は大敵であり、「成就が大きければ阻害も大きい」という道理を肝に銘じるべきである。

二・爻辞

初九

本卦と変卦

六親納甲山雷頤六親納甲山地剥
兄弟Bing Yin 丙寅▄▄▄▄▄▄▄妻財Bing Yin 丙寅▄▄▄▄▄▄▄
父母Bing Zi 丙子▄▄           ▄▄子孫Bing Zi 丙子▄▄           ▄▄  世
妻財Bing Xu 丙戌▄▄           ▄▄  世父母Bing Xu 丙戌▄▄           ▄▄
妻財Geng Chen 庚辰▄▄           ▄▄妻財Yi Mao 乙卯▄▄           ▄▄
兄弟Geng Yin 庚寅▄▄           ▄▄官鬼Yi Si 乙巳▄▄           ▄▄  応
父母Geng Zi 庚子▄▄▄▄▄▄▄  応 ○ →父母Yi Wei 乙未▄▄           ▄▄

爻辞原文

初九
爾(なんじ)の霊亀(れいき)を舎(す)てて、我を観て頤(い)を朶(た)る。凶。

爻辞の現代語訳

初九:自ら大量の財宝を蓄えていながら、なお他人の財物を羨み嫉むのは、必ず凶険な事態を招く。『象伝』に言う:他人の財物を羨み嫉むのは、高尚な行為ではない。

邵雍の解釈

凶。この爻を得た者は、財利を争うことで災いが生じる。大抵の場合、心根が善良で正道を固守する者は憂いなし。官職にある者は賄賂を受け取り、廉潔さを失う恐れがある。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 自己を捨てて他人を観るのみで、いたずらに虚名を慕うだけである。
  • 財運: 経営が順調にいかず、他人が利益を得ることになる。
  • 家宅: 心神喪失状態になりやすく、婚姻は調和しない。
  • 健康: 飲食によって病を得る。

高島吞象の解釈

  • 戦争: 古の軍の行動には必ず占いによって吉凶を定めた。爻辞に「爾の霊亀を舎てて、我が頤を開くを観る」とあるのは、神明を恐れず、いたずらに財物を貪ることであるため、ゆえに「凶」と言う。
  • 商業: 初爻は一陽の始まりであり、変ずれば《剥》となる。《剥》とは解き剥がすことである。『象伝』に「往くところあるに不利」とあり、商売で利益を得るのは難しい恐れがある。爻辞の「爾」「我」とは主客を指し、「朵頤」とは口を動かして物を食べることである。「霊亀」を捨てて「朵頤」を観るのは、利益があっても他人に食い尽くされる恐れがあるため、ゆえに凶である。
  • 功名: 「霊亀」とは内面であり、「朵頤」とは外面である。内を捨てて外を求め、己を捨てて人を観るのは、いたずらに虚名を慕うだけであり、必ずや実学がなく、功名は成り難い。
  • 家宅: 家の中で精神(六神)が落ち着かず、外鬼が災いをもたらし、食物を求めて動く恐れがある。凶。
  • 病気: 病気は飲食の不摂生によるものである。神仏に祈りを捧げれば快癒する。
  • 婚姻: 「爾」と「我」とは、男女の両家を指す。「爾を舎てて」「我を観る」は、両家が調和しないことを顕著に示しており、その原因は結納品などの争いにあり、必ずや成就しない。成ったとしても必ず凶である。
  • 訴訟: 必ずや口舌の争いから禍端が開かれる。「我を舎てて」「爾を観る」と言うのは、双方がそれぞれの見解に固執し、一時的に理に服することができないことを示す。凶。

変卦原文

剥は、往くところあるに利あらず。
賁とは飾るなり。飾りを致して然る後に亨(とお)れば尽く。故にこれを受くるに剥(はく)をもってす。

変卦の現代語訳

剥の卦。往くところあれば不利なり。『象辞』に曰く:本卦は上卦が艮(山)、下卦が坤(地)であり、山が地の上にあって風雨に侵食される、これが剥の卦の象(かたち)である。君子はこの卦象を観て、山石の剥落や岩角の崩壊を戒めとし、それによって民心を厚く結びつけ、人民を安居楽業させる。

邵雍の解釈

剥削蝕爛、災情の憂いあり。進取は成し難く、時に順じて止まるべし。凶:この卦を得る者は、時運が振るわず、損失が多く、前進に阻害あり。時に順じて止まり、本分を守って自重するのがよい。

伝統的解卦

この卦は異卦(下坤上艮)が重なったものである。五つの陰が下にあり、一つの陽が上にある。陰が盛んで陽が孤立している。高山が地に附いている。二者ともに剥落の象であるため、「剥の卦」とする。この卦は陰が盛んで陽が衰えており、小人が勢力を得て君子が困窮し、事業が崩壊することを例えている。

二六

本卦と変卦

六親納甲山雷頤六親納甲山沢損
兄弟Bing Yin 丙寅▄▄▄▄▄▄▄官鬼Bing Yin 丙寅▄▄▄▄▄▄▄  応
父母Bing Zi 丙子▄▄           ▄▄妻財Bing Zi 丙子▄▄           ▄▄
妻財Bing Xu 丙戌▄▄           ▄▄  世兄弟Bing Xu 丙戌▄▄           ▄▄
妻財Geng Chen 庚辰▄▄           ▄▄兄弟Ding Chou 丁丑▄▄           ▄▄  世
兄弟Geng Yin 庚寅▄▄           ▄▄  × →官鬼Ding Mao 丁卯▄▄▄▄▄▄▄
父母Geng Zi 庚子▄▄▄▄▄▄▄  応父母Ding Si 丁巳▄▄▄▄▄▄▄

爻辞原文

六二
顚(さかしま)に頤(やしな)わる、経(つね)に払(もと)れり。丘に于(おい)て頤(やしな)わる、往けば凶。

爻辞の現代語訳

六二:口を養うために、山腹を開墾して耕作しなければならない。生計のために他人を掠奪するのは、凶険なことである。『象伝』に言う:六二の爻辞に掠奪すれば凶とあるのは、その行為が道義に反するからである。

邵雍の解釈

凶。この爻を得た者は、浮き沈みが激しく、是非が一定しない。凶であれば病が死に至る。官職にある者は左遷を防ぐ必要がある。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 僥倖によって成就することもあるが、結局は凶である。
  • 財運: 常理に反しており、損失を免れ難い。
  • 家宅: 正道を得ていない。婦道として議論の余地がある。
  • 健康: 頭がふらつき目がかすむ。注意して養生せよ。

高島吞象の解釈

  • 戦争: 軍を進める要諦は、第一に規律が厳明で、歩調が整っていることである。爻に「頤を顛し、経に拂る」とあるのは、規律に背き、歩調が乱れることである。これ以上の凶はない。
  • 商業: 二爻が変ずれば《損》となる。《損》とは損失であり、商業にとって不利である。爻辞に「顛」と言い、「拂」と言うのは、売買の出入りが常理に合わないことを明言しており、ゆえに「征けば凶」と言う。
  • 功名: 「頤を顛し、経に拂る」とは、常道に従わず、僥倖によって成功を求めることである。得たとしても結局は凶である。
  • 婚姻: 六二は陰柔で下に居り、上に仕えずに反って下を養う。これを顛倒し拂乱して正道を得ていないと言い、婦道として問うに値しない。ゆえに『象伝』に「行い類を失うなり」と言い、凶であることが分かる。

変卦原文

損は、孚(まこと)あれば、元吉(げんきつ)にして、咎(とが)なし。貞(てい)にすべくして、往くところあるに利あり。曷(なに)をかこれ用いん。二簋(にき)用(もっ)て享(まつ)るべし。
解とは緩(かん)なり。緩(ゆる)くすれば必ず失うところあり。故にこれを受くるに損(そん)をもってす。

変卦の現代語訳

損卦。この卦を得れば、捕獲するものがあり、大吉にして有利であり、災いなく、心にかなう占いとなる。また、行くところ利益がある。人が二つの器の食べ物(簋)を送って寄こすので、口福を享受できる。『象辞』に言う:本卦の上卦は艮、艮は山;下卦は兌、兌は沢であり、山の下に沢があるのが損の卦象である。君子はこの卦象を観て、沢の水が山の麓を浸食するのを戒めとし、自らの憤怒を抑え、貪欲をふさぐ。

邵雍の解釈

下を損して上を益し、盈を損して虚を益す。先難後易、入るを量りて出ずるを制す。小吉:この卦を得る者は、己を損して人を利す。始めは滞りがあるものの、尽くしたことは必ず報われ、災い転じて福となす象である。

伝統的解卦

この卦は二つの単卦(下兌・上艮)が重なったものである。艮は山、兌は沢。山の下に沢があり、大沢が山の根元を浸食する。損と益は表裏一体であり、損の中に益があり、益の中に損がある。この二者の関係には慎重に対処しなければならない。下を損して上を益するやり方は、国を治める上で度を超せば国の根基を損なう。損ずべきは損ずべきだが、必ず力量を量り、適度にとどめる。少しく損じて益するのが最も良い。

三六

本卦と変卦

六親納甲山雷頤六親納甲山火賁
兄弟Bing Yin 丙寅▄▄▄▄▄▄▄官鬼Bing Yin 丙寅▄▄▄▄▄▄▄
父母Bing Zi 丙子▄▄           ▄▄妻財Bing Zi 丙子▄▄           ▄▄
妻財Bing Xu 丙戌▄▄           ▄▄  世兄弟Bing Xu 丙戌▄▄           ▄▄  応
妻財Geng Chen 庚辰▄▄           ▄▄  × →妻財Ji Hai 己亥▄▄▄▄▄▄▄
兄弟Geng Yin 庚寅▄▄           ▄▄兄弟Ji Chou 己丑▄▄           ▄▄
父母Geng Zi 庚子▄▄▄▄▄▄▄  応官鬼Ji Mao 己卯▄▄▄▄▄▄▄  世

爻辞原文

六三
頤(やしな)うに払(もと)る。貞(てい)なれども凶。十年用うるなかれ。利するところなし。

爻辞の現代語訳

六三:養生の正道に背き、邪道によって生計を立てる。占えば凶兆である。十年間は不運が続き、永く利するところがない。『象伝』に言う:十年間不運であるとは、その行為が道義に大きく悖るからである。

邵雍の解釈

凶。この爻を得る者は、運勢が低迷し、荒唐無稽な事態に陥り、生死の離別に至るほどの痛手を被ることさえある。官にある者は、名誉を失い節操を汚す患いがある。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 行き詰まり、門を閉ざして反省すべき時である。
  • 財運: 久しく事を成し遂げ難く、利益を得る見込みがない。
  • 家宅: 家宅が安泰ではない。婚姻には十年の歳月を要する。
  • 健康: 痼疾(慢性病)は治り難い。

高島吞象の解釈

  • 戦争: 師は貞(正)をもって吉とし、貞に違えば不吉となる。頤は養うことである。兵を養って用を成すに備えるべきであり、養う道に違えば、兵は用を成さない。『象』に「道大いに悖るなり」とあるのは、上に逆らい乱を好むことであり、その敗亡は必至であるため、凶となる。
  • 商業: 商売の要諦は利益を得ることにあるが、「利するところなし」と言い、商いの大小や買い付けの遠近を問わず、利益を得ることはできない。極まるところの「十年用うるなかれ」とは、久しく事の成らない様子であり、ゆえに凶である。
  • 功名: 功名を得る道は、世に出て用いられ、万民を利することにあり、これこそが道をもって天下を養うということである。もし『頤』の正道に背き、極まって「十年用うるなかれ」となれば、生涯用いられることなく終わるため、「利するところなし」と言う。
  • 家宅: この邸宅は久しく無人であったと思われ、物の怪が出没して食を求め、家宅が安泰でなく、住むには不利である。
  • 婚姻: 婦道の貞操が乱れることを主とし、その婚姻も十年を経てようやく成る。
  • 妊娠: 男児が生まれる。

変卦原文

賁は、亨(とお)る。小(すこ)しく往くところあるに利あり。
嗑とは合(ごう)なり。物もって苟(いや)しくも合うのみなるべからず。故にこれを受くるに賁(ひ)をもってす。

変卦の現代語訳

賁卦。通ず。往くところあるは小利あり。《象辞》に曰く:本卦は上卦が艮(山)、下卦が離(火)であり、山の下に火がある。火が群山を焼き照らす、これが賁卦の卦象である。君子はこの卦象を観て、猛火が山を焼き、玉石ともに砕け、草木がことごとく尽きることを思い、これを戒めとし、もって諸般の政務を明察し、威猛をもって獄を断ずることをあえてしない。

邵雍の解釈

文飾を施して明らかにするが、外は実にして内は虚なり。憂いを隠し持つ時であり、実力を量って行動せよ。小凶:この卦を得る者は、表面は華やかであるが、内実は空虚で、虚が多く実が少ない。自己を充実させ、着実に物事を行い、身の程をわきまえて行動するのがよい。

伝統的解卦

この卦は二つの卦(下卦が離、上卦が艮)が重なり合って構成されている。離は火、明を示し、艮は山、止まるを示す。文明にして節度がある。賁卦は「文(飾り)」と「質(本質)」の関係を論じており、質を主として文で調節する。賁は文飾、修飾を意味する。

四六

本卦と変卦

六親納甲山雷頤六親納甲火雷噬嗑
兄弟Bing Yin 丙寅▄▄▄▄▄▄▄子孫Ji Si 己巳▄▄▄▄▄▄▄
父母Bing Zi 丙子▄▄           ▄▄妻財Ji Wei 己未▄▄           ▄▄  世
妻財Bing Xu 丙戌▄▄           ▄▄  世 × →官鬼Ji You 己酉▄▄▄▄▄▄▄
妻財Geng Chen 庚辰▄▄           ▄▄妻財Geng Chen 庚辰▄▄           ▄▄
兄弟Geng Yin 庚寅▄▄           ▄▄兄弟Geng Yin 庚寅▄▄           ▄▄  応
父母Geng Zi 庚子▄▄▄▄▄▄▄  応父母Geng Zi 庚子▄▄▄▄▄▄▄

爻辞原文

六四
顚(さかしま)に頤(やしな)わるるも吉なり。虎視眈々たり。その欲逐々(ちくちく)たり。咎(とが)なし。

爻辞の現代語訳

六四:求めるものは口を糊する(生計を立てる)程度にとどめ、人を害する心を抱かなければ吉。虎が獲物をねらうように鋭く観察し、人への防備の心は怠ってはならない。そうすれば天寿を全うし、悠然と自得して、災禍を免れる。『象辞』に言う:求めるものが口を糊する程度で足りるから吉なのであり、それは君上が広く恩恵を施し、民を養うに十分だからである。

邵雍の解釈

吉。この爻を得る者は、善人の助けを得て、謀りごとが思い通りに進む。官にある者は、祖先の恩恵を受け、寵愛を一身に浴びる。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 英気を養い実力を蓄えれば、功名を期することができる。
  • 財運: 市場の動向を見極めれば、売買で利益を得られる。
  • 家宅: なお正道と言える。
  • 健康: 欲を少なくすれば安泰である。

高島吞象の解釈

  • 戦争: 勇敢な兵士を虎臣または虎賁と呼び、いずれも力強いことを言う。しかし、その精鋭を十分に養ってから用いるべきであり、ただ武勇を恃んで軽々しく進むべきではない。ゆえに「顛頤、吉」と言う。
  • 商業: 「顛」は、一時的に物価が下落する兆しを懸念させる。「虎視眈々、その欲逐々」とは、商人が利を謀る様子に例えられ、安値を見極めて商品を仕入れることができるため、吉にして咎なしとされる。
  • 功名: 功名の兆しとして、古来より龍や虎に例えられることが多く、ゆえに吉である。「視ることを耽々」「欲すること逐々」とは、いずれも大志を抱いて栄達を謀る意志を表す。
  • 家宅: この邸宅は、右側の山(白虎)が高くそびえ、目を怒らせて食らおうとする形を成しているが、幸いにも四爻が陰の位に陰で居り、位が正しいため、咎はない。
  • 妊娠: 男児が生まれる。

変卦原文

噬嗑は、亨(とお)る。獄(ごく)を用うるに利あり。
観るべくして後に合うところあり。故にこれを受くるに噬嗑(ぜいごう)をもってす。

変卦の現代語訳

噬嗑の卦。通達す。訴訟や刑獄に有利である。『象辞』に曰く:本卦の下卦は震(雷)で、上卦は離(電)であり、雷電が交わるのが噬嗑の卦象である。先王はこの卦象を観て、威風堂々たる雷と幽暗を照らす電に法り、厳明な政治を行い、刑罰を明らかにし、法律を正した。

邵雍の解釈

硬い骨を噛み砕くような強硬な態度。障害が多く、積極的に解決を求める必要がある。凶:この卦を得た者は、物事が思い通りにいかず、紛争が避けられず、諸事阻害される。平穏を保つには、規律を堅く守り、利益に誘惑されないことである。

伝統的解卦

この卦は異卦(下震上離)が重なり合っています。離は陰卦、震は陽卦です。陰陽が交わり、硬いものを噛み砕くことから、恩威並施(恩情と威厳を共に行う)、寛厳結合(寛大さと厳格さを組み合わせる)、剛柔相済(剛強さと柔軟さが互いに補い合う)をたとえています。噬嗑(ぜいごう)は上下の顎が噛み合い、咀嚼することを意味します。

五六

本卦と変卦

六親納甲山雷頤六親納甲風雷益
兄弟Bing Yin 丙寅▄▄▄▄▄▄▄兄弟Xin Mao 辛卯▄▄▄▄▄▄▄  応
父母Bing Zi 丙子▄▄           ▄▄  × →子孫Xin Si 辛巳▄▄▄▄▄▄▄
妻財Bing Xu 丙戌▄▄           ▄▄  世妻財Xin Wei 辛未▄▄           ▄▄
妻財Geng Chen 庚辰▄▄           ▄▄妻財Geng Chen 庚辰▄▄           ▄▄  世
兄弟Geng Yin 庚寅▄▄           ▄▄兄弟Geng Yin 庚寅▄▄           ▄▄
父母Geng Zi 庚子▄▄▄▄▄▄▄  応父母Geng Zi 庚子▄▄▄▄▄▄▄

爻辞原文

六五
経(つね)に払(もと)れり。貞(てい)に居れば吉なり。大川(たいせん)を渉(わた)るべからず。

爻辞の現代語訳

六五:荒地を開墾し、平穏に日々を過ごせば、占って吉兆を得る。この爻を得た場合、水に入って河を渡るような危険なことは避けるべきである。『象辞』に言う:平穏に正道を守ることで吉となるのは、その人が分をわきまえ道に従い、君上に従順だからである。

邵雍の解釈

吉。この爻を得る者は、頼るべき後ろ盾を得て事を成せるが、舟で険難な水路を渡るようなことは避けるべきである。官にある者は、他者の引き立てによって功を成し、地位を保つことができる。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 固く守るのがよく、急進すれば成就し難い。
  • 財運: 行商(移動する商売)は不利だが、坐商(店を構える商売)なら良い。
  • 家宅: 山暮らしが比較的適しており、一人の夫に付き従えば吉である。
  • 健康: 静かに療養すべきであり、疲労を重ねると治り難い。

高島吞象の解釈

  • 戦争: 用兵の道には常経(原則)と権変(臨機応変)があり、臨機応変に対応できるならば、必ずしも原則に固執する必要はない。ゆえに「経に拂(もと)る」も咎なしとされる。「貞に居れば吉」とは、固く守るのがよく、進攻すべきではないということである。「大川を渡るべからず」とは、河川を渡る際に伏兵の恐れがあること、または舟での移動に風波の難があることを懸念するものであり、すべて慎重であるべきである。
  • 商業: 店を構えて商売をするには利があるが、行商には不利であり、商品を国外へ運ぶのはさらに憂慮される。
  • 功名: 試験に臨んでも、合格や名を成すことは難しい。
  • 家宅: 上体が『艮』に属するため、山暮らしであれば吉であるが、川や水に近い場所にある邸宅であれば不利である。
  • 婚姻: 正式な手続きを経ない婚姻の恐れがあるが、操を守って終生添い遂げるならば、これもまた吉となる。
  • 妊娠: 男児が生まれる。
  • 病気: 病は五爻にあり、長引けば四、五ヶ月、短ければ五、六日。養生の誤りが原因である。静かに療養すれば吉であるが、風雨にさらされたり遠路を行けば、治療は極めて困難となる。

変卦原文

益は、往くところあるに利あり。大川(たいせん)を渉(わた)るに利あり。
損して已(や)まざれば必ず益(ま)す。故にこれを受くるに益(えき)をもってす。

変卦の現代語訳

益卦。これを得るは、往くところあるに利あり、大川を渡るに利あり。《象辞》に曰く:本卦は上卦が巽にして巽は風、下卦が震にして震は雷。風雷激荡するは益の卦象なり。君子はこの卦象を観て、風雷の威力に畏れおののき、もって善を見ればすなわちこれに従い、過ちあればすなわちこれを改む。

邵雍の解釈

上を損して下を益し、奮発して為すあり。進取して名を成し、商賈は利を得る。小吉:この卦を得る者は、まさに好運に当たり、奮発して進図し、人の助けを得て名利を獲得す。

伝統的解卦

この卦は異卦(下震上巽)が重なる。巽は風、震は雷。風雷激荡し、その勢いはますます強く、雷はますます響き、風と雷は相助けて互いに長じ、交々相助益す。この卦は損卦と相反する。これは上を損して下を益するものであり、後者は下を損して上を益するものである。二卦は損益の原則を解き明かしている。

上九

本卦と変卦

六親納甲山雷頤六親納甲地雷復
兄弟Bing Yin 丙寅▄▄▄▄▄▄▄  ○ →子孫Gui You 癸酉▄▄           ▄▄
父母Bing Zi 丙子▄▄           ▄▄妻財Gui Hai 癸亥▄▄           ▄▄
妻財Bing Xu 丙戌▄▄           ▄▄  世兄弟Gui Chou 癸丑▄▄           ▄▄  応
妻財Geng Chen 庚辰▄▄           ▄▄兄弟Geng Chen 庚辰▄▄           ▄▄
兄弟Geng Yin 庚寅▄▄           ▄▄官鬼Geng Yin 庚寅▄▄           ▄▄
父母Geng Zi 庚子▄▄▄▄▄▄▄  応妻財Geng Zi 庚子▄▄▄▄▄▄▄  世

爻辞原文

上九
由(よ)って頤(やしな)わる。厲(あやう)くして吉。大川(たいせん)を渉(わた)るに利あり。

爻辞の現代語訳

上九:生活の正道に従えば、始めは困難であるが最後は吉となる。この爻を得れば、大川を渡る(困難を乗り越える)に利あり。《象辞》に曰く:生活の正道に従えば、始めは困難であるが最後は吉となるのは、善人には最終的に善い報いがあるからである。

邵雍の解釈

吉。この爻を得れば、計画や事業は成就し、何事も順調に進む。官職にある者は爵禄が重なり、学問を志す者は佳き成績を収める。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 慎重に努力すれば、成功を収めることができる。
  • 財運: 苦労して経営してこそ、収穫が得られる。
  • 家宅: 一家揃って無事息災である。
  • 健康: 危険はあるが、大障りはない。

高島吞象の解釈

  • 戦争: 諺に「兵を養うこと千日、用は一朝にあり」と言うように、戦場で力を発揮できるのは、平時の教養によるものである。ゆえに「由頤(養うことに拠る)」と言う。兵事は危険なことであり、幾多の危険と困難を経て初めて勝ち戦の功を得るため、「厲(あやう)けれども吉」と言う。「大川を渡るに利あり」とは、将兵が心を一つにして険難に臨み、危機を避けないことであり、周の軍勢が盟津に会し、諸葛孔明が瀘水を渡ったのがこれにあたる。
  • 商業: 商売はもっぱら利益を図るものであり、利益を得てこそ身を養い家を養うに足る。しかし、商人は安住して利益を得ることはできず、必ずや険路を経て、あるいは遠く重洋を渡って初めて利益を得るため、「厲(あやう)けれども吉」と言う。
  • 功名: 功名への道は、小より大へ、卑より尊へと進むが、必ず憂い勤め慎み励むことで、功を成し名を遂げることができる。《象》に「大いに慶びあるなり」とあるのは、これを得て喜びがあることを言っている。
  • 病気: 危険はあるが救われるため、「厲(あやう)けれども吉」と言う。
  • 妊娠: 男児が生まれる。ゆえに《象》に「大いに慶びあるなり」と言う。

変卦原文

復は、亨(とお)る。出入り疾(やまい)なし。朋(とも)来りて咎(とが)なし。その道を反復す。七日にして来り復す。往くところに利あり。
剥とは剥(は)ぐなり。物もって尽くるに終わるべからず。剥は上に窮まれば下に反(かえ)る。故にこれを受くるに復(ふく)をもってす。

変卦の現代語訳

復の卦。通達して順調。出かけるのも居るのも病なし。利益を得られて災いなし。往来して七日にして戻る。往くところあれば利あり。《象辞》に言う:本卦の内卦は震(雷)であり、外卦は坤(地)である。天寒く地凍り、雷は地中に返り帰る。往きて復(かえ)り、時に従い戻る。これが復の卦の象である。先王はこの卦象を見て雷に法(のっと)り、冬至の日に関所を閉じ、旅人を通さず、君主もまた諸国を巡視しなかった。

邵雍の解釈

循環して往復し、生機が再び萌す。成功は間近にあるが、焦れば即ち敗れる。小吉:この卦を得る者は、時運が好転し、勢いに乗って行動すれば物事は成就するが、急進しすぎてはならない。

伝統的解卦

この卦は異卦(下震上坤)が重なったものである。震は雷・動を表し、坤は地・順を表す。動けば順(したが)い、自然の理に順ずる。動きが順の中にあり、内陽外陰にして、順序に従って動き、進退自如であるため、前進するに利がある。


三・卦例

このサイトの易経占いツールで卦を立て、この卦を実例の中で確認できます。梅花心易や小六壬も利用できます。

Share

この記事を共有