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易経 · No.56 · 火山旅

火山旅(第56卦)の卦辞、爻辞、変卦、伝統的解釈をまとめた易経資料。

本卦

六親納甲火山旅
兄弟Ji Si 己巳▄▄▄▄▄▄▄
子孫Ji Wei 己未▄▄           ▄▄
妻財Ji You 己酉▄▄▄▄▄▄▄  応
妻財Bing Shen 丙申▄▄▄▄▄▄▄
兄弟Bing Wu 丙午▄▄           ▄▄
子孫Bing Chen 丙辰▄▄           ▄▄  世

本卦原文

旅(りょ)は、小(すこ)し亨(とお)る。旅の貞(てい)あれば吉なり。
豊とは大なり。大を窮むる者は必ずその居を失う。故にこれを受くるに旅(りょ)をもってす。

本卦の現代語訳

旅卦。少し通る。旅を占って吉。《象辞》に曰く:本卦の上卦は離、離は火;下卦は艮、艮は山。山の上に火があり、幽暗なところを照らし出すのが、旅卦の卦象である。君子はこの卦象を観て、刑獄を明察し、判決を慎重に行い、濫りに刑罰を科すことも、審理を長引かせることもしない。

邵雍の解釈

旅先で困窮し、漂泊して定まらない。小さな望みは成るが、大きな願いは求めがたい。凶:この卦を得る者は、物事に変動が多く、異郷にいるようなもので、小事は成るが大事は成りがたい。慎んで平常を守るべきである。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 慎重に災害を防げば、昇進・抜擢が間近にある。
  • 財運: 外に出て商売をする際、商品を溜め込んではならない。
  • 家宅: 火災に注意すること。間もなく成婚する。
  • 健康: 肝火が強すぎ、生命に関わる。

高島吞象の解釈

  • 時運: 運気はまだ全盛ではないため、明らかにしてこれを察し、慎んでこれを防ぐべきである。そうすれば、災害があってもすぐに免れることができる。
  • 商業: 外に出て売買し、仕入れたものはすぐに販売するべきで、留め置いて溜めてはならない。
  • 功名: 山の上に火があり、光が遠くまで照らす象(かたち)である。昇進・抜擢が間近にある。
  • 戦争: 火攻めを用いる必要がある。
  • 家宅: 火災に厳重に注意すること。
  • 婚姻: 即日中に成就する。
  • 病気: 肝火上炎の症であり、その勢いは極めて危うく、生死の境にある。慎重に対処すべきである。
  • 訴訟: 即日中に解決する。
  • 旅人: まもなく帰還する。
  • 妊娠: 上半月生まれなら女児、下半月生まれなら男児。

伝統的解卦

この卦は異卦(下艮上離)が重なったものである。この卦は豊卦と表裏をなし、互いに「綜卦」となる。山中で火が燃え広がり、止まることなく先へ先へと燃え進む様子は、旅路を急ぐ旅人のようである。それゆえ「旅」卦と呼ばれる。

  • 大象: 火が山野を焼き、火の粉が至る所に広がり、通り過ぎる場所で免れるものはない。その火の動きは、定住の地を持たない旅人のようである。
  • 運勢: 諸事の変動が激しく定まらない。この時期はただ信念を固く守り、他人の意見を多く参考にすべきである。さもなくば必ず凶となる。
  • 事業: 創業や発展の段階にあり、様々な困難が多い。中正の方針を堅持し、正道に従って物事を行い、調査を怠らず、細心の注意を払い、状況の変化に応じて臨機応変に対策を講じることで、事業は順調に進展する。
  • 商売: 市場の状況は旅路のようであり、予期せぬ事態がいつでも起こり得る。したがって、まずは慎重さを原則とし、冒険は避けるべきである。しかし、縮こまりすぎるのも良くなく、特に疑心暗鬼になってはならない。市場を開拓する前に、十分な調査研究を行うこと。
  • 名声: 時代の要求に応じて自らの知識と能力を豊かにし、絶えず自己を高め、他者からの援助を得るよう努めること。
  • 婚姻: 双方の不確定要素が多い。もし本当に愛情があるならば、自然の流れに任せてから判断するとよい。婚姻は円満となる。
  • 判断: 人生が変化に富む状態にある。必ず視野を広く持ち、大きな志を立て、自己を絶えず高め、誠意と謙虚な態度で人に接し、一時の得失にこだわらず、幅広く交友関係を築くこと。そうすれば人生の旅路は極めて順調なものとなる。

二・爻辞

初六

本卦と変卦

六親納甲火山旅六親納甲離為火
兄弟Ji Si 己巳▄▄▄▄▄▄▄兄弟Ji Si 己巳▄▄▄▄▄▄▄  世
子孫Ji Wei 己未▄▄           ▄▄子孫Ji Wei 己未▄▄           ▄▄
妻財Ji You 己酉▄▄▄▄▄▄▄  応妻財Ji You 己酉▄▄▄▄▄▄▄
妻財Bing Shen 丙申▄▄▄▄▄▄▄官鬼Ji Hai 己亥▄▄▄▄▄▄▄  応
兄弟Bing Wu 丙午▄▄           ▄▄子孫Ji Chou 己丑▄▄           ▄▄
子孫Bing Chen 丙辰▄▄           ▄▄  世 × →父母Ji Mao 己卯▄▄▄▄▄▄▄

爻辞原文

初六
旅(りょ)のとき瑣々(ささ)たり。斯(こ)れその災いを取るところなり。

爻辞の現代語訳

初六:旅人が三心二意(あれこれ迷うこと)で進退を躊躇し、最後には住処を離れて自ら災いをもたらす。『象伝』に言う:旅人が三心二意であるとは、至る所で壁にぶつかり、精神的に疲れ果てていることを示している。

邵雍の解釈

凶。この爻を得た者は運気が振るわず、災難を防ぐ必要がある。仕官している者は才能があっても上司に重用されない。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 得られるものは限られている。修行や自己研鑽に励むのがよい。
  • 財運: 元手も利益もわずかであり、災いに注意すること。
  • 家宅: 慎重にすれば災いを免れる。身分の相応しい相手との婚姻が吉。
  • 健康: 病は初期のうちに治療すれば治る。

高島吞象の解釈

  • 時運: 出自が卑しく、運気も衰えており、孤独な旅の身では、利益を得ることは難しいでしょう。
  • 商業: 資産は極めてわずかで、生業もまた卑しく、災禍を免れることは難しい。
  • 功名: 得るものがあっても微々たるものである。
  • 戦争: 五百人を旅(軍の単位)とするが、軍力が弱小であり、敗北するのみで勝利はない。
  • 家宅: 地位が極めて低く、必ずや小家小戸の出である。慎めば災いを免れる。
  • 婚姻: 『詩経』に「瑣瑣たる姻婭、則ち膴仕なし」とあるように、名門大族ではないことが知れる。
  • 病気: 小さな災いや後悔があるが、初期であれば対処できる。
  • 妊娠: 男児が生まれる。

変卦原文

離は、貞(ただ)しきに利あり。亨(とお)る。牝牛を畜(やしな)う、吉なり。
坎とは陥(おちい)るなり。陥れば必ず麗(つ)くところあり。故にこれを受くるに離(り)をもってす。離とは麗くなり。

変卦の現代語訳

離卦。吉なる占問、通泰なり。牝牛を飼えば吉。《象辞》に曰く:今朝も太陽が昇り、明日も太陽が昇り、相継いで休むことがないのが離卦の卦象である。貴族や王公はこの卦象を観て、絶え間ない光明をもって四方を照らし臨むのである。

邵雍の解釈

光明に付麗し、謙虚に緩やかに進む。公正かつ柔和であり、順法を守れば吉。小吉:この卦を得た者は、謙虚かつ慎重に、着実に進めば前途は明るい。急進したり意気地を通したりする者は必ず損失を被る。

伝統的解卦

この卦は同卦(下離上離)が重なったものである。離とは麗(付着する)であり、一つの陰が上下二つの陽に付着している。この卦は火を象徴し、内は空で外は明るい。離は火であり、明である。太陽は繰り返し昇り沈み、運行して休まず、柔順を心とする。

二六

本卦と変卦

六親納甲火山旅六親納甲火風鼎
兄弟Ji Si 己巳▄▄▄▄▄▄▄兄弟Ji Si 己巳▄▄▄▄▄▄▄
子孫Ji Wei 己未▄▄           ▄▄子孫Ji Wei 己未▄▄           ▄▄  応
妻財Ji You 己酉▄▄▄▄▄▄▄  応妻財Ji You 己酉▄▄▄▄▄▄▄
妻財Bing Shen 丙申▄▄▄▄▄▄▄妻財Xin You 辛酉▄▄▄▄▄▄▄
兄弟Bing Wu 丙午▄▄           ▄▄  × →官鬼Xin Hai 辛亥▄▄▄▄▄▄▄  世
子孫Bing Chen 丙辰▄▄           ▄▄  世子孫Xin Chou 辛丑▄▄           ▄▄

爻辞原文

六二
旅(りょ)のとき次(やどり)に即(つ)く。其(そ)の資(たから)を懐(いだ)く。童僕(どうぼく)の貞(てい)を得たり。

爻辞の現代語訳

六二:旅人が市場に至り、財貨を懐にし、童僕を手に入れる。占って吉。『象伝』に言う、童僕を手に入れて占って吉とは、この取引に問題がないことを示している。

邵雍の解釈

吉。この爻を得る者は、運気が好転し、計画や営みが成就する。官にある者は栄達する。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 運勢は中正であり、名声と利益をともに得る。
  • 財運: 財を生み出す道があり、旅先にあっても憂いはない。
  • 家宅: 寄居するもまた福あり。富豪の婿養子となる。
  • 健康: 旅先で病にかかるが、他人の看病や介抱を得られる。

高島吞象の解釈

  • 時運: 財も人も得て、運途は中正であり、自ずから憂いはない。
  • 商業: 財を得て利益を謀ることができ、人を得て共に事をなすことができる。千里の旅路にあっても、憂うことはない。
  • 功名: 財をもって官位を買い求めた者である。
  • 戦争: 資財とは軍餉(軍資金)であり、「童仆」とは兵卒のことである。餉が足り兵が強ければ、攻めて勝たざるはなし。
  • 家宅: 必ずや寄居する住居であるが、幸いにも財用が満ち足りており、童僕も従順で正しく、家庭は穏やかであり、自ずから災禍はない。
  • 婚姻: 富豪の婿養子となる象がある。
  • 病気: 旅先で病を患うが、幸いにも童僕がいて、心を尽くして看病してくれるため、養生して全快することができる。
  • 妊娠: 男児が生まれる。

変卦原文

鼎(てい)は、元(おお)いに亨(とお)る。
物を革むるものは鼎(かなえ)にしくはなし。故にこれを受くるに鼎(てい)をもってす。

変卦の現代語訳

鼎卦。大吉大利、円滑に進む。《象辞》に言う:本卦の下卦は巽(木)、上卦は离(火)である。木の上に火があり、鼎で物を調理する様子、これが《鼎》の卦象である。君子はこの卦象を見て、鼎の三本の足が真っ直ぐに立って偏らないことに倣い、正道を貫いて自身の立場を守り、君主に重用されて使命を全うする。

邵雍の解釈

失敗を転じて功とし、他人の力を得て物事を成し遂げる。万事円滑に進み、急速に出世する。吉:この卦を得たときは運気がまさに良く、友人の助けを得て素晴らしい成果を上げることができる。他人と共同で事業を行うとさらに良い。

伝統的解卦

この卦は異卦(下巽上离)が重なったものである。薪を燃やして食材を調理し、生から熟したものへと変化させる、つまり「旧きを去って新しきを開く(除旧布新)」という意味を持つ。鼎は国の宝であり重器であり、三本の足で安定して立つ象である。調理することは食物が十分にあることを例え、もはや困難や困惑がないことを示す。これを基礎として変革を行い、事業を発展させるのがよい。

三九

本卦と変卦

六親納甲火山旅六親納甲火地晋
兄弟Ji Si 己巳▄▄▄▄▄▄▄官鬼Ji Si 己巳▄▄▄▄▄▄▄
子孫Ji Wei 己未▄▄           ▄▄父母Ji Wei 己未▄▄           ▄▄
妻財Ji You 己酉▄▄▄▄▄▄▄  応兄弟Ji You 己酉▄▄▄▄▄▄▄  世
妻財Bing Shen 丙申▄▄▄▄▄▄▄  ○ →妻財Yi Mao 乙卯▄▄           ▄▄
兄弟Bing Wu 丙午▄▄           ▄▄官鬼Yi Si 乙巳▄▄           ▄▄
子孫Bing Chen 丙辰▄▄           ▄▄  世父母Yi Wei 乙未▄▄           ▄▄  応

爻辞原文

九三
旅(りょ)にして其(そ)の次(やど)りを焚(や)く。其(そ)の童僕(どうぼく)を喪(うしな)う。貞(ただ)しけれど厲(あやう)し。

爻辞の現代語訳

九三:旅人が火災の起こった市場に至り、新たに買った童僕が騒ぎに乗じて逃げ去る。占って危うし。『象伝』に言う、旅人が火災の市場に至るとは、損失を被るということである。旅人が童僕を連れて行けば、童僕が騒ぎに乗じて逃げ去るのは自然の勢いである。

邵雍の解釈

凶。この爻を得る者は、運勢が暗転し、多災多難となる。官にある者は免職の憂いがある。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 運勢が覆り、危難が少なくない。
  • 財運: 利益を求める必要はなく、早くから災禍を防ぐべきである。
  • 家宅: 防火に注意せよ。偕老(ともに老いること)は難しい。
  • 健康: 子供または童僕を守ることが難しい。

高島吞象の解釈

  • 時運: 運途が覆り、破綻が重なり、大いに危うい状態である。
  • 戦争: 火攻めに厳重に警戒せよ。特に軍心の離散を憂慮すべきで、戦わずして自ずから逃げ散る。
  • 商業: 不測の災いがあることを防ぐべし。危うい。
  • 功名: 目先は望み薄であるが、必ず二年が経過し、五爻の「終に誉命を以てす」に至れば、名を成すことができる。
  • 婚姻: 一時は成就せず、ともに老いることは難しい。
  • 家宅: 祝融(火災)の災いがあることを防ぐべし。
  • 病気: 本人は回復するが、子供や童僕を守ることは難しい。
  • 遺失物: 必ずや童僕による盗みである。
  • 妊娠: 男児が生まれる。

変卦原文

晋は、康侯(こうこう)用(もっ)て馬を錫(たも)うこと蕃庶(はんしょ)たり。昼日(ちゅうじつ)に三たび接(まじ)わる。
物もって壮なるに終るべからず。故にこれを受くるに晋(しん)をもってす。

変卦の現代語訳

晋卦。康侯は成王から賜った良馬を用いて馬を繁殖させ、一日に何度も交配させた。《象辞》に曰く、「本卦の上卦は離であり、離は日。下卦は坤であり、坤は地。太陽が大地を照らし、万物がその光を浴びる」のが晋卦の象である。君子はこの卦象を観て、自らの明徳を明らかにする。

邵雍の解釈

日は地上に出でて、万物は進展す。恩賞は手厚く、百般の計画はことごとく遂げられる。吉:この卦を得た者は、旭日が東の空に昇るが如く、運気は旺盛で、収入も豊かになり、物事は成就し、すべてが意のままに進みます。

伝統的解卦

この卦は異なる卦(下坤上離)が重なり合っています。離は日であり、光明。坤は地。太陽が高く懸かり、大地をあまねく照らし、大地は順従で、万物は生育し、公明正大で、柔が進んで上に行く。これは事業が日増しに発展していくことを象徴しています。

四九

本卦と変卦

六親納甲火山旅六親納甲艮為山
兄弟Ji Si 己巳▄▄▄▄▄▄▄官鬼Bing Yin 丙寅▄▄▄▄▄▄▄  世
子孫Ji Wei 己未▄▄           ▄▄妻財Bing Zi 丙子▄▄           ▄▄
妻財Ji You 己酉▄▄▄▄▄▄▄  応 ○ →兄弟Bing Xu 丙戌▄▄           ▄▄
妻財Bing Shen 丙申▄▄▄▄▄▄▄子孫Bing Shen 丙申▄▄▄▄▄▄▄  応
兄弟Bing Wu 丙午▄▄           ▄▄父母Bing Wu 丙午▄▄           ▄▄
子孫Bing Chen 丙辰▄▄           ▄▄  世兄弟Bing Chen 丙辰▄▄           ▄▄

爻辞原文

九四
旅(りょ)のとき于(ここ)に処(お)る。其(そ)の資斧(しふ)を得(え)たり。我が心、快(こころよ)からず。

爻辞の現代語訳

九四:旅人が客舎に戻り、多くの財貨を得たものの、心は安らかではない。『象伝』に言う、旅人が客舎に戻るとは、そこが適当な居所ではないからである。多くの財を得たため、強盗を恐れ、自ずと心は安らかではない。

邵雍の解釈

凶。この爻を得る者は、外にあって成すところがあるが、美中の不足あり、憂いや悲しみ、是非の事案が発生する。商人は利益を得る。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 一時は困難あり、来年に持ち越しとする。
  • 財運: 利益は限られ、心に不満が残る。
  • 家宅: 地位が適さない。正妻ではない。
  • 健康: 憂鬱で楽しまず。

高島吞象の解釈

  • 時運: 盛運は未だ至らず、得るところも僅かである。
  • 商業: 遠出して行商するも利益は少なく、望み通りにはいかない。
  • 功名: 一時は得られずとも、来年まで待てば必ず成就する。
  • 戦争: 敵の兵糧を奪うことはできるが、急に大勝することはない。
  • 婚姻: 持参金は極めて厚いが、側室であり、正妻ではない。
  • 家宅: 地位が不当である。
  • 病気: 心の病である。望みが叶わず、憂鬱になったことが原因である。
  • 遺失物: 得られる。
  • 妊娠: 女子が生まれる。

変卦原文

その背に艮(とど)まりて、その身を獲(え)ず。その庭に行きて、その人を見ず。咎なし。
震とは動くなり。物もって動くに終るべからず。これを止(とど)む。故にこれを受くるに艮(ごん)をもってす。

変卦の現代語訳

艮卦。責任を解き、笏を掛けて隠退し、朝廷の列の中にはもはやその姿は見えず、その庭園を探しても見つかりません。その人は遠く飛び去り、自ずから災禍はありません。《象辞》に曰く:本卦は二つの艮卦が重なり、艮は山である。ゆえに艮卦の卦象は高い山が重なり立ち、深遠で穏重であることを示す。君子はこの卦象を観て、これを戒めとし、謀は位を越えず、明哲保身に努める。

邵雍の解釈

留まり阻止され、これ以上進めない。分相応にして貪らず、強求してはならない。小凶:この卦を得る者は、前路が阻まれており、妄進せず、守って好機を待つべきである。

伝統的解卦

この卦は同じ卦(下艮上艮)が重なったものです。艮は山であり、二つの山が重なることは「静止」を象徴します。これは震卦と相反します。高潮の後は必ず低潮が訪れ、物事の相対的な静止段階に入ります。山のように静止し、止まるべき時は止まり、進むべき時は進む。進退、すなわち動と静はどちらも機を失わず、程よく適切に行い、適度なところで止めるべきです。

五六

本卦と変卦

六親納甲火山旅六親納甲天山遯
兄弟Ji Si 己巳▄▄▄▄▄▄▄父母Ren Xu 壬戌▄▄▄▄▄▄▄
子孫Ji Wei 己未▄▄           ▄▄  × →兄弟Ren Shen 壬申▄▄▄▄▄▄▄  応
妻財Ji You 己酉▄▄▄▄▄▄▄  応官鬼Ren Wu 壬午▄▄▄▄▄▄▄
妻財Bing Shen 丙申▄▄▄▄▄▄▄兄弟Bing Shen 丙申▄▄▄▄▄▄▄
兄弟Bing Wu 丙午▄▄           ▄▄官鬼Bing Wu 丙午▄▄           ▄▄  世
子孫Bing Chen 丙辰▄▄           ▄▄  世父母Bing Chen 丙辰▄▄           ▄▄

爻辞原文

六五
雉(きじ)を射て一矢(いっし)亡(うしな)ふ。終に以て誉命(よめい)あり。

爻辞の現代語訳

六五:野の雉を射て、一発で命中する。その人はこれによって弓の名手という美名を得る。『象辞』に言う:ついに弓の名手という美名を得て、多くの人がこれを褒め称え、目上の者にも知られるようになる。

邵雍の解釈

吉。この爻を得る者は、年長者の助けを得て、物事が成就する。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 晩年の運勢は極めて良好、お祝い申し上げます。
  • 財運: 小さな損失で大きな利益を得る。名利ともにあり。
  • 家宅: 美しく善いと称すべきである。天が結んだ良き伴侶。
  • 健康: 殉職して表彰される。

高島吞象の解釈

  • 時運: 運路は柔軟で順調、小往大来(小なるものが去り大なるものが来る)、最後には慶びがある。
  • 商業: 小さな損失はあるものの、大きな獲得があり、名利を兼ね備える。
  • 功名: 晩年は運気が通り、名声が上がる。
  • 戦争: 一挙に成功する兆しがある。
  • 家宅: 新築の家が美しく整うように、善美を尽くし称賛に値する。
  • 婚姻: 二と五が応じ合い、世に言う良き伴侶となる。
  • 病気: 矢石に身をさらし、忠義を尽くして殉難し、恩賞や官位を賜る栄誉を得る。
  • 妊娠: 桑の弓と蓬の矢の兆しがあり、男児の誕生を喜ぶ。

変卦原文

遯は、亨(とお)る。小(しょう)貞(ただ)しきに利あり。
恒とは久(きゅう)なり。物事もって久しくその所に居るべからず。故にこれを受くるに遯(とん)をもってす。

変卦の現代語訳

遁卦。通達す。少し占うに利あり。『象辞』に曰く、本卦の上卦は乾(天)、下卦は艮(山)であり、天の下に山がある。天は高く山は遠いのが遁の卦象である。君子はこの卦象を観て、悪をもって悪に報いる方法で小人に対処するのではなく、厳格な態度をとり、官職を退いて自ら隠遁し、小人を遠ざける。

邵雍の解釈

逃避と隠遁、盛極まれば必ず衰える。言行を厳に慎み、時機を待って再起せよ。凶:この卦を得た者は、退くのが宜しく、進むのは宜しくない。退守すれば身を保つことができるが、軽挙妄動すれば災いを招く。言行を慎み、時機を待つべし。

伝統的解卦

この卦は異卦(下艮上乾)が重なったものである。乾は天、艮は山。天の下に山があり、山が高く天が退く。陰が成長し陽が消退する。小人が勢力を得て、君子は退隠し、明哲保身して天下を救う時機をうかがう。

上九

本卦と変卦

六親納甲火山旅六親納甲雷山小過
兄弟Ji Si 己巳▄▄▄▄▄▄▄  ○ →父母Geng Xu 庚戌▄▄           ▄▄
子孫Ji Wei 己未▄▄           ▄▄兄弟Geng Shen 庚申▄▄           ▄▄
妻財Ji You 己酉▄▄▄▄▄▄▄  応官鬼Geng Wu 庚午▄▄▄▄▄▄▄  世
妻財Bing Shen 丙申▄▄▄▄▄▄▄兄弟Bing Shen 丙申▄▄▄▄▄▄▄
兄弟Bing Wu 丙午▄▄           ▄▄官鬼Bing Wu 丙午▄▄           ▄▄
子孫Bing Chen 丙辰▄▄           ▄▄  世父母Bing Chen 丙辰▄▄           ▄▄  応

爻辞原文

上九
鳥その巣を焚(や)く。旅人(りょじん)先(さき)には笑い後(のち)には号(さけ)び咷(よば)う。牛を易(えき)に喪(うしな)う。凶なり。

爻辞の現代語訳

上九:鳥の巣が焼かれ、旅人は初めは笑い、のちに号泣する。牛を易の地で失う、凶。『象辞』に言う:旅人の身でありながら高位に就くのは極めて分不相応であり、その住居が焼かれるのは当然のことである。牛羊を易の地で奪われても、誰も同情し慰めてくれないのは道理である。

邵雍の解釈

凶。この爻を得る者は、初めは良く後で悪くなる。あるいは災難を避けるために転居や改築をし、あるいは目患いがあり、あるいは火災に遭う。官職にある者はその地位を保ち難く、先に得て後に失う憂いがある。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 失うのみで得るところがなく、楽極まって悲しみが生じる。
  • 財運: 小利があって大損する、極めて危険である。
  • 家宅: 巣が覆る危険がある。先に喜び、後に悲しむ。
  • 健康: 丑年生まれの人、あるいは牛に関する事柄は凶。

高島吞象の解釈

  • 時運: 運勢が極限に達し、高すぎて助けがなく、楽極まって悲しみが来る、凶の道である。
  • 戦争: 営火を焼かれ砦を襲われる危険を防ぐべし。
  • 商業: 初めは小利があるが、後に大損し、凶災が重なる。極めて危険である。
  • 功名: 喪失するのみで、得るところはない。
  • 家宅: 巣が覆り卵が累ねられるような危険がある。
  • 婚姻: 初めは成就するが後に散り、先に喜び後に悲しむ、凶。
  • 病気: 丑年生まれの人は必ず凶となる。
  • 妊娠: 女子が生まれるが、育たない。

変卦原文

小過は、亨(とお)る。貞(ただ)しきに利あり。小事(しょうじ)に可(か)なるも大事に可ならず。飛鳥(ひちょう)これが音(ね)を遺(のこ)す。上(のぼ)るに宜(よろ)しからず下(くだ)るに宜(よろ)し。大いに吉。
その信ある者は必ずこれを行なう。故にこれを受くるに小過(しょうか)をもってす。

変卦の現代語訳

小過の卦。亨る、これは吉なる貞卜なり。ただし小事に宜しく、大事に宜しからず。飛鳥の空を過ぐるが如く、鳴き声は耳辺に留まる。人々に警告す:高きに登れば必ず険に遭い、下るに行けば則ち吉なり。《象辞》に曰く:本卦の下卦は艮、艮は山;上卦は震、震は雷。山上に雷あるは小過の卦象なり。君子はこの卦象を観て天雷を畏れ、過失あるを敢えてせず。ゆえに行事は恭謙に過ぎず、喪に居るは哀傷に過ぎず、用度は節倹に過ぎず、ただ適中を得るのみ。

邵雍の解釈

陰順にして陽困しみ、柔軟に事を用いる。謹んで自らを持し、急進するは宜しからず。凶:この卦を得る者は、諸事不利にして小事を行うに宜しく、大事を成すに宜しからず。さらに自身の過失により是非の争訟を招くを防ぐべし。

伝統的解卦

この卦は異卦(下艮上震)が相重なる。艮は山、震は雷、山を過ぎて雷が鳴る、畏れざるべからず。陽を大とし、陰を小とす。卦外の四陰が中二陽を超えているため「小過」と称し、小なるものが過ぎることあり。


三・卦例

このサイトの易経占いツールで卦を立て、この卦を実例の中で確認できます。梅花心易小六壬も利用できます。

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