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易経 · No.58 · 兌為沢

兌為沢(第58卦)の卦辞、爻辞、変卦、伝統的解釈をまとめた易経資料。

本卦

六親納甲兌為沢
父母Ding Wei 丁未▄▄           ▄▄  世
兄弟Ding You 丁酉▄▄▄▄▄▄▄
子孫Ding Hai 丁亥▄▄▄▄▄▄▄
父母Ding Chou 丁丑▄▄           ▄▄  応
妻財Ding Mao 丁卯▄▄▄▄▄▄▄
官鬼Ding Si 丁巳▄▄▄▄▄▄▄

本卦原文

兌(だ)は、亨(とお)る。貞(ただ)しきに利あり。
巽とは入るなり。入りて後にこれを説(よろこ)ぶ。故にこれを受くるに兌(だ)もってす。

本卦の現代語訳

兌卦。亨る。吉なる貞卜。『象辞』に言う:本卦は両兌相重なり、兌は沢にして、両沢相連なり、両水交流するは兌卦の卦象なり。君子はこの卦象を観て、もって広く友を交わり、講習切磋し、見聞を広む。

邵雍の解釈

沢は万物を潤し、二重の喜びあり。群倫を和楽させ、正道を堅く守る。吉:この卦を得る者は、慶事多く、人情和合す。ただし正道を堅守すべし、さもなくば災いに遭う。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 友人の支持あり、大いに珍惜すべし。
  • 財運: 人の助けあり、利益を得るは難からず。
  • 家宅: 友人と同じく住む。友を因として縁を結ぶ。
  • 健康: 馴染みの医師なれば治る。

高島吞象の解釈

  • 時運: 運途は平平にして、衆心を得るを得ば自然と吉を獲ん。ただ三六の年に逢わば不利なり。
  • 商業: 人の扶助を得て、利益を獲るべし。
  • 功名: 友人の力を頼りて成るべし。
  • 戦争: 兵を陂沢の地に屯し、両後営相約束して進撃するに宜し、勝つを得べし。
  • 婚姻: 必ずや旧友にして好し。
  • 家宅: 宅は沢水に臨み、友人と同居するに宜し。
  • 病気: 馴染みの医師を招きて共に診療すべし、方めて全快す。
  • 訴訟: 友人を請うて公評を仰ぐべし、訴訟に及ぶに及ばず。
  • 妊娠: 女児を産む。

伝統的解卦

この卦は同卦(下沢上沢)相重なる。沢は水なり。両沢相連なり、両水交流し、上下相和し、一致団結し、友相助けて歓欣喜悦す。兌は説(悦)なり。ともに剛健の徳を執り、外に柔和の姿を抱き、正道を堅く行いて、民を向上に導く。

  • 大象: 両沢相寄り添い、さらに沢中に月を映す。良辰美景にして、人を怡悦せしむ。
  • 運勢: 悲喜が交錯し、誉れもあれば誹りもありますが、正道を堅守すれば、諸事はまずまず思い通りになります。
  • 事業: 対人関係に長けているため、他者と団結し援助を得ることができます。そのため、諸々の事業は非常に順調に進みます。本人が中正の道を堅持し、純粋な動機を持ち、是非を明らかにし、誠意を持って人と和悦をもって接すれば、前途は明るいでしょう。
  • 商売: 大いに有利です。多方面からの支持を得ることができます。しかし、順調な時こそ慎重かつ注意深い原則を忘れてはならず、特に小人の罠にはまらないよう警戒してください。
  • 名声: 自身の目的が純正であり、かつ真の実力があれば、必ずや多方面からの温かい援助や資金援助を受け、目的を達成することができます。
  • 婚姻: 互いに満足し、成功の可能性は非常に高いです。しかし、決して自分の意見にこだわりすぎてはいけません。
  • 判断: 聡明で朗らかな性格、頭の回転が速く心が優しく、公衆への奉仕に熱心で、組織力に富んでいます。そのため、比較的順調に指導的立場に立つことができます。ただし、必ず中正の原則を堅持し、公平に事を処理し、上司に媚びへつらってはならず、ましてや民衆を虐げてはなりません。常に謙虚な品徳を保ち、特に過信は禁物です。さもなければ悪人に囲まれやすくなります。

二・爻辞

初九

本卦と変卦

六親納甲兌為沢六親納甲沢水困
父母Ding Wei 丁未▄▄           ▄▄  世父母Ding Wei 丁未▄▄           ▄▄
兄弟Ding You 丁酉▄▄▄▄▄▄▄兄弟Ding You 丁酉▄▄▄▄▄▄▄
子孫Ding Hai 丁亥▄▄▄▄▄▄▄子孫Ding Hai 丁亥▄▄▄▄▄▄▄  応
父母Ding Chou 丁丑▄▄           ▄▄  応官鬼Wu Wu 戊午▄▄           ▄▄
妻財Ding Mao 丁卯▄▄▄▄▄▄▄父母Wu Chen 戊辰▄▄▄▄▄▄▄
官鬼Ding Si 丁巳▄▄▄▄▄▄▄  ○ →妻財Wu Yin 戊寅▄▄           ▄▄  世

爻辞原文

初九
和して兌(よろこ)ぶ。吉なり。

爻辞の現代語訳

初九:和睦し歓喜すれば吉なり。《象伝》に言う:和睦し歓喜することが吉であるのは、人々の交わりにおいて疑いがないからである。

邵雍の解釈

吉。この爻を得る者は、人情が和合し、あらゆる計画がことごとく成就します。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 和を以て貴しと為し、諸事はすべて吉となります。
  • 財運: 秋の実りを収穫でき、自然と利益が得られます。
  • 家宅: 和気あいあいとし、家庭は調和して収まるべきところに収まります。
  • 健康: 心を安らかにして憂いなし。

高島吞象の解釈

  • 時運: 運は初爻にあり、和を以て貴しと為し、万事において吉を得ます。
  • 戦争: 師の克つは和にあり、民兵はみな悦び、戦わずして帰服する象があります。
  • 商業: 《兌》は正秋なり。万物が実を結び成就する、天地自然の美しき利なり。商売においてこれを得れば、吉にして利あらざるなし。
  • 功名: 詳和の気を得て、吉となります。
  • 婚姻: 家庭が平和に満ちる楽しみがあります。
  • 家宅: 一門に和気満ちて、吉です。
  • 旅人: 行く者はすぐに帰ってきます。疑う余地はありません。
  • 訴訟: すぐに和解することができます。
  • 妊娠: 女児が生まれる。

変卦原文

困(こん)は、亨(とお)る。貞(ただ)し。大人は吉にして咎なし。言うことあれど信ぜられず。
升りて已(や)まざれば必ず困(くる)しむ。故にこれを受くるに困(こん)をもってす。

変卦の現代語訳

困卦。通泰なり。王公貴族の事を占って吉、災いなし。この卦に遭えば、罪ある者は弁明することができない。《象辞》に曰く:本卦の上卦は兌(沢)、下卦は坎(水)であり、水が沢の底に浸み込んで、沢が涸れ果てるのが困の象である。君子はこの卦象を観て、困難な境遇にあっても自らを励まし、困窮すれどもいよいよ堅く、身を捨て命を捧げて志を遂げる。

邵雍の解釈

沢の上に水なく、困窮す。万物生ぜず、徳を修めて静守す。凶:この卦を得る者は困境に陥り、事々意のごとくならず、正道を堅守して時を待つがよい。

伝統的解卦

この卦は異卦(下坎上兌)が重なる。兌は陰であり沢で悦びを表し、坎は陽であり水で険難を表す。「沢水困」、窮地に陥り、才能を発揮し難いが、正道を堅守して自ら楽しめば、必ず事を成し遂げて窮地を脱することができる。

二九

本卦と変卦

六親納甲兌為沢六親納甲沢雷随
父母Ding Wei 丁未▄▄           ▄▄  世妻財Ding Wei 丁未▄▄           ▄▄  応
兄弟Ding You 丁酉▄▄▄▄▄▄▄官鬼Ding You 丁酉▄▄▄▄▄▄▄
子孫Ding Hai 丁亥▄▄▄▄▄▄▄父母Ding Hai 丁亥▄▄▄▄▄▄▄
父母Ding Chou 丁丑▄▄           ▄▄  応妻財Geng Chen 庚辰▄▄           ▄▄  世
妻財Ding Mao 丁卯▄▄▄▄▄▄▄  ○ →兄弟Geng Yin 庚寅▄▄           ▄▄
官鬼Ding Si 丁巳▄▄▄▄▄▄▄父母Geng Zi 庚子▄▄▄▄▄▄▄

爻辞原文

九二
孚(まこと)もて兌(よろこ)ぶ。吉にして悔(くい)亡(ほろ)ぶ。

爻辞の現代語訳

九二:誠信をもって人に接すれば、吉にして悔いなし。《象辞》に言う:誠信をもって人に接すれば、人もまた熱忱をもってこれに応ず。吉なるゆえんは、互いに信頼が生まれるからである。

邵雍の解釈

吉。この爻を得る者は、ちょうど好運に当たり、万事順調に進む。官にある者は昇進の兆しあり。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 上下心を同じくすれば、自然と吉祥なり。
  • 財運: 信を本とすれば、長く遠くへ及ぶべし。
  • 家宅: 隣と富を共にす。陰陽相合す。
  • 健康: 疑いによる病が癒える。

高島吞象の解釈

  • 時運: 運が中正を得て、衆心交も孚(まこと)あり、ここにおいて吉にして悔いなし。
  • 戦争: 上下一心にして、令出ずればただ行われ、匹夫も奪うべからざるの志あり、戦えば克たざるなく、吉なり。
  • 商業: 貿易は利を逐うといえども、必ず信を本とすべし。信あればすなわち互いに欺くことなく、商売は行き通るべし。
  • 婚姻: 二と五が相孚(あい信)ずるは、これ陰陽相偶するなり、吉。
  • 家宅: 「孚ありて攣如たり、その隣を以て富む」とは、よく隣家と力を合わせて富を致すことをいうなり。
  • 功名: 『中孚』二爻に「我に好爵あり、吾爾とこれを含(とも)にせん」とあり、父子共に昇進するの吉あり。
  • 病気: これ疑いによって病を致すも、今すでに相孚(あい信)ずれば、災悔は自ずから亡ぶ。
  • 妊娠: 女児が生まれる。

変卦原文

随は、元(おお)いに亨(とお)る貞(ただ)しきに利あり。咎(とが)なし。
豫べば必ず随(したが)うことあり。故にこれを受くるに随(ずい)をもってす。

変卦の現代語訳

随卦。大吉にして大利、貞に吉。災いなし。『象伝』に曰く:本卦の下卦は震にして震は雷、上卦は兌にして兌は沢。雷が沢の中にありて、大地は凍り万物は蟄伏するが随の象なり。君子はこの卦象を観て、天時に随って静まる雷に倣い、時に応じて息(いこ)い、日が暮るれば室に入りて休息す。

邵雍の解釈

随順和同し、貞固に自らを持す。機運に従うべきで、専横にしてはならない。小吉:この卦を得る者は、大勢に従うが宜しく、物事は成る。何事も他人と多くコミュニケーションを取れば、名利を共に得られる。決して我執を通すべからず、専横なる者は事成らず。

伝統的解卦

この卦は異卦(下震上兌)が重なったもので、震は雷、動くことを表し、兌は悦び、動いて悦ぶことが「随」である。「随」とは相互に従い合うことを指し、自己に従う物があり、物も自己に従うことができ、互いに疎通する。随は必ず時に従い勢いに順ずるものであり、原則と条件があり、堅貞(節操を固く守ること)を前提とする。

三六

本卦と変卦

六親納甲兌為沢六親納甲沢天夬
父母Ding Wei 丁未▄▄           ▄▄  世兄弟Ding Wei 丁未▄▄           ▄▄
兄弟Ding You 丁酉▄▄▄▄▄▄▄子孫Ding You 丁酉▄▄▄▄▄▄▄  世
子孫Ding Hai 丁亥▄▄▄▄▄▄▄妻財Ding Hai 丁亥▄▄▄▄▄▄▄
父母Ding Chou 丁丑▄▄           ▄▄  応 × →兄弟Jia Chen 甲辰▄▄▄▄▄▄▄
妻財Ding Mao 丁卯▄▄▄▄▄▄▄官鬼Jia Yin 甲寅▄▄▄▄▄▄▄  応
官鬼Ding Si 丁巳▄▄▄▄▄▄▄妻財Jia Zi 甲子▄▄▄▄▄▄▄

爻辞原文

六三
来(きた)りて兌(よろこ)ぶ。凶なり。

爻辞の現代語訳

六三:人を帰服させることをもって喜びとするは、凶険を内に蔵す。《象辞》に言う:力が小さく任が大きく、徳が薄く欲が多ければ、その行うところ必ず不当なり。

邵雍の解釈

凶。この爻を得る者は、不意の災いあり、甚だしきは道を失い身を忘る。官にある者は讒言を聴き信じて辱めを被る憂いあり。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 奔走して求め営むも、成るといえどもまた辱めあり。
  • 財運: 信なき商人は、未来憂うべし。
  • 家宅: 偽りを去り誠を存す。先には合い後には離る。
  • 健康: 外からの禍に用心せよ。

高島吞象の解釈

  • 時運: 人品卑しく、もっぱら媚びへつらい笑顔をもって悦びを求むるは、人に卑しまるるを免れず。
  • 商業: 通商の来たるや、もとより和悦をもって相招くべし。然れども道によらざる悦びにして、互いに欺き合うは、商道の正しきを失うなり。
  • 功名: 走り競うて来たるは、栄ゆといえども必ず敗る。
  • 戦争: 要するにみな烏合の衆を招き寄せるものなり、長く保つべからず。
  • 婚姻: 始めは合い終わりに離るるの象あり。
  • 病気: 病に外邪の祟りあり、その象はもとより凶。三から四へ一爻を隔て、早ければ一日、遅ければ一月にして、快方に向かうを望むべし。
  • 訴訟: これ外来の禍にして、凶なり。
  • 妊娠: 女児が生まれる。

変卦原文

夬(かい)は、王庭(おうてい)に揚(あ)ぐ。孚(まこと)あって号(さけ)ぶ、厲(あやう)きことあり。告(つ)ぐること邑(ゆう)よりす。戎(じゅう)に即(つ)くに利あらず。往くところあるに利あり。
益して止めなければ、かならず決(決壊)す。ゆえにこれを受けるに夬をもってする。

変卦の現代語訳

夬の卦。王庭にて音楽を奏でて舞っている。ある者が「敵の来襲あり」と大声で告げる。邑中から「出撃は不利、厳戒態勢を整えよ」と命令が伝わる。この爻を得れば、外への旅行は吉となる。《象辞》に言う:本卦の上卦は兌で、兌は沢;下卦は乾で、乾は天。すなわち沢の水が上昇して大地を潤すのが夬の卦象である。君子はこの卦象を見て、恵みを下に施し、自らの功績に傲ることなく、またこれを戒めとする。

邵雍の解釈

排除し決断するには、剛毅果断でなければならない。始めは吉なれど終わりは凶、慎んで自重せよ。凶:この卦を得た者は、大運が過ぎ去ろうとしており、困難が訪れる兆しがあるため、警戒を怠らず、言動を慎むべきである。

伝統的解卦

この卦は異卦(下乾上兌)が重なったものである。乾は天にして健、兌は沢にして悦。沢の気が上昇して雨となり、雨が大地に注いで万物を潤す。五陽が一陰を取り除くことは難しくなく、決(取り除く意)すればよいため、名づけて夬(かい)という。夬とは決のことである。

四九

本卦と変卦

六親納甲兌為沢六親納甲水沢節
父母Ding Wei 丁未▄▄           ▄▄  世兄弟Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄
兄弟Ding You 丁酉▄▄▄▄▄▄▄官鬼Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄
子孫Ding Hai 丁亥▄▄▄▄▄▄▄  ○ →父母Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄  応
父母Ding Chou 丁丑▄▄           ▄▄  応官鬼Ding Chou 丁丑▄▄           ▄▄
妻財Ding Mao 丁卯▄▄▄▄▄▄▄子孫Ding Mao 丁卯▄▄▄▄▄▄▄
官鬼Ding Si 丁巳▄▄▄▄▄▄▄妻財Ding Si 丁巳▄▄▄▄▄▄▄  世

爻辞原文

九四
商(はかっ)て兌(よろこ)ぶ。いまだ寧(やす)からず。介疾(かいしつ)あれども喜びあり。

爻辞の現代語訳

九四:関係修復の商議は未だ成らざるも、矛盾は緩和の傾向にあり。《象辞》に言う:九四の喜びとは、慶事があることを指すなり。

邵雍の解釈

平。この爻を得る者は、商売にて利を得、あるいは人口(家族・使用人)が増す。良からぬ者はあるいは疾病あり、望み事成らず。官にある者は要職に居り、昇進の望みあり。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 奮闘してまさに成らんとす、進退を斟酌せよ。
  • 財運: 憂うべき事、商量して解決す。
  • 家宅: 病多くして安んぜず。再三の仲立ちによって成る。
  • 健康: 心神安んぜざるも、喜事ありて胸を開く。

高島吞象の解釈

  • 時運: 運途いまだ定まらず、逆なればすなわち憂いあり、順なればすなわち喜びあり、万事斟酌してこれを行うべし。
  • 商業: 「四は恐れ多し」。商いにて外にある者は、必ず憂い恐れ不安の事あり、商量してこれを出だせば、まさに喜びを得るべし。
  • 功名: 功名は必ず艱苦患難より来たる者にして、初めて大成を得べし。
  • 婚姻: 一時疑い恐れて成らざるも、必ず仲人の再三の説き合わせを待ちて、ついに成合して喜びを得ん。
  • 家宅: 現下、家宅のうち安んぜず、多く疾病を致す。『兌』は秋となす、必ず秋の時を待ちて、平安にして喜びを得るべし。
  • 病気: 病は心神の不安によって生じるものであり、喜ばしい事に出会えば、胸中が晴れやかになり自然と癒えるでしょう。
  • 妊娠: 女児が生まれます。

変卦原文

節(せつ)は亨(とお)る。苦節貞(てい)にすべからず。
渙とは離るるなり。物もって離るるに終るべからず。故にこれを受くるに節(せつ)をもってす。

変卦の現代語訳

节卦(せつか)。願い事は通る。ただし、節制を苦痛とするならば、その吉凶を占うことはできない。『象伝』に言う:本卦の下卦は兌(沢)、上卦は坎(水)である。沢の中に水が満ちているため、堤防を高く築いて防ぐ必要がある。これが節卦の象形である。君子はこの卦象を観て、政綱や制度を確立し、倫理の原則を定めるのである。

邵雍の解釈

操守と節度を保ち、適度なところでとどめること。時勢を推し量り、変化に融通を利かせること。小凶:この卦を得た者は、分相応に自守すべきであり、貪欲であってはならない。諸事において節制が必要であり、度を越してはならない。特に酒色を戒めるべきである。

伝統的解卦

この卦は異卦(下兌・上坎)が重なったものである。兌は沢、坎は水を表す。沢に水があるが、流れる量には限りがあり、多すぎれば沢の外へ溢れ出る。したがって節度が必要であり、ゆえに「節」と名付けられた。節卦と渙卦は相反し、互いに綜卦(裏表の卦)であり、交互に作用し合う。天地に節度があるからこそ常に新しくあり続け、国家に節度があるからこそ安泰であり、個人に節度があるからこそ完璧たり得るのである。

五九

本卦と変卦

六親納甲兌為沢六親納甲雷沢帰妹
父母Ding Wei 丁未▄▄           ▄▄  世父母Geng Xu 庚戌▄▄           ▄▄  応
兄弟Ding You 丁酉▄▄▄▄▄▄▄  ○ →兄弟Geng Shen 庚申▄▄           ▄▄
子孫Ding Hai 丁亥▄▄▄▄▄▄▄官鬼Geng Wu 庚午▄▄▄▄▄▄▄
父母Ding Chou 丁丑▄▄           ▄▄  応父母Ding Chou 丁丑▄▄           ▄▄  世
妻財Ding Mao 丁卯▄▄▄▄▄▄▄妻財Ding Mao 丁卯▄▄▄▄▄▄▄
官鬼Ding Si 丁巳▄▄▄▄▄▄▄官鬼Ding Si 丁巳▄▄▄▄▄▄▄

爻辞原文

九五
剥(はく)に孚(まこと)あれば、厲(あやう)きことあり。

爻辞の現代語訳

九五:侵害を被るも、なお誠信をもって人に接する。《象辞》に曰く:中正の道を行うことで、必ずや凶を転じて吉となす。

邵雍の解釈

凶。この爻を得る者は、時運が振るわず、不意の災いが多い。官にある者は小人の誹謗を受けるでしょう。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 安きに居て危うきを思い、常にその繁栄を得る。
  • 財運: 少々の損失はあるが、確信はなお揺るがない。
  • 家宅: 誠信を第一とする。
  • 健康: 皮膚の病あり、速やかに治療すれば癒える。

高島吞象の解釈

  • 時運: 位はその正を得て、運はその盛んに当たる。盛極まれば則ち剥(はく)す、特に予防すべきであり、常に剥を防ぐことができれば、常に盛んを得るでしょう。
  • 戦争: 「剥において孚(まこと)あり」とは、生死存亡の地において、軍兵が心を一にし、感激して奮勇し、それを剥と思わないことである。誠に衆志成城、何事も克服できないものはないと言える。
  • 商業: 剥とは剥削である。剥削はあるが、深く信じて疑わなければ、必ず大きな利がある。
  • 功名: 天命に安んずることができれば、剥なりといえども必ず亨(とお)る。
  • 病気: 皮膚を剥ぐような病あり、速やかに治療すれば癒える。
  • 妊娠: 女児が生まれます。

変卦原文

帰妹(きまい)は、征(ゆ)けば凶。利するところなし。
漸とは進むなり。進めば必ず帰する所あり。故にこれを受くるに帰妹(きまい)をもってす。

変卦の現代語訳

帰妹卦。この爻を得るならば、出征は凶険なり。利するところなし。『象辞』に曰く、帰妹の卦は、下卦が兌にして兌は沢、上卦が震にして震は雷なり。これ沢の上に雷が鳴り、雷が鳴って水が動くを以て、男女が心動かし相愛して夫婦となるに喩える。これが帰妹の卦象なり。君子はこの卦象を観て、長期にわたる婚姻生活の中で、婚姻の成敗を体察すべし。

邵雍の解釈

常理に反すれば、その道は窮す。事理を明察し、妄念を断絶すべし。凶:この卦を得る者は、困難の時、なすことが常理に違えば災い不断なり。事理を明察し、身を修め養性し、妄念を絶つべし。

伝統的解卦

この卦は異卦(下兌上震)が重なる。震は動、長男となり、兌は説(悦)、少女となる。少女が長男に従い、愛慕の情を生じ、婚姻の動きあり、女を嫁がせる象あり。故に帰妹と名づく。

上六

本卦と変卦

六親納甲兌為沢六親納甲天沢履
父母Ding Wei 丁未▄▄           ▄▄  世 × →兄弟Ren Xu 壬戌▄▄▄▄▄▄▄
兄弟Ding You 丁酉▄▄▄▄▄▄▄子孫Ren Shen 壬申▄▄▄▄▄▄▄  世
子孫Ding Hai 丁亥▄▄▄▄▄▄▄父母Ren Wu 壬午▄▄▄▄▄▄▄
父母Ding Chou 丁丑▄▄           ▄▄  応兄弟Ding Chou 丁丑▄▄           ▄▄
妻財Ding Mao 丁卯▄▄▄▄▄▄▄官鬼Ding Mao 丁卯▄▄▄▄▄▄▄  応
官鬼Ding Si 丁巳▄▄▄▄▄▄▄父母Ding Si 丁巳▄▄▄▄▄▄▄

爻辞原文

上六
引いて兌(よろこ)ぶ。

爻辞の現代語訳

上六:人々を導いて和睦させる。《象辞》に曰く:意図は良好であるものの、必ずしも完全に成功するとは限らない。

邵雍の解釈

平。この爻を得る者は、計画が順調にいかず、憂いに慎重に備えるべきである。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 人の扶助を頼りとする、平々の運気。
  • 財運: 人の導きがあり、わずかながら小利を得る。
  • 家宅: 内憂外患あり。正当な婚召ではないようである。
  • 健康: 内の邪気を解消してこそ、保全することができる。

高島吞象の解釈

  • 時運: 上は卦の終わりであり、行運は極まっている。必ず人の引き立てを借りて行くべきであり、吉も凶もなく、平々にすぎない。
  • 功名: 他人の推薦を受けるとしても、すでに時遅し。
  • 商業: 人の導きを得て初めて取引ができる。上は卦の外にあり、これは海外に進出して経営することである。「未だ光(大いなる光)ならず」とは、大きな利益をまだ得られないことである。
  • 戦争: 《兌》は正西に属し、「兌を引く」とは、相引きいて西に入ることである。これは兵を率いて西に向かい、三と合流して隊を成すが、上爻に当たっており、時期が遅すぎたため、功を奏することは難しいかもしれない。
  • 病気: 内の邪気が引き導かれて外に達すれば、治癒の望みがある。
  • 家宅: 宅地は純陰にして三と体を合わせる。内外に引きずり込まれる患いに防備せよ。
  • 婚姻: 爻象はことごとく柔であり、恐らくは誘惑によって成されたもので、夫婦の正しき礼ではない。
  • 妊娠: 女児が生まれます。

変卦原文

虎の尾を履(ふ)む、人を咥(くら)わず。亨(とお)る。
物畜えられて然る後に礼あり。故にこれを受くるに履(り)をもってす。

変卦の現代語訳

履卦。虎の尾を踏むような危うさがあっても、虎は人を噛まず、吉となります。『象辞』に言う:本卦の上卦は乾(天)、下卦は兌(沢)であり、上には天、下には沢があり、尊卑の別が明らかである。これが履卦の象である。君子はこの卦象を見て、上下の秩序や尊卑を弁え、人々に規律を守らせ、本分を尽くさせるのである。

邵雍の解釈

歩みが不安定で、困難や危険が伴います。謙虚に自らを重んじ、慎んで主人に仕えるべきです。小凶:この卦を得たときは困難な時期であり、多くの障害や不順があります。すべての事において急進は禁物で、順序を追って進み、慎重に行動しなければなりません。

伝統的解卦

この卦は異卦(下卦が兌、上卦が乾)が重なったものです。乾は天、兌は沢であり、天を君主、沢を庶民に例えています。原文には「虎の尾を踏むも、人を咥(か)まず」とあります。そのため、結果は吉となります。君主は上に、民は下にあり、それぞれがしかるべき位置にあります。兌の柔軟さが乾の剛強さに遭うため、踏むところは危険を伴います。「履」は実践を意味し、卦の義は地に足をつけ、着実に前進・向上することを意味します。


三・卦例

このサイトの易経占いツールで卦を立て、この卦を実例の中で確認できます。梅花心易小六壬も利用できます。

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