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易経 · No.29 · 坎為水

坎為水(第29卦)の卦辞、爻辞、変卦、伝統的解釈をまとめた易経資料。

目次 · 75
  1. 本卦
  2. 本卦原文
  3. 本卦の現代語訳
  4. 邵雍の解釈
  5. 傅佩栄の解釈
  6. 高島吞象の解釈
  7. 伝統的解卦
  8. 二・爻辞
  9. 初六
  10. 本卦と変卦
  11. 爻辞原文
  12. 爻辞の現代語訳
  13. 邵雍の解釈
  14. 傅佩栄の解釈
  15. 高島吞象の解釈
  16. 変卦原文
  17. 変卦の現代語訳
  18. 邵雍の解釈
  19. 伝統的解卦
  20. 二九
  21. 本卦と変卦
  22. 爻辞原文
  23. 爻辞の現代語訳
  24. 邵雍の解釈
  25. 傅佩栄の解釈
  26. 高島吞象の解釈
  27. 変卦原文
  28. 変卦の現代語訳
  29. 邵雍の解釈
  30. 伝統的解卦
  31. 三六
  32. 本卦と変卦
  33. 爻辞原文
  34. 爻辞の現代語訳
  35. 邵雍の解釈
  36. 傅佩栄の解釈
  37. 高島吞象の解釈
  38. 変卦原文
  39. 変卦の現代語訳
  40. 邵雍の解釈
  41. 伝統的解卦
  42. 四六
  43. 本卦と変卦
  44. 爻辞原文
  45. 爻辞の現代語訳
  46. 邵雍の解釈
  47. 傅佩栄の解釈
  48. 高島吞象の解釈
  49. 変卦原文
  50. 変卦の現代語訳
  51. 邵雍の解釈
  52. 伝統的解卦
  53. 五九
  54. 本卦と変卦
  55. 爻辞原文
  56. 爻辞の現代語訳
  57. 邵雍の解釈
  58. 傅佩栄の解釈
  59. 高島吞象の解釈
  60. 変卦原文
  61. 変卦の現代語訳
  62. 邵雍の解釈
  63. 伝統的解卦
  64. 上六
  65. 本卦と変卦
  66. 爻辞原文
  67. 爻辞の現代語訳
  68. 邵雍の解釈
  69. 傅佩栄の解釈
  70. 高島吞象の解釈
  71. 変卦原文
  72. 変卦の現代語訳
  73. 邵雍の解釈
  74. 伝統的解卦
  75. 三・卦例

本卦

六親納甲坎為水
兄弟Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄  世
官鬼Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄
父母Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄
妻財Wu Wu 戊午▄▄           ▄▄  応
官鬼Wu Chen 戊辰▄▄▄▄▄▄▄
子孫Wu Yin 戊寅▄▄           ▄▄

本卦原文

習坎(しゅうかん)は、孚(まこと)あり。維(こ)れ心亨(とお)る。行けば尚(たっと)ぶことあり。
物もって過ぐるに終るべからず。故にこれを受くるに坎(かん)をもってす。

本卦の現代語訳

習坎。孚ありて、心亨る。行けば崇ばるるあり。『象辞』に曰く:水は重ね至るは、習坎なり。君子以て徳行を常とし、教事を行う。

邵雍の解釈

困難と危険、重なる険難に陥る。物事に阻害が多く、慎重に行動すべき。凶:この卦を得る者は、運気が優れず、多難で危険が多く、物事が滞りやすい。言葉と行動を慎み、退守して身を保つのがよい。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 徐々に昇進するが、常に災難を防ぐ備えをせよ。
  • 財運: 財は流れる水の如く、商運は滞りなく通る。
  • 家宅: 隣人が家を建てる。親戚同士がさらに婚姻を重ねる。
  • 健康: 水瀉の症あり、虔心に祷告すべし。

高島吞象の解釈

  • 戦争: 敵兵が頻繁に侵襲する勢いあり、常に防備を怠るべからず。
  • 功名: 段階的に昇騰する象あり。
  • 商業: 財は流水の如く源々として来たり、久しく大なるべく、商運は亨通す。
  • 家宅: この宅の外、北の方角に必ず坑陥ありて泉流息まず。《坎》の辰は子にあり、上値は虚危、危は屋を蓋することを主る。恐らくは隣居に営造の象あらん。
  • 病気: 水瀉の症を防ぐべし、久しく未だ癒えざるは祷るによろしく、「樽酒簋貳」の義を取るべし。
  • 婚姻: 必ずこれ親上に親を加え、重複して聯親するの象あり。
  • 妊娠: 男児を生む。

伝統的解卦

この卦は同卦(下坎上坎)が相重なる。坎は水であり、険であり、二つの坎が重なることで険の上に険が加わり、険阻重々なり。一陽が二陰に陥る。幸いにも陰虚陽実にして、誠信あれば豁然として貫通す。険難重々といえども、まさに人性の光彩を顕すべし。

  • 大象: 両水重畳し、坎水は険なり。進むも固より険、退くもまた険にして、進退両難なり。
  • 運勢: 危機重々なり、宜しく沈着に応付し、心境を明朗に保ち、万事人と争うことなかれ。
  • 事業: 重なる艱難険阻の中に陥り、険況叢生す。冒険すべからず、また束手して斃れるを待つべからず。積極的な態度を以て条件を創造し、処境を変え、険を化して夷とすべし。必ず実心実意、信心に満ち、僥倖を求めず、艱険を辞さず、静観して変を待ち、智慧を用いて険境を突破し、危機を転じて安んずべし。
  • 商売: 極めて不利であり、甚だしきは破産の境地に陥るが、内心は沈着踏実にして冷静を保ち、身は険境に陥るも心は陥らず、軽挙妄動することなく、まず自保を求めて変を観じ、時機を握りて脱険すべし。
  • 名声: 他人に理解されず、才あれども遇わず。自暴自棄になるべからず。初志を変えず、泰然自若として順序を経て進めば、終には人に理解され発見さるべし。
  • 婚姻: 多くの不利に遭う、冷静に原因を分析し、積極的に自らの条件を変えるべし。双方同舟相救い、共に難関を渡るべし。
  • 判断: 不幸なり。然れどもこれ転運する前の試練なり。困境の故に失常せず、かつ僥倖を求めず、信心を保ち、自ら険境に陥ることなかれ。鎮定自若として軽挙妄動せず、時機を洞察せば、必ず危機を転じて安んじ、脱険の功を成すべし。

二・爻辞

初六

本卦と変卦

六親納甲坎為水六親納甲水沢節
兄弟Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄  世兄弟Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄
官鬼Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄官鬼Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄
父母Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄父母Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄  応
妻財Wu Wu 戊午▄▄           ▄▄  応官鬼Ding Chou 丁丑▄▄           ▄▄
官鬼Wu Chen 戊辰▄▄▄▄▄▄▄子孫Ding Mao 丁卯▄▄▄▄▄▄▄
子孫Wu Yin 戊寅▄▄           ▄▄  × →妻財Ding Si 丁巳▄▄▄▄▄▄▄  世

爻辞原文

初六
坎を習(かさ)ねて、坎萏(かんたん)に入る。凶なり。

爻辞の現代語訳

初六:坎坑の中にまた坎坑あり、重坑の中に陥る、凶険なり。《象辞》に曰く、「坎坑の中にまた坎坑あり、重坑の中に陥る」とは、坦途を行かず、偏に険道を走れば、必ず災殃を招くことをいう。

邵雍の解釈

凶。この爻を得る者は、時運が優れず、罠や災難に陥るのを防ぐべきである。官職にある者は小人に防備せよ。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 僥倖を頼みに名声を求めれば、かえって損害を被る。
  • 財運: 商売は失敗し、行き放しで戻らない。
  • 家宅: 不安な家屋。婚姻は慎重にすべきである。
  • 健康: 医師の選択を誤り、容態が危急となる。

高島吞象の解釈

  • 戦争: 待ち伏せの計略があるが、かえって敵の計略に落ちる。凶の道である。
  • 功名: 僥倖を頼みに名声を求めれば、かえって屈辱を招くことになり、益がなく害がある。
  • 商業: 商売で失敗し、他へ転送するも、荷が到着した時には市場がさらに縮小しており、売り抜けることができない。
  • 病気: 病を治療するにあたり、医師がその道を誤り、病状はますます悪化する。
  • 婚姻: 詐欺に遭う恐れがある。決して正式な婚姻ではない。
  • 妊娠: 難産に防備せよ。

変卦原文

節(せつ)は亨(とお)る。苦節貞(てい)にすべからず。
渙とは離るるなり。物もって離るるに終るべからず。故にこれを受くるに節(せつ)をもってす。

変卦の現代語訳

节卦(せつか)。願い事は通る。ただし、節制を苦痛とするならば、その吉凶を占うことはできない。『象伝』に言う:本卦の下卦は兌(沢)、上卦は坎(水)である。沢の中に水が満ちているため、堤防を高く築いて防ぐ必要がある。これが節卦の象形である。君子はこの卦象を観て、政綱や制度を確立し、倫理の原則を定めるのである。

邵雍の解釈

操守と節度を保ち、適度なところでとどめること。時勢を推し量り、変化に融通を利かせること。小凶:この卦を得た者は、分相応に自守すべきであり、貪欲であってはならない。諸事において節制が必要であり、度を越してはならない。特に酒色を戒めるべきである。

伝統的解卦

この卦は異卦(下兌・上坎)が重なったものである。兌は沢、坎は水を表す。沢に水があるが、流れる量には限りがあり、多すぎれば沢の外へ溢れ出る。したがって節度が必要であり、ゆえに「節」と名付けられた。節卦と渙卦は相反し、互いに綜卦(裏表の卦)であり、交互に作用し合う。天地に節度があるからこそ常に新しくあり続け、国家に節度があるからこそ安泰であり、個人に節度があるからこそ完璧たり得るのである。

二九

本卦と変卦

六親納甲坎為水六親納甲水地比
兄弟Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄  世妻財Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄  応
官鬼Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄兄弟Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄
父母Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄子孫Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄
妻財Wu Wu 戊午▄▄           ▄▄  応官鬼Yi Mao 乙卯▄▄           ▄▄  世
官鬼Wu Chen 戊辰▄▄▄▄▄▄▄  ○ →父母Yi Si 乙巳▄▄           ▄▄
子孫Wu Yin 戊寅▄▄           ▄▄兄弟Yi Wei 乙未▄▄           ▄▄

爻辞原文

九二
坎に険あり。求めて小(すこ)しく得(う)。

爻辞の現代語訳

九二:穴だらけで、道には険阻がある。あえて険しい道を行けば、小さな収穫があるかもしれない。《象辞》に言う:あえて険しい道を行けば、小さな収穫があるかもしれないとは、九二の爻が下卦の中位に居り、人がいまだ正道から外れていないようであるからだ。

邵雍の解釈

平。この爻を得る者は、小さな成就がある。女命であれば側室となるか、凶であれば険難を防ぐか、あるいは心腹血気の病を生じる。官職にある者は小さな成就があるが、大事業は成らない。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 小さな試みは有利であるが、大望を抱くべきではない。
  • 財運: 慎重に経営すれば、小利を得ることができる。
  • 家宅: 河岸の崩壊を防ぐべきである。
  • 健康: 治療は効果があるが、全快は難しい。

高島吞象の解釈

  • 戦争: 密かにトンネルを通して敵陣を襲撃することができ、大勝はなくとも必ず小勝する。
  • 商業: 小利なら図ることができる。
  • 功名: 小さな試みは必ず有利となる。
  • 家宅: 邸宅の外で河岸が崩れる恐れがあるため、速やかに修繕すべきである。
  • 病気: 必ず瘡瘍などの病症であり、医師を招いて治療すれば、小さな効果は得られるが、全快は期待し難い。
  • 妊娠: 男子を得る。

変卦原文

比は吉。原筮(げんぜい)するに元永(げんえい)貞(てい)にして、咎(とが)なし。寧(やす)からざるものまさに来る。後夫(こうふ)は凶。
師とは衆なり。衆なれば必ず比(した)しむところあり。故にこれを受くるに比(ひ)をもってす。

変卦の現代語訳

比の卦。吉利。同時に再び卜筮するも、なお大吉大利なり。長期の吉凶を卜問するに、また災禍なし。臣服せざる邦国も来朝し、遅れて来る者は難あり。《象辞》に曰く:下卦は坤、上卦は坎、坤は地、坎は水、地に水有るは比なり。先王はこの卦象を観て、水の地に附し、地の江河を納むるに法(のっと)り、万国を封建し、諸侯に親しむ。

邵雍の解釈

水が地の上を行き、親比して和楽す。人情は親しみ順(したが)い、百事憂いなし。吉:この卦を得る者は、朋友の助け、衆人の力を得て、事を謀りて成るを得、栄顕の極みに達す。

伝統的解卦

この卦は異卦(下坤上坎)が重なり、坤は地、坎は水。水は大地に附し、地は河海を納め、相互に依存して親密無間なり。この卦は師卦と完全に相反し、互いに綜卦となる。相親しみ相助け、寛大無私にして精誠団結するの道理を明らかにする。

三六

本卦と変卦

六親納甲坎為水六親納甲水風井
兄弟Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄  世父母Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄
官鬼Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄妻財Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄  世
父母Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄官鬼Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄
妻財Wu Wu 戊午▄▄           ▄▄  応 × →官鬼Xin You 辛酉▄▄▄▄▄▄▄
官鬼Wu Chen 戊辰▄▄▄▄▄▄▄父母Xin Hai 辛亥▄▄▄▄▄▄▄  応
子孫Wu Yin 戊寅▄▄           ▄▄妻財Xin Chou 辛丑▄▄           ▄▄

爻辞原文

六三
来(きた)るも之(ゆ)くも、坎々(かんかん)たり。険にして且(か)つ深し。坎萏(かんたん)に入る。用(もち)うるなかれ。

爻辞の現代語訳

六三:穴に向かって進む。この穴は険しくかつ深く、重なる穴の中に陥り、極めて不利である。《象辞》に言う:この多くの穴がある地に来ることは、終に功利がない。

邵雍の解釈

凶。この爻を得る者は、坎坷(不遇)が多く、争いや訴訟の事が多い。官職にある者は退いて守るのがよい。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 困窮を守り、将来を待つべきである。
  • 財運: 航海が阻まれる。一時的に現状を維持すべきである。
  • 家宅: 穴を埋める。求婚は成らない。
  • 健康: 過労は避けるべきである。

高島吞象の解釈

  • 戦争: 象は、営塁の四方がすべて坎険に臨んでおり、進退窮まっている。武器を枕にして一時休息し、増援を待つべきである。
  • 商業: 爻象を観るに海運の商売である。船旅は阻まれており、奥地に入って一時守るのがよい。
  • 功名: 象を観るに、あらゆる困難に遭遇し、飢えと疲労に耐える時である。現時点では功がなく、晩成が期待できる。
  • 家宅: この邸宅は水法が乱れており、殺気が多く凶である。家の北に一つの「坎(穴)」があり、速やかに埋めるべきである。
  • 婚姻: 「坎」は男であり、これは男の家からの求婚である。爻に「用うるなかれ」とあれば、必ず成らない。
  • 妊娠: 男子が生まれる。

変卦原文

井(せい)は、邑(ゆう)を改めて井(せい)を改めず。喪(うしな)うなく得(う)るなし。往くも来るも井々(せいせい)たり。汔(ほと)んど至らんとして、亦(ま)たいまだ井(せい)を繘(つりいと)せず、その瓶(つるべ)を羸(やぶ)る。凶なり。
上に困しむ者は必ず下に反(かえ)る。故にこれを受くるに井(せい)をもってす。

変卦の現代語訳

井卦。村落(邑)を改めるも、井戸(水井)は改めない。これでは何もしなかったのと同じである。人々は井戸の傍を行き来して水を汲むが、井戸が枯れて泥が溜まり、それを浚おうとせず、かえって釣瓶を壊してしまう。これは凶険の象である。『象辞』に言う:本卦の下卦は巽で巽は木、上卦は坎で坎は水である。水が下に浸透して樹木が育つ、これが井卦の象である。君子はこの卦象を観て、井戸水が人を養うことに倣い、人々に労働を促し互いに励まし合わせる。

邵雍の解釈

静かな水が源に通じ、運気は穏やかである。守るべきところを変えず、現状を維持する。小吉:この卦を得る者は、身を修め養生し、自然の成り行きに任せて泰然と処すのがよい。静かにしていれば利きあり、動けば凶となる。

伝統的解卦

この卦は異卦(下巽上坎)が重なり合う。坎は水、巽は木なり。樹木は水を得て蓬勃と成長する。人は井戸に頼って生活し、井戸は人が掘って成る。互いに養い合い、井戸は水をもって人を養い、久しく衰えず。人はこの徳に倣い、勤勉に自らを励ますべし。

四六

本卦と変卦

六親納甲坎為水六親納甲沢水困
兄弟Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄  世父母Ding Wei 丁未▄▄           ▄▄
官鬼Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄兄弟Ding You 丁酉▄▄▄▄▄▄▄
父母Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄  × →子孫Ding Hai 丁亥▄▄▄▄▄▄▄  応
妻財Wu Wu 戊午▄▄           ▄▄  応官鬼Wu Wu 戊午▄▄           ▄▄
官鬼Wu Chen 戊辰▄▄▄▄▄▄▄父母Wu Chen 戊辰▄▄▄▄▄▄▄
子孫Wu Yin 戊寅▄▄           ▄▄妻財Wu Yin 戊寅▄▄           ▄▄  世

爻辞原文

六四
樽酒簋(そんしゅき)あり。弐(ま)すに缶(ほとぎ)を用(もっ)てす。約を納(い)るる牖(まど)よりす。終(つい)に咎(とが)なし。

爻辞の現代語訳

六四:銅の樽に酒を盛り、丸い簋(き)に飯を盛る。しかし、坎の牢獄に監禁されている囚人に対しては、土製の器(缶)を用いれば十分である。牢飯は天窓から出し入れされ、その人はこの悪運に遭遇するが、最後には危険がない。《象辞》に言う:「平時は美食美器を享受し、今は土製の器で牢飯を食らう」とは、六四の陰爻が九五の陽爻の下に位置し、人が強者に圧迫され、この苦難を受けることを示している。

邵雍の解釈

平。この爻を得る者は、慶事が多く、あるいは結婚の喜びがある。官職にある者は飲食の楽しみが多い。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 意気揚々と、貴客を歓待する。
  • 財運: 酒造の業は、すこぶる順調である。
  • 家宅: 倹約して家を維持する。婚姻は吉祥。
  • 健康: 祈祷するのが最善である。

高島吞象の解釈

  • 戦争: 行軍は兵糧を重んじる。いわゆる兵を足らせるには、まず食を足らせることである。「約を納るるに牖よりす」とは、牖(窓)は食を納める場所ではないが、敵兵の略奪を防ぐために隠密に兵糧を運ぶことをいう。
  • 商業: 『坎』は酒となるため、製酒の業と思われる。
  • 功名: 春風を得て意にかない、賓客をもてなして楽しむ、慶賀すべきことと思われる。
  • 病気: 祈祷するのが宜しい。
  • 婚姻: 吉です。

変卦原文

困(こん)は、亨(とお)る。貞(ただ)し。大人は吉にして咎なし。言うことあれど信ぜられず。
升りて已(や)まざれば必ず困(くる)しむ。故にこれを受くるに困(こん)をもってす。

変卦の現代語訳

困卦。通泰なり。王公貴族の事を占って吉、災いなし。この卦に遭えば、罪ある者は弁明することができない。《象辞》に曰く:本卦の上卦は兌(沢)、下卦は坎(水)であり、水が沢の底に浸み込んで、沢が涸れ果てるのが困の象である。君子はこの卦象を観て、困難な境遇にあっても自らを励まし、困窮すれどもいよいよ堅く、身を捨て命を捧げて志を遂げる。

邵雍の解釈

沢の上に水なく、困窮す。万物生ぜず、徳を修めて静守す。凶:この卦を得る者は困境に陥り、事々意のごとくならず、正道を堅守して時を待つがよい。

伝統的解卦

この卦は異卦(下坎上兌)が重なる。兌は陰であり沢で悦びを表し、坎は陽であり水で険難を表す。「沢水困」、窮地に陥り、才能を発揮し難いが、正道を堅守して自ら楽しめば、必ず事を成し遂げて窮地を脱することができる。

五九

本卦と変卦

六親納甲坎為水六親納甲地水師
兄弟Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄  世父母Gui You 癸酉▄▄           ▄▄  応
官鬼Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄  ○ →兄弟Gui Hai 癸亥▄▄           ▄▄
父母Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄官鬼Gui Chou 癸丑▄▄           ▄▄
妻財Wu Wu 戊午▄▄           ▄▄  応妻財Wu Wu 戊午▄▄           ▄▄  世
官鬼Wu Chen 戊辰▄▄▄▄▄▄▄官鬼Wu Chen 戊辰▄▄▄▄▄▄▄
子孫Wu Yin 戊寅▄▄           ▄▄子孫Wu Yin 戊寅▄▄           ▄▄

爻辞原文

九五
坎(かん)盈(み)たず。既に平らかなるに祗(いた)る。咎(とが)なし。

爻辞の現代語訳

九五:坎(あな)はまだ埋まらないが、丘は平らになった。災いはない。『象伝』に言う:丘は平らになったが、坎がまだ埋まっていないということは、道が平坦ではなく、まだ平途になっていないことを示している。

邵雍の解釈

平。この爻を得た者は、平穏無常であり、英気を養うのが宜しい。官にある者は危機がなく、職位に憂いはない。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 自大になってはならない。功名は限られている。
  • 財運: 目先の利益を語らず、長期的な視野で考える。
  • 家宅: 景観は喜ばしい。門地が釣り合っている。
  • 健康: 平心静気。

高島吞象の解釈

  • 戦争: 将たるものの道は、功に恃んで驕ることを最も忌む。さもなければ衆心の不平を招き、敗北に至る道となる。たとえ孫武や呉起が再起したとしても、功を立てることはできない。
  • 商業: 一時的な思いがけない利益をむさぼらず、必ず物価の均衡を考慮して長期的な計略を立てる。これこそが優れた商人である。
  • 功名: 名位は大きくない。
  • 時運: 「謙は益を受け、満は損を招く」を、生涯口ずさむのがよい。
  • 家宅: 邸宅の外に狭い土地があり、水の流れは清く浅く、また平らな坂がある。風景はすこぶる良く、咎なし。
  • 婚姻: 両家の門地が釣り合っており、吉。

変卦原文

師は貞(てい)。丈人(じょうじん)なれば、吉、咎(とが)なし。
訟えには必ず衆の起(おこ)るある。故にこれを受くるに師(し)をもってす。

変卦の現代語訳

師卦。総指揮官の軍情を占うに、災いなし。『象辞』に曰く:下卦は坎、坎は水;上卦は坤、坤は地であり、「地中に水有り」の象、これが師卦の卦象である。君子はこの卦象を観て、江河を容れる大地に法り、大衆を収容し育成する。

邵雍の解釈

労働を憂い衆を集め、変化は窮まりなし。公正無私にして、万難を排す。小凶:この卦を得る者は、困難重々にして心労多く衆を労す。他者を包容し、艱難辛苦に耐えて努力し、一切の困難を取り除くべし。

伝統的解卦

この卦は異卦(下坎上坤)が重なる。「師」は軍隊を指す。坎は水、険であり;坤は地、順であり、兵を農に寓するをたとえる。兵は凶にして戦は危うし。用兵は聖人の已むを得ざる行為なるも、情勢に順い、師出づるに名分あるが故に、矛盾を円滑に解決し、凶を転じて吉となす。

上六

本卦と変卦

六親納甲坎為水六親納甲風水渙
兄弟Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄  世 × →父母Xin Mao 辛卯▄▄▄▄▄▄▄
官鬼Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄兄弟Xin Si 辛巳▄▄▄▄▄▄▄  世
父母Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄子孫Xin Wei 辛未▄▄           ▄▄
妻財Wu Wu 戊午▄▄           ▄▄  応兄弟Wu Wu 戊午▄▄           ▄▄
官鬼Wu Chen 戊辰▄▄▄▄▄▄▄子孫Wu Chen 戊辰▄▄▄▄▄▄▄  応
子孫Wu Yin 戊寅▄▄           ▄▄父母Wu Yin 戊寅▄▄           ▄▄

爻辞原文

上六
係(しば)るに徽纆(きぼく)を用(もっ)てし、叢棘(そうきょく)に寘(お)く。三歳まで得(え)ず。凶。

爻辞の現代語訳

上六:犯人を縄で縛り上げ、周囲に茨のある刑務所に投げ入れ、三年間釈放しない。これは凶険なことである。『象伝』に言う:上六の爻辞が描写しているのは、まさに役人が正道に背き、違法に人を囚えて三年の長きに及ぶことを説明している。

邵雍の解釈

凶。この爻を得た者は、投獄の災いに防備すべきである。官にある者は職権が他に移る憂いに防備すべきである。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 思いがけない災いあり、投獄に注意せよ。
  • 財運: 紡績の商売は、三年で成就する。
  • 家宅: 家園を整修する。良縁は三年待つべし。
  • 健康: 動きにくいため、安心して静養せよ。

高島吞象の解釈

  • 戦争: 軍を労して遠征し、長く従軍して帰らない憂いがある。
  • 商業: 蚕糸を買い入れる商売と思われる。三年後になって初めて利益を得られる。
  • 功名: 思いがけない災いがある恐れがあり、功名が成就しないばかりか、投獄の罪があるのを防ぐべし。凶。
  • 婚姻: 紅い糸で足をつなぐように、婚姻はあらかじめ定められているが、良縁はまだ至らない。三年待って成就すべし。
  • 妊娠: 子を得るが、遅くなる。
  • 家宅: この邸宅は何の理由か荒廃しており、壁の周囲に蔦がはびこっている。修繕するのが宜しい。前に住んでいた者には不利で、後に住む者には吉。

変卦原文

渙(かん)は、亨(とお)る。王有廟(ゆうびょう)に仮(いた)る。大川(たいせん)を渉(わた)るに利あり。貞(ただ)しきに利あり。
兌とは説ぶなり。説びて後にこれを散らす。故にこれを受くるに渙(かん)をもってす。

変卦の現代語訳

渙卦。亨(通)る。王、宗廟に仮(いた)り、災いを祓い福を祈るためである。大川を渡るに利あり。これは吉なる貞卜である。『象辞』に曰く、本卦の上卦は巽(風)、下卦は坎(水)である。風が水の上を行くのが、渙の卦象である。先王はこの卦象を観て、天帝を祭り、宗廟を建て、天を尊び祖先に孝を尽くす「徳教」を推し進めた。

邵雍の解釈

離散や解消、災害の霧散。機に乗じて変化を観、威を養い鋭気を蓄える。小吉:この卦を得る者は、初めは順調にいかないが、最終的には困難を脱する。万事において慎重であれば百事亨る。我が儘や放縦は忌むべきである。

伝統的解卦

この卦は異卦(下が坎、上が巽)が重なり合う。風が水の上を行き、波を立てて四方に溢れ流れる。渙は、水が流れ散る意味。組織や人心の弛緩・散乱を象徴し、積極的な手段と方法によって克服し、弊害を打破して、危機を安泰へと変えなければならない。


三・卦例

このサイトの易経占いツールで卦を立て、この卦を実例の中で確認できます。梅花心易や小六壬も利用できます。

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