易経文字数 9950読了時間25

易経 · No.45 · 沢地萃

沢地萃(第45卦)の卦辞、爻辞、変卦、伝統的解釈をまとめた易経資料。

本卦

六親納甲沢地萃
父母Ding Wei 丁未▄▄           ▄▄
兄弟Ding You 丁酉▄▄▄▄▄▄▄  応
子孫Ding Hai 丁亥▄▄▄▄▄▄▄
妻財Yi Mao 乙卯▄▄           ▄▄
官鬼Yi Si 乙巳▄▄           ▄▄  世
父母Yi Wei 乙未▄▄           ▄▄

本卦原文

萃(すい)は、王有廟(ゆうびょう)に仮(いた)る。大人を見るに利あり。亨(とお)る。貞(ただ)しきに利あり。大牲(たいせい)を用うるに吉。往くところあるに利あり。
姤(こう)とは遇(ぐう)なり。物相い遇いて後に聚(あつま)る。故にこれを受くるに萃(すい)をもってす。

本卦の現代語訳

萃卦。通達して盛んなるなり。王は宗廟に至りて祭祀を行う。この卦を占うに、貴族や王公に会うに利あり、亨通なり、これは吉なる貞兆なり。大牲(牛)を用いて祭るは極めて吉にして、往くところあるに利あり。『象辞』に曰く:本卦の上卦は兌、兌は沢となり、下卦は坤、坤は地となる。沢の水が地に溢れるは萃の卦象なり。君子はこの卦象を観て、洪水が横溢し禍乱が集まることを戒め、もって兵器を修め、不測の事態に備える。

邵雍の解釈

物産が豊富で、豊かに集まる。目上の引き立てを得て、何事もうまくいかないことはない。吉:この卦を得る者は運気が絶好調であり、貴人の助けを得て厚い利益を上げ、万事順調である。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 安きに居りて危うきを忘れねば、自然と憂いなし。
  • 財運: 財が集まる象である。集まることもあれば、散ることもある。
  • 家宅: 水が家に入るのを防ぎ、身を清潔に保ち自愛せよ。
  • 健康: 胸や腹に水が溜まり膨らんでいる。早めに養生し手当てせよ。

高島吞象の解釈

  • 時運: 運気は平穏で順調である。安きにあって危うきを忘れなければ、自然と歓楽ありて憂いなし。
  • 戦争: 兵は凶器であり、戦は危険な事柄である。ただ、事に臨んで恐れ慎み、よく謀って成し遂げれば、不測の憂いはない。
  • 商業: 《萃》は財が集まる象ですが、集まれば必ず散り、満ちれば必ず欠けるのも道理の循環であり、常に予防しておくべきです。
  • 功名: 武功によって名声を得るのがよいでしょう。
  • 婚姻: 「匪寇婚媾(寇するに非ず、婚媾せんとす)」、『易』ではしばしば寇(賊)と婚礼を対比して言います。兵禍を防ぐことは、女難を防ぐようなものです。ただ予防することができれば、自ずと咎はありません。
  • 家宅: 沢が水の上にあり、大水が家に入り込む象があるため、注意が必要です。
  • 病気: 胸腹部の水腫や張りの症状に注意し、あらかじめ養生して治療するのがよいでしょう。
  • 旅人: 途中で兵に阻まれ、一時的に帰るのが難しくなります。
  • 妊娠: 女の子が生まれます。

伝統的解卦

この卦は異卦が重なり合ったものです(下坤上兌)。坤は地であり、順。兌は沢であり、水。沢が氾濫して大地を埋め尽くし、人が多く集まって互いに争うため、危機が至る所に潜んでいます。必ず天に従い賢人を任用し、未雨の備え(事前準備)をし、しなやかで和悦をもって接すれば、互いに相乗効果を生み、安らかに暮らして生業を楽しむことができます。萃は、集まること、団結することを意味します。

  • 大象: 沢が地の上にあり、水が泥土の中に集まり、草木を潤して生い茂らせます。
  • 運勢: 吉運が盛んで、さらに目上の引き立てを得て事業は大いに利しますが、金銭トラブルには注意が必要です。
  • 事業: 興隆し発展し、団結して和睦します。まさに旭日の勢いですが、水が多くなれば氾濫し、人が多くなれば競争は必ず激しくなります。盛んなれば必ず衰えるため、決して驕らず、慎重かつ小心であるのがよいでしょう。しかし、躊躇して決断を欠くのも良くなく、勇気を持って前進し、新規業務を開拓すべきです。高尚な品徳をもって人々を服従させることが肝要です。
  • 商売: 真摯に協力し、団結して互いに助け合います。励まし合いは事業の興隆と発展の象徴です。大胆に市場を開拓し、堅実に前進して備えを怠らなければ、必ず絶え間ない発展を得られます。
  • 名声: 個人の努力だけでは、大きな成果は得られません。必ず他人の援助を得て、個人の条件と合わせることで、初めて理想の境地に達することができます。
  • 婚姻: 成功を急がず、互いに愛し合えば、円満で幸福になります。
  • 判断: 他人と団結して協力することに長け、指導力があります。しかし、心胸を広く持ち、視野を広くしなければなりません。誠実と中正を根本とし、原則を失わず、特に自分には厳しく、他人には寛容であるべきです。他人の反対に遭ったときは、真摯に自己反省して教訓を得ること。このような心構えで処世すれば、生涯無事であり、事業は必ず通達します。

二・爻辞

初六

本卦と変卦

六親納甲沢地萃六親納甲沢雷随
父母Ding Wei 丁未▄▄           ▄▄妻財Ding Wei 丁未▄▄           ▄▄  応
兄弟Ding You 丁酉▄▄▄▄▄▄▄  応官鬼Ding You 丁酉▄▄▄▄▄▄▄
子孫Ding Hai 丁亥▄▄▄▄▄▄▄父母Ding Hai 丁亥▄▄▄▄▄▄▄
妻財Yi Mao 乙卯▄▄           ▄▄妻財Geng Chen 庚辰▄▄           ▄▄  世
官鬼Yi Si 乙巳▄▄           ▄▄  世兄弟Geng Yin 庚寅▄▄           ▄▄
父母Yi Wei 乙未▄▄           ▄▄  × →父母Geng Zi 庚子▄▄▄▄▄▄▄

爻辞原文

初六
孚(まこと)ありて終わらず。乃(すなわ)ち乱れ乃(すなわ)ち萃(あつ)まる。若(も)し号(さけ)べば一握(いちあく)笑いと為(な)らん。恤(うれ)うるなかれ。往(ゆ)けば咎(とが)なし。

爻辞の現代語訳

初六:捕虜を捕らえたものの、また逃げられてしまい、混乱と憂いをもたらし、皆が叫びながらあちこち追い回します。ついに追い戻すことができ、また嬉しそうに笑い合い、もはや心配する必要はなくなります。この爻を得たなら、大胆に進んで災難はありません。《象辞》に言う:混乱し、やつれるのは、その人の心志が乱れているからである。

邵雍の解釈

平。この爻を得た者は、小人の陥害を受け、初めは凶ですが後には吉となります。慎重に行動すべきです。官職にある者は左遷される恐れがあります。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 順境と逆境が交錯しますが、人の援助を得られます。
  • 財運: 集散が定まらず、咎(とが)を免れることができる。
  • 家宅: 長く留まるべきではない。始めは乱れ、終わりには見捨てられる。
  • 健康: 心神が錯乱しているが、医者を求めれば治癒する。

高島吞象の解釈

  • 時運: 運気の交わり始めであり、一順一逆、反復して定まらないが、救援を得て咎を免れることができる。
  • 功名: にわかに栄え、にわかに辱められるのは、心の中に主宰するものがないためである。
  • 商業: 始めあって終わりなく、集散が定まらず、利益を得ることはできない。ただ咎を免れることができるだけである。
  • 戦争: 軍を率いて出征するが、兵変(反乱)の憂いを防ぐ必要がある。
  • 婚姻: 始めは乱れるが、最終的には娶(めと)ることになる兆しがある。
  • 病気: この病は急に叫んだり笑ったりするが、これは心神の昏乱によるものである。行って医者を求めれば、必ずや咎なし。憂う必要はない。
  • 妊娠: 女子が生まれる。

変卦原文

随は、元(おお)いに亨(とお)る貞(ただ)しきに利あり。咎(とが)なし。
豫べば必ず随(したが)うことあり。故にこれを受くるに随(ずい)をもってす。

変卦の現代語訳

随卦。大吉にして大利、貞に吉。災いなし。『象伝』に曰く:本卦の下卦は震にして震は雷、上卦は兌にして兌は沢。雷が沢の中にありて、大地は凍り万物は蟄伏するが随の象なり。君子はこの卦象を観て、天時に随って静まる雷に倣い、時に応じて息(いこ)い、日が暮るれば室に入りて休息す。

邵雍の解釈

随順和同し、貞固に自らを持す。機運に従うべきで、専横にしてはならない。小吉:この卦を得る者は、大勢に従うが宜しく、物事は成る。何事も他人と多くコミュニケーションを取れば、名利を共に得られる。決して我執を通すべからず、専横なる者は事成らず。

伝統的解卦

この卦は異卦(下震上兌)が重なったもので、震は雷、動くことを表し、兌は悦び、動いて悦ぶことが「随」である。「随」とは相互に従い合うことを指し、自己に従う物があり、物も自己に従うことができ、互いに疎通する。随は必ず時に従い勢いに順ずるものであり、原則と条件があり、堅貞(節操を固く守ること)を前提とする。

二六

本卦と変卦

六親納甲沢地萃六親納甲沢水困
父母Ding Wei 丁未▄▄           ▄▄父母Ding Wei 丁未▄▄           ▄▄
兄弟Ding You 丁酉▄▄▄▄▄▄▄  応兄弟Ding You 丁酉▄▄▄▄▄▄▄
子孫Ding Hai 丁亥▄▄▄▄▄▄▄子孫Ding Hai 丁亥▄▄▄▄▄▄▄  応
妻財Yi Mao 乙卯▄▄           ▄▄官鬼Wu Wu 戊午▄▄           ▄▄
官鬼Yi Si 乙巳▄▄           ▄▄  世 × →父母Wu Chen 戊辰▄▄▄▄▄▄▄
父母Yi Wei 乙未▄▄           ▄▄妻財Wu Yin 戊寅▄▄           ▄▄  世

爻辞原文

六二
引けば吉にして、咎(とが)なし。孚(まこと)あって、乃(すなわ)ち禴(やく)に用うるに利あり。

爻辞の現代語訳

六二:この爻を占って得た者は、長期にわたり吉であり、災難はない。祭祀を占う場合、貞兆が示すところによれば、春の祭祀には捕虜を生贄(いけにえ)として用いるのが良い。《象辞》に言う、「長期にわたり吉であり、災難はない」とは、六二の陰爻が下卦の中位に居り、人が正道を固く守って決して変えない様子を象(かたど)っているからである。

邵雍の解釈

吉。この爻を得た者は、ちょうど好運に当たり、貴人に引き立てられて営利を得る。官にある者は人に推薦されて昇進できる。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 中正の運気であり、人の援助を得られる。
  • 財運: 協力・提携が有利であり、虔誠(けんせい)に神に感謝を捧げるべきである。
  • 家宅: 祖先の積徳があり、婚姻が調う。
  • 健康: 気功を励み鍛えるのが良い。

高島吞象の解釈

  • 時運: 運気は正中を得ており、吉である。
  • 功名: 引き立てられて進むことが期待できる。
  • 商業: 「引」とは牽引することである。衆人の意に合致することを考えれば、必ず吉を得ることができるが、神への誓いを果たし感謝を捧げる必要がある。
  • 戦争: いにしえの出師(しゅっすい)には必ず祭祀を行い、内なるものを「類」と呼び、野におけるものを「馮」と称した。神を祭りて師(軍)に誓うためである。吉。
  • 婚姻: 二は五に応じる。これは二と五が婚約することを意味するため、「引吉(導かれて吉)」と言う。
  • 病気: 仙人の辟穀(へきこく)の方法を「引導」と呼び、その元気を導き動かして、満ち足りて欠けることなからしめることで、病を退けることができる。
  • 妊娠: 女子が生まれる。

変卦原文

困(こん)は、亨(とお)る。貞(ただ)し。大人は吉にして咎なし。言うことあれど信ぜられず。
升りて已(や)まざれば必ず困(くる)しむ。故にこれを受くるに困(こん)をもってす。

変卦の現代語訳

困卦。通泰なり。王公貴族の事を占って吉、災いなし。この卦に遭えば、罪ある者は弁明することができない。《象辞》に曰く:本卦の上卦は兌(沢)、下卦は坎(水)であり、水が沢の底に浸み込んで、沢が涸れ果てるのが困の象である。君子はこの卦象を観て、困難な境遇にあっても自らを励まし、困窮すれどもいよいよ堅く、身を捨て命を捧げて志を遂げる。

邵雍の解釈

沢の上に水なく、困窮す。万物生ぜず、徳を修めて静守す。凶:この卦を得る者は困境に陥り、事々意のごとくならず、正道を堅守して時を待つがよい。

伝統的解卦

この卦は異卦(下坎上兌)が重なる。兌は陰であり沢で悦びを表し、坎は陽であり水で険難を表す。「沢水困」、窮地に陥り、才能を発揮し難いが、正道を堅守して自ら楽しめば、必ず事を成し遂げて窮地を脱することができる。

三六

本卦と変卦

六親納甲沢地萃六親納甲沢山咸
父母Ding Wei 丁未▄▄           ▄▄父母Ding Wei 丁未▄▄           ▄▄  応
兄弟Ding You 丁酉▄▄▄▄▄▄▄  応兄弟Ding You 丁酉▄▄▄▄▄▄▄
子孫Ding Hai 丁亥▄▄▄▄▄▄▄子孫Ding Hai 丁亥▄▄▄▄▄▄▄
妻財Yi Mao 乙卯▄▄           ▄▄  × →兄弟Bing Shen 丙申▄▄▄▄▄▄▄  世
官鬼Yi Si 乙巳▄▄           ▄▄  世官鬼Bing Wu 丙午▄▄           ▄▄
父母Yi Wei 乙未▄▄           ▄▄父母Bing Chen 丙辰▄▄           ▄▄

爻辞原文

六三
萃如(すいじょ)たり。嗟如(さじょ)たり。利するところなし。往(ゆ)いて咎(とが)なし。小(すこ)し吝(りん)なり。

爻辞の現代語訳

六三:憂い嘆き息を漏らす。この爻を占って得た者は、利するところがない。行旅に出れば災難はないが、小さなトラブルはある。《象辞》に言う、行旅に災難がないのは、六三の陰爻が九四の陽爻の下に居り、臣下が君主に順従し、行動が慎み深い様子を象っているからである。

邵雍の解釈

凶。この爻を得た者は、家内が不安であり、親族に損失があり、高齢者には凶が多い。官にある者はその地位にあって安寧を得られず、外に出れば艱難苦多し。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 運途は平凡であり、小人を防ぐ必要がある。
  • 財運: 他へ転運すれば、咎を免れることができる。
  • 家宅: 転居が宜しい。怨み合う夫婦の嘆きがある。
  • 健康: 胸部の不快感。排泄に注意すること。

高島吞象の解釈

  • 時運: 運途は平々凡々であり、利益を得ることはできない。
  • 功名: 功名は不利であり、かえって人に軽蔑される。
  • 商業: 貨物は多くとも売れずに嘆くばかりで、何の利益があろうか。ただ他へ転送すれば、咎を免れることができる。
  • 戦争: 兵があってもこれを用いることができず、かえって怨嗟を招く。主将に衆を御する才能がないためである。
  • 婚姻: 怨み合う夫婦の嘆きを免れない。
  • 家宅: 同居して和合せず、口論が多くなる。他へ移れば咎を免れることができる。
  • 病気: 胸塞がりて滞り痛みが生じ、苦痛の声を上げる。これは大便小便の通りが悪いためであり、通じれば咎を免れることができる。
  • 訴訟: 不利です。
  • 妊娠: 女子が生まれる。

変卦原文

咸は、亨(とお)る。貞(ただ)しきに利あり。女(じょ)を取(めと)るときは吉なり。
天地ありて然る後に万物あり。

変卦の現代語訳

咸卦。亨(とお)る、貞(ただ)しきに利(よ)ろし。女を娶(めと)るに吉。《象辞》に曰く:本卦の下卦は艮、艮は山;上卦は兌、兌は沢。山の上に沢あり、山気と水息が互いに感応し合うのが、咸の卦象である。君子はこの卦象を観て、深き山谷や広き大沢に倣い、心を虚しくして谷の如くし、謙虚な態度で他者からの教えや益を受け入れる。

邵雍の解釈

両性の交感であり、正道による感応。物が叩かれれば鳴るように、時を知り機を察する。小吉:この卦を得た者は、謙虚に人に接すれば、吉兆を迎え意のままになり、物事を成し遂げられる。ただし、不当な感情に溺れて心を迷わせてはならない。

伝統的解卦

この卦は異卦(下艮上兌)が重なったものである。艮は山、沢は水。兌の柔が上にあり、艮の剛が下にある。水は下に浸み込み、柔が上で剛が下となって互いに感応し合う。感ずればすなわち成る。

四九

本卦と変卦

六親納甲沢地萃六親納甲水地比
父母Ding Wei 丁未▄▄           ▄▄妻財Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄  応
兄弟Ding You 丁酉▄▄▄▄▄▄▄  応兄弟Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄
子孫Ding Hai 丁亥▄▄▄▄▄▄▄  ○ →子孫Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄
妻財Yi Mao 乙卯▄▄           ▄▄官鬼Yi Mao 乙卯▄▄           ▄▄  世
官鬼Yi Si 乙巳▄▄           ▄▄  世父母Yi Si 乙巳▄▄           ▄▄
父母Yi Wei 乙未▄▄           ▄▄兄弟Yi Wei 乙未▄▄           ▄▄

爻辞原文

九四
大吉(だいきつ)にして、咎(とが)なし。

爻辞の現代語訳

九四:大吉大利、災難はない。《象辞》に言う、貞兆はもともと大吉大利であるが、結果としては単に災難がないというにとどまる。なぜなら九四の陽爻が陰位に居り、才能が小さく徳が薄い者が高い地位に就いている様子を象っているためである。その官運を論ずれば「亨(通る)」であるが、官職にあることについて論ずれば、ただ災いがないことを求めるだけである。

邵雍の解釈

平。この爻を得る者は、正道に従わなければ凶禍があるが、大徳の君子のみは過ちを改めて福を得る。官職にある者は他人の猜疑を防ぐ必要があり、高位を捨てて低きに就き、急流勇退するのが吉である。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 大いに順調ではあるが、徳がその地位に見合っていない。
  • 財運: 大きな利益が目の前にあるが、身を慎むことが善となる。
  • 家宅: 興隆して平安であるが、門地(家柄)に差がある。
  • 健康: 外強中干(外見は強そうだが、内実は空っぽである)。

高島吞象の解釈

  • 時運: 運気は大いに良いが、行く先々で吉とならないわけではないが、地位が不適当であるため、慎むべきである。
  • 功名: 大吉であるが、徳が地位に見合わない恐れがある。
  • 商業: 財と利を得て大吉。一歩退くことを考えてこそ、有始有終を保つことができる。
  • 戦争: 戦いに勝ち攻め落として大吉大利。功績が高すぎて主君を脅かし、誹謗中傷が付きまとうのを防ぐべきである。
  • 婚姻: 四と初は正応(正しく対応する関係)であり、すなわち正配となって吉であるが、門地(家柄)がやや不釣り合いである恐れがある。
  • 家宅: この邸宅は家族が繁栄し、家内安全で大吉である。しかし、地位がやや卑しいのが惜しまれる。
  • 病気: 外強中干(外は強く内は虚しい)の症であり、目下はとがめなしを保てる。
  • 妊娠: 女児が生まれる。

変卦原文

比は吉。原筮(げんぜい)するに元永(げんえい)貞(てい)にして、咎(とが)なし。寧(やす)からざるものまさに来る。後夫(こうふ)は凶。
師とは衆なり。衆なれば必ず比(した)しむところあり。故にこれを受くるに比(ひ)をもってす。

変卦の現代語訳

比の卦。吉利。同時に再び卜筮するも、なお大吉大利なり。長期の吉凶を卜問するに、また災禍なし。臣服せざる邦国も来朝し、遅れて来る者は難あり。《象辞》に曰く:下卦は坤、上卦は坎、坤は地、坎は水、地に水有るは比なり。先王はこの卦象を観て、水の地に附し、地の江河を納むるに法(のっと)り、万国を封建し、諸侯に親しむ。

邵雍の解釈

水が地の上を行き、親比して和楽す。人情は親しみ順(したが)い、百事憂いなし。吉:この卦を得る者は、朋友の助け、衆人の力を得て、事を謀りて成るを得、栄顕の極みに達す。

伝統的解卦

この卦は異卦(下坤上坎)が重なり、坤は地、坎は水。水は大地に附し、地は河海を納め、相互に依存して親密無間なり。この卦は師卦と完全に相反し、互いに綜卦となる。相親しみ相助け、寛大無私にして精誠団結するの道理を明らかにする。

五九

本卦と変卦

六親納甲沢地萃六親納甲雷地豫
父母Ding Wei 丁未▄▄           ▄▄妻財Geng Xu 庚戌▄▄           ▄▄
兄弟Ding You 丁酉▄▄▄▄▄▄▄  応 ○ →官鬼Geng Shen 庚申▄▄           ▄▄
子孫Ding Hai 丁亥▄▄▄▄▄▄▄子孫Geng Wu 庚午▄▄▄▄▄▄▄  応
妻財Yi Mao 乙卯▄▄           ▄▄兄弟Yi Mao 乙卯▄▄           ▄▄
官鬼Yi Si 乙巳▄▄           ▄▄  世子孫Yi Si 乙巳▄▄           ▄▄
父母Yi Wei 乙未▄▄           ▄▄妻財Yi Wei 乙未▄▄           ▄▄  世

爻辞原文

九五
萃(あつ)むるに位(くらい)あり。咎(とが)なし。孚(まこと)とするにあらざるときは、元永貞(げんえいてい)にして、悔(くい)亡(ほろ)ぶ。

爻辞の現代語訳

九五:職務に心力を尽くすため、災いはない。軽々しく人を罰せず、長期の吉凶を占えば、貞兆は「大きな後悔はない」と示す。『象辞』に言う:職務に心力を尽くし、結果として災いがないだけなのは、才能が劣っており、大きな建樹(功績)を立てることができないからである。

邵雍の解釈

平。この爻を得る者は、人情が合わず、計画に障害が生じる。官職にある者は人望を得られず、その志は発揚されない。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 地位と権力があるが、さらに徳を修めるべきである。
  • 財運: 利潤はあるものの、正道を堅守しなければならない。
  • 家宅: 一族が集まって暮らす。立派な婿と称されるにふさわしい。
  • 健康: 心神が安まらないため、静養するのが最も良い。

高島吞象の解釈

  • 時運: 地位と権力を得て、運気は全盛期にあり、自然ととがめなしとなる。
  • 商業: 財は集まるが、信用はまだ十分ではない。正道を堅守すれば、家業は長久に保てる。
  • 功名: 地位は高く、信望も厚い。さらに徳を修めて正道を歩むべきである。
  • 戦争: 三軍がすでに集まり、大業を成し遂げることができる。さらに誠意をもって交わるべきであり、そうすれば永遠の終わりを保つことができる。
  • 婚姻: 地位が高く富に恵まれ、立派な婿と称されるにふさわしい。
  • 家宅: この宅地は山に囲まれ水が集まり、一族が集まって暮らすのに適しており、吉である。
  • 病気: 心神が定まらないため、静養するのがよい。
  • 訴訟: 訴訟を起こす者の爵位が高く、勢力が盛んであるため、曲がったことも道理が通る。
  • 妊娠: 女児が生まれる。
  • 遺失物: 後になれば得ることができ、とがめなし。

変卦原文

侯(きみ)を建て師(いくさ)を行(や)るに利あり。
大いに有してよく謙であれば、かならずよろこぶ。ゆえにこれを受けるに豫をもってする。

変卦の現代語訳

豫卦。侯を封じ国を建て、兵を出して戦うに利あり。《象辞》に曰く:本卦の上卦は震、震は雷なり。下卦は坤、坤は地なり。春雷が轟き、大地が振動して万物を促し発する、これが豫卦の卦象である。先王はこの卦象を観て、大地に満ちる雷鳴の響きに倣って音楽を作り、功徳を歌え称え、その栄光を上帝(天帝)に帰し、栄光を祖考(祖先)に帰した。

邵雍の解釈

雷が地の上に現れ、人々は悦服し快楽を得る。安楽の中にありながらも、憂患を予防すべし。吉:この卦を得る者は、天に従い時に応じ、事ごとにおいて吉祥なり。目上の者の助力を得られるが、色難(男女間のトラブル)を防ぐ必要があり、決して酒色や歓楽の場に溺れてはならない。

伝統的解卦

この卦は異卦(下坤上震)が重なったものである。坤は地、順を意味し、震は雷、動を意味する。雷が時に応じて出ずるは、大地に春が巡り来ることを予示する。順に従って動くは、和楽の源泉である。この卦と謙卦は互いに綜卦(反転した関係)であり、相互に作用し合う。

上六

本卦と変卦

六親納甲沢地萃六親納甲天地否
父母Ding Wei 丁未▄▄           ▄▄  × →父母Ren Xu 壬戌▄▄▄▄▄▄▄  応
兄弟Ding You 丁酉▄▄▄▄▄▄▄  応兄弟Ren Shen 壬申▄▄▄▄▄▄▄
子孫Ding Hai 丁亥▄▄▄▄▄▄▄官鬼Ren Wu 壬午▄▄▄▄▄▄▄
妻財Yi Mao 乙卯▄▄           ▄▄妻財Yi Mao 乙卯▄▄           ▄▄  世
官鬼Yi Si 乙巳▄▄           ▄▄  世官鬼Yi Si 乙巳▄▄           ▄▄
父母Yi Wei 乙未▄▄           ▄▄父母Yi Wei 乙未▄▄           ▄▄

爻辞原文

上六
齎咨(しし)涕洟(ていい)す。咎(とが)なし。

爻辞の現代語訳

上六:ため息をつき涙を流し、憂い患うが、災難はない。『象辞』に言う:ため息をつき涙を流し、憂い患うのは、上六の爻が卦の極限に位置し、孤立して頼るものがなく、人が高位に居ながら薄氷を踏むように恐れおののいて日々を過ごすようだからである。

邵雍の解釈

凶。この爻を得る者は、物事に煩わされることが多く、安寧を得られない。あるいは上下に情がなく、老若ともに憂い、名利は虚しくなる。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 年老いて運気が退き、人の援助を待つ状態である。
  • 財運: 利益は見込めないが、幸いにも救済がある。
  • 家宅: 家庭が安泰でなく、生別死別がある。
  • 健康: 深い悲しみから病にかかるため、心をゆったりと持つべきである。

高島吞象の解釈

  • 時運: 人は必ず年老いて運気が退き、極限まで困窮し悲痛な状態となり、憐れむべきである。しかし、必ずや哀れんで救ってくれる者が現れ、とがめなしを得る。
  • 商業: 孤独な旅人で連れもなく、行き詰まり日が暮れるようなもので、大いに悲しみ憂うべきことであるが、幸いにも救いを得てとがめなしとなる。
  • 功名: 時運が衰退しきっており、名を成すことは望み薄である。
  • 戦争: 軍勢が反乱を起こして離散し、主将が孤立する象(かたち)である。
  • 婚姻: 生別死別の悲しみがある。
  • 家宅: 夫婦は離別しすすり泣き、家庭は安泰ではない。
  • 病気: 病は悲しみ泣きすぎたことから生じているため、心を穏やかにして養生するのがよい。
  • 妊娠: 女児が生まれる。

変卦原文

否の人にあらざる、君子の貞(てい)に利あらず。大往き小来(きた)る。
泰とは通ずるなり。物はもって終に通ずべからず。故にこれを受くるに否(ひ)をもってす。

変卦の現代語訳

否卦。小人に隔てられ、これは君子にとって不利な占いで、事業も盛んから衰へと向かう。『象辞』に言う:天地が隔たって交わらず、万物が閉塞して通じないのが、否卦の象である。君子はこの卦象を観て、国家の政治が閉塞している時には、隠居して仕官せず、倹約を尊んで災難を避け、禄利を栄誉とすべきではないと考える。

邵雍の解釈

大往き小来たる、閉塞して通じず。否極まれば泰来たる、徳を修めて難を避く。凶:この卦を得るは、万物閉塞の象、上下和合せず、諸事順調にいかず。何事も耐え忍ぶべきであり、時運が好転するのを待って行動を起こすべきである。

伝統的解卦

この卦は異卦(下坤上乾)が重なり、その構造は泰卦と反対である。陽気が上昇し、陰気が下降して、天地が交わらず、万物が通じない。これらは互いに「綜卦」であり、泰が極まれば否となり、否が極まれば泰が来たるという、互いに因果となることを示している。


三・卦例

このサイトの易経占いツールで卦を立て、この卦を実例の中で確認できます。梅花心易小六壬も利用できます。

Share

この記事を共有