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易経 · No.36 · 地火明夷

地火明夷(第36卦)の卦辞、爻辞、変卦、伝統的解釈をまとめた易経資料。

目次 · 75
  1. 本卦
  2. 本卦原文
  3. 本卦の現代語訳
  4. 邵雍の解釈
  5. 傅佩栄の解釈
  6. 高島吞象の解釈
  7. 伝統的解卦
  8. 二・爻辞
  9. 初九
  10. 本卦と変卦
  11. 爻辞原文
  12. 爻辞の現代語訳
  13. 邵雍の解釈
  14. 傅佩栄の解釈
  15. 高島吞象の解釈
  16. 変卦原文
  17. 変卦の現代語訳
  18. 邵雍の解釈
  19. 伝統的解卦
  20. 二六
  21. 本卦と変卦
  22. 爻辞原文
  23. 爻辞の現代語訳
  24. 邵雍の解釈
  25. 傅佩栄の解釈
  26. 高島吞象の解釈
  27. 変卦原文
  28. 変卦の現代語訳
  29. 邵雍の解釈
  30. 伝統的解卦
  31. 三九
  32. 本卦と変卦
  33. 爻辞原文
  34. 爻辞の現代語訳
  35. 邵雍の解釈
  36. 傅佩栄の解釈
  37. 高島吞象の解釈
  38. 変卦原文
  39. 変卦の現代語訳
  40. 邵雍の解釈
  41. 伝統的解卦
  42. 四六
  43. 本卦と変卦
  44. 爻辞原文
  45. 爻辞の現代語訳
  46. 邵雍の解釈
  47. 傅佩栄の解釈
  48. 高島吞象の解釈
  49. 変卦原文
  50. 変卦の現代語訳
  51. 邵雍の解釈
  52. 伝統的解卦
  53. 五六
  54. 本卦と変卦
  55. 爻辞原文
  56. 爻辞の現代語訳
  57. 邵雍の解釈
  58. 傅佩栄の解釈
  59. 高島吞象の解釈
  60. 変卦原文
  61. 変卦の現代語訳
  62. 邵雍の解釈
  63. 伝統的解卦
  64. 上六
  65. 本卦と変卦
  66. 爻辞原文
  67. 爻辞の現代語訳
  68. 邵雍の解釈
  69. 傅佩栄の解釈
  70. 高島吞象の解釈
  71. 変卦原文
  72. 変卦の現代語訳
  73. 邵雍の解釈
  74. 伝統的解卦
  75. 三・卦例

本卦

六親納甲地火明夷
父母Gui You 癸酉▄▄           ▄▄
兄弟Gui Hai 癸亥▄▄           ▄▄
官鬼Gui Chou 癸丑▄▄           ▄▄  世
兄弟Ji Hai 己亥▄▄▄▄▄▄▄
官鬼Ji Chou 己丑▄▄           ▄▄
子孫Ji Mao 己卯▄▄▄▄▄▄▄  応

本卦原文

明夷は、艱貞(かんてい)に利あり。
晋とは進なり。進めば必ず傷(やぶ)るるところあり。故にこれを受くるに明夷(めいい)をもってす。

本卦の現代語訳

明夷の卦。艱難の事を占うに利あり。《象伝》に曰く:本卦の内卦は離で、離は日。外卦は坤で、坤は地。太陽が地中に入るは、明夷の卦象なり。君子はこの卦象を観て、民を治め政を理するに、苛察をもって明とせず、外は愚にして内は慧、物を容れ衆に親しむ。

邵雍の解釈

日は地中に入り、光明傷つけらる。万事滞り、時運を待つべし。凶:この卦を得る者は、時運あたらず、事ごとに労苦あり、正道を堅守し、忍耐自重して時機を待つが宜しい。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 明哲身を保ち、もって災厄を避く。
  • 財運: 表立った利潤はなけれど、暗中にて配当あり。
  • 家宅: 父子分居するが宜しく、明媒正娶(正式な結婚)にあらず。
  • 健康: 肝気鬱結す、養生に注意せよ。

高島吞象の解釈

  • 時運: 運は大難に当たり、深く晦蔵(才能や素性を隠すこと)するが宜しい。
  • 戦争: 《象》に「莅衆(衆に臨む)」と曰く、ちょうど用兵の時に当たり、明修桟道・暗度陳倉の計を模すべし、必ずや勝ちを得ん。
  • 商業: 卦象は艱難にして、大衆は利益を得がたし、暗中にまだ分け前あり。
  • 功名: 《離》の火が土に克され、功名あらわれず、あらわればかえって災害あり。
  • 家宅: 家道順ならず、あるいは父子分居すれば、なお保全すべし。
  • 婚姻: 必ずや明媒正娶(正式な結婚)にあらず。
  • 病気: これは肝火内鬱の症なり、火を消すをもって治すべし。
  • 訴訟: 曲を甘んじて受け訴訟をやめるべし、もって禍を免れるべし。
  • 妊娠: 女児を生む。

伝統的解卦

この卦は異卦(下離上坤)が重なる。離は明、坤は順。離は日、坤は地。日は地に入り、光明損なわれ、前途は不明、環境は困難なり。時に従い光を養い、正道を堅守し、外は愚にして内は慧、韜光養晦(才能を隠し時期を待つ)するが宜しい。

  • 大象: 太陽が坤地の下に没し、大地が暗黒となり、失明(光を失う)の象があります。
  • 運勢: 百事が滞り、小人に害され、物事に迷うことが多い時です。堅守し、静かに好機を待って動くのがよいでしょう。
  • 事業: 不利な環境に置かれますが、心境を平穏に保って険悪な状況に対処し、精神力を高めて様々なプレッシャーに耐えるべきです。表面は従順かつ慎重でありながら、内面では道理を洞察し、去るべき時は去って災禍を避け、危険から脱します。未然に防ぎ、逆境の中でも奮闘し続けることです。
  • 商売: 市場の動向を注意深く観察し、機を見て行動すべきですが、商業道徳は守らなければなりません。たとえ不利な状況であってもリスクを取って進むこと、特に南方へと発展させることで大きな収穫が得られます。
  • 名声: 内心には大志を抱きつつ、行動は刻苦耐乏し、逆境の中で奮闘することです。自らの志を守り、才知を隠して表に出さず、混乱の中にこそ正義を貫き、愚を装って身を守るべきです。
  • 婚姻: 相手の状況を全面的に分析しなければならず、小にとらわれて大を失ってはなりません。大節(大局的な節義)に留意してください。
  • 判断: 好ましくない状況にあり、環境は困難で前途は不透明です。しかし、厄運に平然と対処し、柔軟に屈伸できれば、前途は明るくなります。特に教養を高め、耐え忍んで志を行い、外は愚に見えて内には知恵を秘める(外愚内慧)ことで、災い転じて福と為すことができます。慎重に行動し、いたる所で注意を払えば、さらに成すところがあるでしょう。

二・爻辞

初九

本卦と変卦

六親納甲地火明夷六親納甲地山謙
父母Gui You 癸酉▄▄           ▄▄兄弟Gui You 癸酉▄▄           ▄▄
兄弟Gui Hai 癸亥▄▄           ▄▄子孫Gui Hai 癸亥▄▄           ▄▄  世
官鬼Gui Chou 癸丑▄▄           ▄▄  世父母Gui Chou 癸丑▄▄           ▄▄
兄弟Ji Hai 己亥▄▄▄▄▄▄▄兄弟Bing Shen 丙申▄▄▄▄▄▄▄
官鬼Ji Chou 己丑▄▄           ▄▄官鬼Bing Wu 丙午▄▄           ▄▄  応
子孫Ji Mao 己卯▄▄▄▄▄▄▄  応 ○ →父母Bing Chen 丙辰▄▄           ▄▄

爻辞原文

初九
明夷(めいい)于(ゆ)き飛んで、その翼を垂(た)る。君子于(ゆ)き行(ゆ)く、三日食(くら)わず。往(ゆ)くところあれば、主人言(ものい)うことあり。

爻辞の現代語訳

初九:「鵜(ていこ)が飛び立ち、沼のほとりに羽を休める。君子は家を離れて旅立ち、三日の間食糧を得られない。」この爻に占うと、行くところがあれば、必ずその主人から責められます。《象辞》に言う:君子が旅路にあるとき、礼義に照らせば、恥を忍んで食を恵まれるべきではない。

邵雍の解釈

平。この爻を得た者は、手足の怪我があるか、善き人であれば財を得て福を納める喜びがあります。官職にある者は飛躍の象がありますが、過失のないよう厳に慎むべきです。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 栄達することは叶いませんが、自己を保全することはできます。
  • 財運: 資本に損失があり、主人の小言があります。
  • 家宅: 転居するのが最もよいでしょう。婚姻は調和しません。
  • 健康: 食道に疾患があるか、または手に病があります。

高島吞象の解釈

  • 時運: 初運は良くありませんが、自らをよく保全することで、害を免れることができます。
  • 戦争: 陣営の糧食が尽きかけており、ひとまず退くのがよいでしょう。
  • 商業: 《明夷》は、資本に傷がつく恐れがあり、貨物を運んで遠行すれば途中で難に遭う象です。また主人があれこれと小言を言う恐れもあります。
  • 功名: 「飛び立とうとして羽を垂らす」とは、栄達できない象を明らかに示しています。
  • 婚姻: 初爻と四爻は応じ合っていますが、かえって互いを害し合うため、婚姻は調和しません。
  • 家宅: この宅は必ずや借家であり、己の持ち家にあらず、故に家主あり。「三日食わず」とは、破れた竈で炊事を行わぬ象(かたち)にして、不利なり、移転すべし。
  • 妊娠: 女子を生む。

変卦原文

謙は亨(とお)る。君子は終わりあり。
大を有する者はもって盈(み)つるべからず。故にこれを受くるに謙(けん)をもってす。

変卦の現代語訳

謙は通る。君子は終わり有り。《象》に曰く、地中に山が有るは謙なり。君子以って多きを減らし寡なきを増し、物を秤りて施しを均しくす。

邵雍の解釈

謙和と忍譲、人を尊び己をへりくだる。謙虚さを活かせば、万事達成できる。吉:この卦を得る者は、吉利平安にして一歩一歩昇進する。謙虚で忍耐強い者は前途洋々であるが、驕り高ぶる者は必ず敗北を招く。謙は益を受け、満は損を招く。

伝統的解卦

この卦は異卦(下艮上坤)が重なったものである。艮は山、坤は地を表す。地の上に山があり、地は低く山は高い。これは内が高く外が低いことを意味し、功績があっても自負せず、名声があっても自賛せず、地位が高くても傲慢にならないことに例えられる。これが「謙」である。

二六

本卦と変卦

六親納甲地火明夷六親納甲地天泰
父母Gui You 癸酉▄▄           ▄▄子孫Gui You 癸酉▄▄           ▄▄  応
兄弟Gui Hai 癸亥▄▄           ▄▄妻財Gui Hai 癸亥▄▄           ▄▄
官鬼Gui Chou 癸丑▄▄           ▄▄  世兄弟Gui Chou 癸丑▄▄           ▄▄
兄弟Ji Hai 己亥▄▄▄▄▄▄▄兄弟Jia Chen 甲辰▄▄▄▄▄▄▄  世
官鬼Ji Chou 己丑▄▄           ▄▄  × →官鬼Jia Yin 甲寅▄▄▄▄▄▄▄
子孫Ji Mao 己卯▄▄▄▄▄▄▄  応妻財Jia Zi 甲子▄▄▄▄▄▄▄

爻辞原文

六二
明夷(めいい)、左の股(もも)を夷(やぶ)る。用(もっ)て拯(すく)うに馬壮(さか)んなれば吉なり。

爻辞の現代語訳

六二:鵜の如き鳥が左の股に傷を負うも、君子は傷を負いながら馬により救わる。吉なり。『象辞』に曰く、六二の爻辞の説く吉とは、六二の陰爻が九三の陽爻の下にありて、まさに馬が主人に従い、その意をよく理解するが如きなり。

邵雍の解釈

吉。この爻を得る者は、常人ならば危難あらんも、貴人の助けを得て免れん。官にある者は実権を握り、大任を担うべし。学問を志す者は好成績を収めん。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 貴人の助けを得て、幸いにも難を免れる。
  • 財運: 画策が不適切にして、損失を免れ難し。
  • 家宅: 修繕して完全となす。婦人に足の疾(病)あり。
  • 健康: 左足に傷を負う。

高島吞象の解釈

  • 時運: 目下の運気は甚だ佳(よ)からず、傷残を被ること多きも、幸いにして禄馬相救い、故に吉なり。
  • 戦争: 左軍の戦況は不利なるも、幸いにして馬隊が力を尽くし、敗戦を転じて勝利を得ん。
  • 商業: 画策が時に適わぬを「左計」と曰う。その営謀が合致せざるを知るが故に損失あり。幸いにして馬姓の者(あるいは馬に関わる者)が現れて調停せば吉なり。
  • 功名: およそ官位の下がるを「左」と曰えば、不利の如し。ただ午の年に値するか、あるいは午の運に交われば吉なり。
  • 病気: 《離》の二は中虚にして、陥り入るが如し。その人は必ずや深き穴に陥らん。その左足を傷つけるも、幸いにして馬の力が強健なれば、一躍して脱し出ず。傷を負うといえども亦た吉なり。
  • 家宅: 必ずや左側の柱の根元(足)が損傷せん。急ぎ修繕すべし。
  • 婚姻: 《離》は陰の象なれば、女子は恐らく足の疾ありて歩行に支障をきたさん。午の命(うまどし生まれ)の人と配せば吉なり。
  • 妊娠: 女子を生む。

変卦原文

小(しょう)往き大(だい)来(きた)る。吉にして亨(とお)る。
履んで然る後に安し。故にこれを受くるに泰(たい)をもってす。

変卦の現代語訳

泰卦。小往き大来たる、微より盛に由る、吉利、亨通なり。『象辞』に曰く:天地交わるは泰。君子もって天地位を裁成し、天地の宜を左右し、もって左右民す。

邵雍の解釈

小往き大来たる、通泰吉祥なり。泰極まれば否に転ず、事守るに固きに宜し。吉:この卦を得る者は、否極まりて泰来たり、鴻運当頭にして諸事みな順調なり。ただ楽極まりて悲しみ生じるを防ぐべし。

伝統的解卦

この卦は異卦(下乾上坤)が重なり合ったもので、乾は天であり陽、坤は地であり陰です。陰陽が交感し、上下が通じ合い、天地が交わることで万物が盛んに生成します。逆に交わらなければ凶となります。万事万物は対立し、変化し、盛極まれば衰え、衰極まれば盛んに転じるため、時に応じて変化するものが「泰(通)」となります。

三九

本卦と変卦

六親納甲地火明夷六親納甲地雷復
父母Gui You 癸酉▄▄           ▄▄子孫Gui You 癸酉▄▄           ▄▄
兄弟Gui Hai 癸亥▄▄           ▄▄妻財Gui Hai 癸亥▄▄           ▄▄
官鬼Gui Chou 癸丑▄▄           ▄▄  世兄弟Gui Chou 癸丑▄▄           ▄▄  応
兄弟Ji Hai 己亥▄▄▄▄▄▄▄  ○ →兄弟Geng Chen 庚辰▄▄           ▄▄
官鬼Ji Chou 己丑▄▄           ▄▄官鬼Geng Yin 庚寅▄▄           ▄▄
子孫Ji Mao 己卯▄▄▄▄▄▄▄  応妻財Geng Zi 庚子▄▄▄▄▄▄▄  世

爻辞原文

九三
明夷(めいい)、南に于(ゆ)きて狩(かり)し、その大首(だいしゅ)を得(う)。疾(と)く貞(ただ)すべからず。

爻辞の現代語訳

九三:南方の猟区にて、弓を引き矢を放ち、大きなる野獣を得る。筮してこの爻に遭遇せば、疾病を占うには不利なり。『象辞』に曰く、南方に狩りするを決意し、大いにその志を得るなり。

邵雍の解釈

平。この爻を得る者は、家屋を修造するの兆しあり。良くない場合は、左の股に傷を負うか、憂愁と離別の患い多し。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 退きて南方を守れば、志を得るべし。
  • 財運: 辛抱強く経営せば、終には光明を見ん。
  • 家宅: 郷里の富家。良き配偶者を得ん。
  • 健康: 南方にて静養するが比較的よろし。

高島吞象の解釈

  • 時運: 大運において敗北なきにあらず、退きて守るべし。冬の季節に入り、南へ向けて出発せば、必ずや大きな利益を得ん。
  • 戦争: 卦に《明夷》と曰う。明らかに「進兵」せば必ず傷敗あらん。兵を潜めて南より入るべし。《離》の上爻に「王用て征伐に出で、嘉あり首を折る」とあるは、即ちこの占いに合致す。
  • 功名: 南方は文明に属し、獣を狩り名を求めるも、皆その得るを期す。「大首」とは魁首(首領・主席)なり。必ずや首席に選ばれん。故に「志大いに得るなり」と曰う。吉なり。
  • 婚姻: 婚礼における奠雁(てんがん)や射雀も、また獲物を得る象なり。「その大首を得る」とは、その良き配偶者を得るを謂う。吉なり。
  • 病気: 避難して南方へ出づべし。吉なり。
  • 遺失物: 宅の南方向を探すべし、必ず見つからん。
  • 妊娠: 女子を生む。
  • 家宅: この宅は《離》の位にして南向きなり。「大首」とは、一郷の大富豪なり。吉なり。

変卦原文

復は、亨(とお)る。出入り疾(やまい)なし。朋(とも)来りて咎(とが)なし。その道を反復す。七日にして来り復す。往くところに利あり。
剥とは剥(は)ぐなり。物もって尽くるに終わるべからず。剥は上に窮まれば下に反(かえ)る。故にこれを受くるに復(ふく)をもってす。

変卦の現代語訳

復の卦。通達して順調。出かけるのも居るのも病なし。利益を得られて災いなし。往来して七日にして戻る。往くところあれば利あり。《象辞》に言う:本卦の内卦は震(雷)であり、外卦は坤(地)である。天寒く地凍り、雷は地中に返り帰る。往きて復(かえ)り、時に従い戻る。これが復の卦の象である。先王はこの卦象を見て雷に法(のっと)り、冬至の日に関所を閉じ、旅人を通さず、君主もまた諸国を巡視しなかった。

邵雍の解釈

循環して往復し、生機が再び萌す。成功は間近にあるが、焦れば即ち敗れる。小吉:この卦を得る者は、時運が好転し、勢いに乗って行動すれば物事は成就するが、急進しすぎてはならない。

伝統的解卦

この卦は異卦(下震上坤)が重なったものである。震は雷・動を表し、坤は地・順を表す。動けば順(したが)い、自然の理に順ずる。動きが順の中にあり、内陽外陰にして、順序に従って動き、進退自如であるため、前進するに利がある。

四六

本卦と変卦

六親納甲地火明夷六親納甲雷火豊
父母Gui You 癸酉▄▄           ▄▄官鬼Geng Xu 庚戌▄▄           ▄▄
兄弟Gui Hai 癸亥▄▄           ▄▄父母Geng Shen 庚申▄▄           ▄▄  世
官鬼Gui Chou 癸丑▄▄           ▄▄  世 × →妻財Geng Wu 庚午▄▄▄▄▄▄▄
兄弟Ji Hai 己亥▄▄▄▄▄▄▄兄弟Ji Hai 己亥▄▄▄▄▄▄▄
官鬼Ji Chou 己丑▄▄           ▄▄官鬼Ji Chou 己丑▄▄           ▄▄  応
子孫Ji Mao 己卯▄▄▄▄▄▄▄  応子孫Ji Mao 己卯▄▄▄▄▄▄▄

爻辞原文

六四
左の腹に入る。明夷(めいい)の心を獲(え)たり。于(ゆ)きて門庭(もんてい)を出(い)づ。

爻辞の現代語訳

六四:深く隠遁する場所へ帰らん。居室を出て社会に入れば、環境の険悪さを感じ、隠退の念がにわかに生ず。『象辞』に曰く、深く隠遁する場所に帰るは、退隠の志に満足するなり。

邵雍の解釈

平。この爻を得る者は、外に出て営謀せば順調なり。妊婦は男子を生む。良くない場合は、心腹の疾を生ずる恐れあり。官にある者で閑職にある者は復職し、在職中の者は多く外地に赴任せん。才能を隠し退く者は必ずや身を起こして名を成さん。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 明を出て暗に入る、門を出づるを宜しとなす。
  • 財運: 外に出て商売せば、意にかないて富を築かん。
  • 家宅: 路に障害あり。婦人は既に懐妊せり。
  • 健康: 心腹の病あり、外に出て医を求むべし。

高島吞象の解釈

  • 時運: 爻象は明を出て暗に入る。不利と知るべし、家に居るは宜しからず、外に出づるを宜しとなす。
  • 戦争: 敵の左営に潜入して密計を探り、大営に報告すれば勝つことができる。
  • 功名: 功名は高く昇るのを吉とするが、「左腹に入る」とあり、『坤』は腹であり地に入ることを意味する。不吉である。
  • 商業: 釈名によれば、「腹」は復であり富である。腹に入るとは富に入ること、心を得るとは満足すること。「門庭を出るに」は、家を出て商売に赴く象である。
  • 病気: 病は心腹にあり、内臓の損傷が疑われる。門を出て医師を求めるのがよい。
  • 家宅: この邸宅は明堂の左手にあり、路に障害があって出入りに不便である。
  • 婚姻: 女子はすでに懐妊しており、不利である。
  • 妊娠: 女子が生まれる。

変卦原文

豊は、亨(とお)る。王これに仮(いた)る。憂うるなかれ、日中に宜(よろ)し。
その帰する所を得る者は必ず大なり。故にこれを受くるに豊(ほう)をもってす。

変卦の現代語訳

豊卦。祭祀を執り行えば、王自ら宗廟に臨む。憂うるなかれ、日中(正午)が宜しい。『象辞』に曰く:本卦の上卦は震であり、震は雷となる。下卦は離であり、離は電となる。電光と雷鳴は天が示す重大な天象であり、これが豊卦の卦象である。君子はこの卦象を観て、電光と雷鳴の明察と威厳を感じ取り、もって訴訟を裁断し、刑罰を執行する。

邵雍の解釈

盛大にして豊満、財を得て利を博す。謀望は遂げられ、必ず喜慶がある。小吉:この卦を得た者は、運勢がまさに強く、謀る事は成る。名利双収。ただし過貪は宜しくなく、足るを知って常に楽しむべきである。喜びが極まって悲しみが生じることや、財を損なうこと、さらには火災を防ぐよう謹むべし。

伝統的解卦

この卦は異卦(下離上震)が重なったもので、電光が走り雷が鳴り響き、偉大な成果を収め、絶頂期に達して日中天にあるかのようである。戒め:物事が相反する方向へ発展すること、盛衰は無常であることを深く認識し、警戒を怠ってはならない。

五六

本卦と変卦

六親納甲地火明夷六親納甲水火既済
父母Gui You 癸酉▄▄           ▄▄兄弟Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄  応
兄弟Gui Hai 癸亥▄▄           ▄▄  × →官鬼Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄
官鬼Gui Chou 癸丑▄▄           ▄▄  世父母Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄
兄弟Ji Hai 己亥▄▄▄▄▄▄▄兄弟Ji Hai 己亥▄▄▄▄▄▄▄  世
官鬼Ji Chou 己丑▄▄           ▄▄官鬼Ji Chou 己丑▄▄           ▄▄
子孫Ji Mao 己卯▄▄▄▄▄▄▄  応子孫Ji Mao 己卯▄▄▄▄▄▄▄

爻辞原文

六五
箕子(きし)の明(めい)夷(やぶ)る。貞(ただ)しきに利あり。

爻辞の現代語訳

六五:殷が滅亡した後、箕子は東方の隣国へ逃れて避難し、占って吉兆を得た。『象辞』に言う:箕子は退隠して正道を守り、その光輝ある姿は千古に滅びることはない。

邵雍の解釈

平。この爻を得る者は、知己に遭いにくく、あるいは家庭内の災難がある。官にある者は、徳を修め本性を養えば憂いなしと保てる。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 君子は困窮にあっても固く守り、将来は通達する。
  • 財運: 艱難をへて、初めて利益を得る。
  • 家宅: 親族が不和となり、婚姻は取りやめるのがよい。
  • 健康: 精神的な症状。

高島吞象の解釈

  • 時運: 現在はまさに困厄の時にあるが、その正しさを失わなければ、時を経て必ず通じる。
  • 戦争: 主将が賢明でなく、策士が逃亡する象である。
  • 商業: 必ず艱苦を経て、のちに利益を得る。
  • 功名: 時勢が日に日に厳しくなるため、進むのは好ましくなく、退いて守るのがよい。
  • 家宅: 親族が不和になる暗示がある。
  • 病気: 気が狂う病に防備せよ。
  • 婚姻: 婚姻は取りやめるのがよい。
  • 訴訟: 一時的には理が通らなくても、時が経てば自然と明らかになる。
  • 妊娠: 女子が生まれる。

変卦原文

既済(きせい)は、小(すこ)し亨(とお)る。貞(ただ)しきに利あり。初めは吉にして終りには乱る。
物に過ぐることある者は必ず済(な)す。故にこれを受くるに既済(きせい)をもってす。

変卦の現代語訳

既済卦。亨通する。これは小事において吉となる貞卜である。初めは吉であるが、終わりには乱れる。《象伝》に言う:本卦の上卦は坎であり、坎は水;下卦は離であり、離は火である。水が上にあり火が下にあって、水が火を消すのが既済の卦象である。君子はこの卦象を観て、患いのない時に備え、未然に防ぐのである。

邵雍の解釈

救済が成し遂げられ、堅忍にして自重する。大より小へ、盛運を確保する。小吉:この卦を得る者は、事業が成り、成功の象であるが、盛極まれば必ず衰えることを戒め、退守するのを吉とし、さらに進むのは凶とする。

伝統的解卦

この卦は異卦(下離上坎)が重なったものです。坎は水、離は火であり、水と火が交わり、水が火の上にあるため、水の勢いが火の勢いを抑え込んで消火の大功が成し遂げられます。「既」はすでに、「済」は成るの意味です。既済とは、物事がすでに成功したものの、最終的には変動や異変が生じることを意味します。

上六

本卦と変卦

六親納甲地火明夷六親納甲山火賁
父母Gui You 癸酉▄▄           ▄▄  × →官鬼Bing Yin 丙寅▄▄▄▄▄▄▄
兄弟Gui Hai 癸亥▄▄           ▄▄妻財Bing Zi 丙子▄▄           ▄▄
官鬼Gui Chou 癸丑▄▄           ▄▄  世兄弟Bing Xu 丙戌▄▄           ▄▄  応
兄弟Ji Hai 己亥▄▄▄▄▄▄▄妻財Ji Hai 己亥▄▄▄▄▄▄▄
官鬼Ji Chou 己丑▄▄           ▄▄兄弟Ji Chou 己丑▄▄           ▄▄
子孫Ji Mao 己卯▄▄▄▄▄▄▄  応官鬼Ji Mao 己卯▄▄▄▄▄▄▄  世

爻辞原文

上六
不明にして晦(くら)し。初めには天に登り、後には地に入る。

爻辞の現代語訳

上六:陽光が消え去り、天が暗くなった。太陽が初めて昇るのは君子が仕官する象であり、太陽が隠没するのは君子が退隠する象である。『象辞』に言う:太陽が初め昇り、君子は仕官して四方を照らす。太陽が隠没し、君子は退隠して、国に手本がなくなる。

邵雍の解釈

凶。この爻を得る者は、先に喜びがあり後に憂いがある。高齢者は長寿を保ちがたい。官にある者は人からの流言を防ぎ、あるいは免職・左遷を警戒せよ。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 初めは良く後で悪くなるため、身を引くのがよい。
  • 財運: 価格は適正にすべきであり、そうして初めて信用が得られる。
  • 家宅: 地勢が低すぎる。先には富むが後には貧しくなる。
  • 健康: 上でのぼせ、下で下すため、極めて治療しがたい。

高島吞象の解釈

  • 時運: 初期の運勢は良いが、後期の運勢は良くない。万事一歩退いて考えることで、初めて咎なしとなる。
  • 功名: 姿を隠し跡をくらますのがよく、才能をひけらかすべきではない。
  • 商業: 商品の価格が最初は高すぎ、のちに安くなりすぎて天地の開きが出る。適正に保つのがよい。
  • 戦争: 山を攻めて険所を奪う際、深淵に転落する災難に防備せよ。
  • 婚姻: 先には富むが後には貧しくなる懸念がある。
  • 家宅: この邸宅は高山に面し、後ろは深淵に臨んでおり、地勢が低く落ち込んでいるのが悔やまれる。
  • 病気: 初めは気が逆上する患いがあり、のちに下痢を起こす。治しがたい。
  • 妊娠: 女子が生まれる。

変卦原文

賁は、亨(とお)る。小(すこ)しく往くところあるに利あり。
嗑とは合(ごう)なり。物もって苟(いや)しくも合うのみなるべからず。故にこれを受くるに賁(ひ)をもってす。

変卦の現代語訳

賁卦。通ず。往くところあるは小利あり。《象辞》に曰く:本卦は上卦が艮(山)、下卦が離(火)であり、山の下に火がある。火が群山を焼き照らす、これが賁卦の卦象である。君子はこの卦象を観て、猛火が山を焼き、玉石ともに砕け、草木がことごとく尽きることを思い、これを戒めとし、もって諸般の政務を明察し、威猛をもって獄を断ずることをあえてしない。

邵雍の解釈

文飾を施して明らかにするが、外は実にして内は虚なり。憂いを隠し持つ時であり、実力を量って行動せよ。小凶:この卦を得る者は、表面は華やかであるが、内実は空虚で、虚が多く実が少ない。自己を充実させ、着実に物事を行い、身の程をわきまえて行動するのがよい。

伝統的解卦

この卦は二つの卦(下卦が離、上卦が艮)が重なり合って構成されている。離は火、明を示し、艮は山、止まるを示す。文明にして節度がある。賁卦は「文(飾り)」と「質(本質)」の関係を論じており、質を主として文で調節する。賁は文飾、修飾を意味する。


三・卦例

このサイトの易経占いツールで卦を立て、この卦を実例の中で確認できます。梅花心易や小六壬も利用できます。

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