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易経 · No.60 · 水沢節

水沢節(第60卦)の卦辞、爻辞、変卦、伝統的解釈をまとめた易経資料。

目次 · 75
  1. 本卦
  2. 本卦原文
  3. 本卦の現代語訳
  4. 邵雍の解釈
  5. 傅佩栄の解釈
  6. 高島吞象の解釈
  7. 伝統的解卦
  8. 二・爻辞
  9. 初九
  10. 本卦と変卦
  11. 爻辞原文
  12. 爻辞の現代語訳
  13. 邵雍の解釈
  14. 傅佩栄の解釈
  15. 高島吞象の解釈
  16. 変卦原文
  17. 変卦の現代語訳
  18. 邵雍の解釈
  19. 伝統的解卦
  20. 二九
  21. 本卦と変卦
  22. 爻辞原文
  23. 爻辞の現代語訳
  24. 邵雍の解釈
  25. 傅佩栄の解釈
  26. 高島吞象の解釈
  27. 変卦原文
  28. 変卦の現代語訳
  29. 邵雍の解釈
  30. 伝統的解卦
  31. 三六
  32. 本卦と変卦
  33. 爻辞原文
  34. 爻辞の現代語訳
  35. 邵雍の解釈
  36. 傅佩栄の解釈
  37. 高島吞象の解釈
  38. 変卦原文
  39. 変卦の現代語訳
  40. 邵雍の解釈
  41. 伝統的解卦
  42. 四六
  43. 本卦と変卦
  44. 爻辞原文
  45. 爻辞の現代語訳
  46. 邵雍の解釈
  47. 傅佩栄の解釈
  48. 高島吞象の解釈
  49. 変卦原文
  50. 変卦の現代語訳
  51. 邵雍の解釈
  52. 伝統的解卦
  53. 五九
  54. 本卦と変卦
  55. 爻辞原文
  56. 爻辞の現代語訳
  57. 邵雍の解釈
  58. 傅佩栄の解釈
  59. 高島吞象の解釈
  60. 変卦原文
  61. 変卦の現代語訳
  62. 邵雍の解釈
  63. 伝統的解卦
  64. 上六
  65. 本卦と変卦
  66. 爻辞原文
  67. 爻辞の現代語訳
  68. 邵雍の解釈
  69. 傅佩栄の解釈
  70. 高島吞象の解釈
  71. 変卦原文
  72. 変卦の現代語訳
  73. 邵雍の解釈
  74. 伝統的解卦
  75. 三・卦例

本卦

六親納甲水沢節
兄弟Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄
官鬼Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄
父母Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄  応
官鬼Ding Chou 丁丑▄▄           ▄▄
子孫Ding Mao 丁卯▄▄▄▄▄▄▄
妻財Ding Si 丁巳▄▄▄▄▄▄▄  世

本卦原文

節(せつ)は亨(とお)る。苦節貞(てい)にすべからず。
渙とは離るるなり。物もって離るるに終るべからず。故にこれを受くるに節(せつ)をもってす。

本卦の現代語訳

节卦(せつか)。願い事は通る。ただし、節制を苦痛とするならば、その吉凶を占うことはできない。『象伝』に言う:本卦の下卦は兌(沢)、上卦は坎(水)である。沢の中に水が満ちているため、堤防を高く築いて防ぐ必要がある。これが節卦の象形である。君子はこの卦象を観て、政綱や制度を確立し、倫理の原則を定めるのである。

邵雍の解釈

操守と節度を保ち、適度なところでとどめること。時勢を推し量り、変化に融通を利かせること。小凶:この卦を得た者は、分相応に自守すべきであり、貪欲であってはならない。諸事において節制が必要であり、度を越してはならない。特に酒色を戒めるべきである。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 品行が端正であれば、名誉と利益は自然と成る。
  • 財運: 正道に則って経営すれば、富を求めることができる。
  • 家宅: 富裕な家となる。婚姻は吉祥である。
  • 健康: 飲食を節制すること。

高島吞象の解釈

  • 時運: 運気は中正であり、財源は豊かである。ただし、外に向けては出納を節し、内には身心を節するのが良い。吉。
  • 戦争: 規律ある軍隊である。高いところに登り険しきを渡るも、守るに良く戦うに良い。
  • 商業: 沢に水がある、富饒の象(かたち)。法制が整い、議論も的確であり、利益を得られないことはない。
  • 功名: 品行が端正であり、規律が極めて詳細である。魚や龍が水を得るような象(かたち)である。
  • 婚姻: 《坎》の男と《兌》の女であり、水と沢が互いに助け合う。吉。
  • 家宅: 家は大沢に臨み、家道は富み栄える。吉。
  • 病気: 病気は飲食を節制し、行動を慎むべきである。
  • 妊娠: 男児が生まれる。

伝統的解卦

この卦は異卦(下兌・上坎)が重なったものである。兌は沢、坎は水を表す。沢に水があるが、流れる量には限りがあり、多すぎれば沢の外へ溢れ出る。したがって節度が必要であり、ゆえに「節」と名付けられた。節卦と渙卦は相反し、互いに綜卦(裏表の卦)であり、交互に作用し合う。天地に節度があるからこそ常に新しくあり続け、国家に節度があるからこそ安泰であり、個人に節度があるからこそ完璧たり得るのである。

  • 大象: 沢は池沼であり、坎の水がその上にある。水分を蓄積し、流失しないように制約することを比喩しているが、水位が高すぎれば氾濫となる。
  • 運勢: 志があっても伸ばすことができない。諸事において節制が必要であり、度を越してはならない。特に酒色を戒めるべきである。
  • 事業: 発展期にあるが、決して焦って進んではならない。しかし、好機を逃すべきでもない。利を重んじ義を守る原則を堅持すれば、大胆に行動してよい。そうすれば、事業は引き続き盛んに発展する。
  • 商売: 市場の状況は良く、自分にとって非常に有利である。努力して開拓し、機会を逃してはならない。ただし、頭は冷静に保ち、投資には限度を設け、適度なところでとどめ、引くべき時は引くこと。
  • 名声: 自己を厳しく律し、物事の節度を知り、極端に走らなければ、滞りなく進み、順調に前進できる。
  • 婚姻: 感情に溺れることなく、自然の流れに身を任せれば良い結果が得られる。
  • 判断: 好機を捉え、機会を逃さないこと。行動を適度に節制し、無理をせず、危険を冒さないこと。すべてにおいて頑なにならず、変えるべきは変えるべきである。しかし、節制すべき時は必ず節制しなければならない。節制には限度が必要であり、過度の節制は苦痛となり、良い結果をもたらさない。これを「適得其反(裏目に出る)」と言い、深く注意せねばならない。

二・爻辞

初九

本卦と変卦

六親納甲水沢節六親納甲坎為水
兄弟Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄兄弟Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄  世
官鬼Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄官鬼Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄
父母Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄  応父母Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄
官鬼Ding Chou 丁丑▄▄           ▄▄妻財Wu Wu 戊午▄▄           ▄▄  応
子孫Ding Mao 丁卯▄▄▄▄▄▄▄官鬼Wu Chen 戊辰▄▄▄▄▄▄▄
妻財Ding Si 丁巳▄▄▄▄▄▄▄  世 ○ →子孫Wu Yin 戊寅▄▄           ▄▄

爻辞原文

初九
戸庭(こてい)を出(い)でず。咎(とが)なし。

爻辞の現代語訳

初九:門を閉ざして外出せず、災いなし。『象辞』に言う:門を閉ざして外出しないのは、進んでも行き詰まることを知っているからである。

邵雍の解釈

平。この爻を得た者は、進取には不利であり、現状を維持するのがよい。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 門を閉ざして修行すれば、平穏にして福を得る。
  • 財運: 行商(移動販売)には不利だが、店舗を構えるのはよい。
  • 家宅: 安居してよし。夫婦の調和が取れている。
  • 健康: 安居して静養するのがよい。

高島吞象の解釈

  • 時運: 運気はまだ盛んではない。慎み深く家を守ることで、咎めを免れることができる。
  • 商業: 店舗を構えて商売をするのがよく、行商は適さない。咎めなし。
  • 功名: 現在は門を閉ざして静守すべきであり、四爻に至れば名を成すことができる。
  • 戦争: 離散の直後であり、軍民がようやく集まったばかりなので、英気を養うべきであり、出戦すべきではない。
  • 婚姻: 初九は六四と応じ、四は従順の道を得ている。これは婦道の正しさであり、ゆえに咎めなし。
  • 病気: 安居して静養するのがよく、害はない。
  • 遺失物: まだ家の中にあり、見つけ出すことができる。
  • 旅人: まだ出発していない。
  • 妊娠: 女子が生まれる。

変卦原文

習坎(しゅうかん)は、孚(まこと)あり。維(こ)れ心亨(とお)る。行けば尚(たっと)ぶことあり。
物もって過ぐるに終るべからず。故にこれを受くるに坎(かん)をもってす。

変卦の現代語訳

習坎。孚ありて、心亨る。行けば崇ばるるあり。『象辞』に曰く:水は重ね至るは、習坎なり。君子以て徳行を常とし、教事を行う。

邵雍の解釈

困難と危険、重なる険難に陥る。物事に阻害が多く、慎重に行動すべき。凶:この卦を得る者は、運気が優れず、多難で危険が多く、物事が滞りやすい。言葉と行動を慎み、退守して身を保つのがよい。

伝統的解卦

この卦は同卦(下坎上坎)が相重なる。坎は水であり、険であり、二つの坎が重なることで険の上に険が加わり、険阻重々なり。一陽が二陰に陥る。幸いにも陰虚陽実にして、誠信あれば豁然として貫通す。険難重々といえども、まさに人性の光彩を顕すべし。

二九

本卦と変卦

六親納甲水沢節六親納甲水雷屯
兄弟Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄兄弟Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄
官鬼Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄官鬼Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄  応
父母Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄  応父母Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄
官鬼Ding Chou 丁丑▄▄           ▄▄官鬼Geng Chen 庚辰▄▄           ▄▄
子孫Ding Mao 丁卯▄▄▄▄▄▄▄  ○ →子孫Geng Yin 庚寅▄▄           ▄▄  世
妻財Ding Si 丁巳▄▄▄▄▄▄▄  世兄弟Geng Zi 庚子▄▄▄▄▄▄▄

爻辞原文

九二
門庭(もんてい)を出(い)でず。凶なり。

爻辞の現代語訳

九二:門を閉ざして外出せず、これまた凶あり。『象辞』に言う:門を閉ざして外出せず、これまた凶ありとは、好機を逃し、過ちが極まっているからである。

邵雍の解釈

凶。この爻を得た者は、時運が優れず、物事が背き離れやすい。動くのがよく、静守は適さない。官職にある者は時運を得られない。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 因循にして自ら誤り、好機を逃す。
  • 財運: 好機を逃し、利益を得るどころか損失を被る。
  • 家宅: 家の中に人がおらず、恨みや嘆きを免れがたい。
  • 健康: 歩行が困難である。

高島吞象の解釈

  • 時運: 運気がまさに盛んで好機でもあるが、因循にして自ら誤るのが惜しまれる。
  • 戦争: 進取すべき時であるにもかかわらず、尻込みして固守し外出しないため、かえって凶を招く。
  • 商業: 商品は積み上がり、市場価格も適正で本来は利益が出るはずだが、視野が狭く時期を逸したため、かえって損失を出す。《兌》は毀折(毀損)であり、これは失う象である。
  • 功名: 時機がまだ到来しておらず、名を成すことは難しい。
  • 婚姻: 婚姻の好機を逃し、恨みや嘆きを免れがたい。凶。
  • 家宅: 門戸が閉ざされ、人がいない象。凶。
  • 病気: 病は歩行困難によるもので、麻痺状態に近い。
  • 遺失物: 身内による盗難である。
  • 訴訟: 投獄の災いがある恐れがある。
  • 妊娠: 女子が生まれる。

変卦原文

屯は元(おお)いに亨る。貞(ただ)しきに利あり。用(もっ)て往くところあるなかれ。侯(きみ)を建つるに利あり。
天地の間に盈(み)つる者はただ万物なり。故にこれを受くるに屯(ちゅん)をもってす。屯とは盈つるなり。屯とは物の始めて生ずるなり。

変卦の現代語訳

屯の卦。大吉大利、吉なる占。出かけるのには不利。国を建てて侯を封じるには有利。《象辞》に言う:屯の上卦は坎、坎は雲であり、下卦は震、震は雷である。雲が上を行き、雷が下に動くのが、屯卦の卦象である。君子はこの卦象を観て、雲雷を法とし、雲の恩沢と雷の威厳をもって国事を治める。

邵雍の解釈

万物の始生であり、初めは困難である。先労後逸、苦しみが尽きて甘みが来る。凶:この卦を得る者は、困境に身を置き、守るに宜しく進むに宜しからず。大いに苦労して努力し、困難を排除して初めて通達する。初めは難しく後に解ける象がある。

伝統的解卦

この卦は異卦(下震上坎)が重なったもので、震は雷で「動」をたとえ、坎は雨で「険」をたとえる。雷雨が交加し、険象が次々と生じ、環境は悪劣である。「屯」は本来、植物が大地に芽吹くことを指す。万物の始生は、困難と険阻に満ちているが、時に順い運に応じれば、必ずや生き生きと栄える。

三六

本卦と変卦

六親納甲水沢節六親納甲水天需
兄弟Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄妻財Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄
官鬼Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄兄弟Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄
父母Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄  応子孫Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄  世
官鬼Ding Chou 丁丑▄▄           ▄▄  × →兄弟Jia Chen 甲辰▄▄▄▄▄▄▄
子孫Ding Mao 丁卯▄▄▄▄▄▄▄官鬼Jia Yin 甲寅▄▄▄▄▄▄▄
妻財Ding Si 丁巳▄▄▄▄▄▄▄  世妻財Jia Zi 甲子▄▄▄▄▄▄▄  応

爻辞原文

六三
節若(せつじゃく)たらざれば、嗟若(さじゃく)たり。咎(とが)むることなし。

爻辞の現代語訳

六三:節制しなければ困窮し、困窮に処して悔い改めれば、悔い改めることで災難はなくなる。『象辞』に言う:奢侈によって後悔をもたらすのは、誰の過ちであろうか。

邵雍の解釈

平。この爻を得た者は、苦労が多く収穫が少ない。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 得た後に失い、ため息をつくばかりで致し方ない。
  • 財運: 財を守ることを知らず、自業自得の咎めを受ける。
  • 家宅: 先には富み、後には貧しくなる。先には喜び、後には悲しむ。
  • 健康: 暴飲暴食により病を得る。

高島吞象の解釈

  • 時運: 若い頃に身を慎まなければ、年老いてからただ悲しむことになり、誰を怨むことができようか。
  • 戦争: その場に臨んで策を立てなければ、後悔しても追いつかない。
  • 商業: 利益を得た時に驕り奢って節度がなければ、ひとたび失った時に嘆き悲しむことになり、身から出た錆である。
  • 婚姻: 先に喜び、後に悲しむ兆しがある。
  • 功名: 得るそばから失う。
  • 家宅: 三は「陰」をもって「陽」に居り、地位が不当である。必ずや先には富み、後には貧しくなる。
  • 病気: 病気は飲食の不摂生によるものであるが、幸いにして大きな咎はない。
  • 遺失物: 一過の溜息で済ませ、人を怨む必要はない。
  • 妊娠: 女子が生まれる。

変卦原文

需は孚(まこと)あれば、光(おお)いに亨る。貞なれば吉なり。大川(たいせん)を渉(わた)るに利あり。
物おさなきは養わざるべからず。故にこれを受けるに需(じゅ)をもってす。需とは飲食の道なり。

変卦の現代語訳

需卦。捕虜を得る。大吉にして利あり、吉なる占い。大河を渡るに利あり。《象辞》に曰く:需の上卦は坎(雲)、下卦は乾(天)なり。雲が天上に集まり、時を待ちて雨を降らせるのが需卦の象である。君子はこの卦象を観て、宴飲して安楽に過ごし、時を待ちて動くべし。

邵雍の解釈

坎陥が前にあり、阻まれて進めず。大器晩成であり、収穫は後にある。小凶:この卦を得る者は、時機が未だ熟しておらず、辛抱強く待つ必要がある。急進すればかえって凶を見る。

伝統的解卦

この卦は異卦(下乾上坎)が重なり合う。下卦は乾で剛健の意、上卦は坎で険難・陥入の意。剛をもって険に遭う。穏健妥協が宜しく、軽挙妄動すべからず。時を観て変化を待てば、進むところ必ず成功する。

四六

本卦と変卦

六親納甲水沢節六親納甲兌為沢
兄弟Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄父母Ding Wei 丁未▄▄           ▄▄  世
官鬼Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄兄弟Ding You 丁酉▄▄▄▄▄▄▄
父母Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄  応 × →子孫Ding Hai 丁亥▄▄▄▄▄▄▄
官鬼Ding Chou 丁丑▄▄           ▄▄父母Ding Chou 丁丑▄▄           ▄▄  応
子孫Ding Mao 丁卯▄▄▄▄▄▄▄妻財Ding Mao 丁卯▄▄▄▄▄▄▄
妻財Ding Si 丁巳▄▄▄▄▄▄▄  世官鬼Ding Si 丁巳▄▄▄▄▄▄▄

爻辞原文

六四
安節(あんせつ)す。亨(とお)る。

爻辞の現代語訳

六四:節約と礼にかなった生活に安んずれば、通達す。《象辞》に言う:節約と礼にかなった生活に安んずることが吉となるのは、君主の意に従っているからである。

邵雍の解釈

吉。この爻を得る者は、公を重んじ法を守り、正道に安んじて福祉を得る。官にある者は上司に認められ、昇進の望みがある。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 無事平穏こそが福であり、命に従って行動するとよい。
  • 財運: 他郷に安住し、すべてを節約する。
  • 家宅: 無事平穏であり、夫婦仲は穏やかで順調である。
  • 健康: 病は口より入る。

高島吞象の解釈

  • 時運: 道中無事平穏である。
  • 戦争: 戦上手はまず軍心を安んじる。軍心が安定すれば、危機に臨んでも恐れず、向かうところ功績を挙げる。
  • 商業: 四は外卦の初めにあり、必ず初めて物資を外へ搬出する時である。事ごとに節約できれば、他郷に安住でき、計画する仕事も通達する。
  • 功名: 上の意をよく承れば、必ずや名を成す。
  • 婚姻: 四は「陰」をもって「陰」に居り、位を得て「陽」を承ける。自然と家庭の安全を得る。
  • 家宅: 平穏無事に吉を得る。
  • 病気: 病は口より入る。飲食を節制できれば、自然と安泰になる。
  • 妊娠: 男子が生まれる。

変卦原文

兌(だ)は、亨(とお)る。貞(ただ)しきに利あり。
巽とは入るなり。入りて後にこれを説(よろこ)ぶ。故にこれを受くるに兌(だ)もってす。

変卦の現代語訳

兌卦。亨る。吉なる貞卜。『象辞』に言う:本卦は両兌相重なり、兌は沢にして、両沢相連なり、両水交流するは兌卦の卦象なり。君子はこの卦象を観て、もって広く友を交わり、講習切磋し、見聞を広む。

邵雍の解釈

沢は万物を潤し、二重の喜びあり。群倫を和楽させ、正道を堅く守る。吉:この卦を得る者は、慶事多く、人情和合す。ただし正道を堅守すべし、さもなくば災いに遭う。

伝統的解卦

この卦は同卦(下沢上沢)相重なる。沢は水なり。両沢相連なり、両水交流し、上下相和し、一致団結し、友相助けて歓欣喜悦す。兌は説(悦)なり。ともに剛健の徳を執り、外に柔和の姿を抱き、正道を堅く行いて、民を向上に導く。

五九

本卦と変卦

六親納甲水沢節六親納甲地沢臨
兄弟Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄子孫Gui You 癸酉▄▄           ▄▄
官鬼Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄  ○ →妻財Gui Hai 癸亥▄▄           ▄▄  応
父母Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄  応兄弟Gui Chou 癸丑▄▄           ▄▄
官鬼Ding Chou 丁丑▄▄           ▄▄兄弟Ding Chou 丁丑▄▄           ▄▄
子孫Ding Mao 丁卯▄▄▄▄▄▄▄官鬼Ding Mao 丁卯▄▄▄▄▄▄▄  世
妻財Ding Si 丁巳▄▄▄▄▄▄▄  世父母Ding Si 丁巳▄▄▄▄▄▄▄

爻辞原文

九五
甘節(かんせつ)す。吉なり。往けば尚(たっと)ばるることあり。

爻辞の現代語訳

九五:節約と礼にかなうことを楽しみとすれば、吉である。これをもって行えば、行く先々で必ず人の助けを得る。《象辞》に言う:節約と礼にかなうことを楽しんで吉となるのは、九五の爻が適切な位置にあり、人が徳をもって義を行うように、自然と人々の援助を得られるからである。

邵雍の解釈

吉。この爻を得る者は、ちょうど良い運気にあり、望みごとは成就する。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 苦しみが尽きて甘みが来たり、功名は必ず顕れる。
  • 財運: 米を他郷へ販運すれば、得る利益は必ずや豊かである。
  • 家宅: 正直で節約を重んじ、夫婦は百年長寿を共にする。
  • 健康: 食事制限によって治る。

高島吞象の解釈

  • 時運: 運気はサトウキビを噛むがごとく、老いるほどに甘みを増す。
  • 商業: 農作物の収穫は甘みをもたらすため、穀米の販運を吉とする。「往くところ尊ぶあり(往有尚)」の「往」とは外に行くことであり、特に米を外洋へ販出して販売すれば、必ず利益を得る。
  • 功名: 苦しみが尽きて甘みが来たり、功名は必ず顕れる。
  • 家宅: 五の爻は位を得て、中央は甘となる。この邸宅は位置が中正で、家風は正直であり、節約は称賛に値することを知る。
  • 婚姻: 女子の嫁ぐことを「往(往有尚)」と言い、往いて礼を成すことを意味する。「甘」とは甘んじて従うことであり、夫婦が百年睦み合う兆しがあり、吉である。
  • 病気: 病は中宮にあり、甘(甘み)は中満(お腹の張り)を招くため、節食を第一とすべきである。
  • 妊娠: 男子が生まれる。

変卦原文

臨は、元(おお)いに亨(とお)る貞(ただ)しきに利あり。八月に至りて凶あり。
蠱とは事なり。事ありて後に大なるべし。故にこれを受くるに臨(りん)をもってす。

変卦の現代語訳

臨卦。元亨利貞(大いに通りて正しきに利あり)。八月に至れば凶なることあらん。《象辞》に曰く:本卦の下卦は兌(沢)であり、上卦は坤(地)である。地が沢を見下ろし、沢が地に抱かれているのが臨の卦象である。君子はこの卦象を観て、天下に君臨し、万民を教化し、深い思いやりをもって万民を包容し、その徳行と功業は限りないものとなる。

邵雍の解釈

上が下を臨み、互いに助け合う。安居にあっても危うきを思い、常に慎み戒める。吉:この卦を得る者は、好運が訪れ、諸事意のままになり、人間関係も調和する。ただし、急進しすぎることは避けるべきである。

伝統的解卦

この卦は異卦(下兌上坤)が重なったものである。坤は地、兌は沢であり、地は沢より高く、沢は地に容れられる。君主が天下に親臨し、国を治め民を安んじ、上下が融和することを例えている。

上六

本卦と変卦

六親納甲水沢節六親納甲風沢中孚
兄弟Wu Zi 戊子▄▄           ▄▄  × →官鬼Xin Mao 辛卯▄▄▄▄▄▄▄
官鬼Wu Xu 戊戌▄▄▄▄▄▄▄父母Xin Si 辛巳▄▄▄▄▄▄▄
父母Wu Shen 戊申▄▄           ▄▄  応兄弟Xin Wei 辛未▄▄           ▄▄  世
官鬼Ding Chou 丁丑▄▄           ▄▄兄弟Ding Chou 丁丑▄▄           ▄▄
子孫Ding Mao 丁卯▄▄▄▄▄▄▄官鬼Ding Mao 丁卯▄▄▄▄▄▄▄
妻財Ding Si 丁巳▄▄▄▄▄▄▄  世父母Ding Si 丁巳▄▄▄▄▄▄▄  応

爻辞原文

上六
苦節(くせつ)す。貞(てい)なるときは凶。悔(く)ゆるときは亡(ほろ)ぶ。

爻辞の現代語訳

上六:節約と礼にかなうことを苦痛とすれば、占いは凶。その人は家道が衰退することで後悔する。《象辞》に言う:節約と礼にかなうことを苦痛として占いが凶となるのは、上六の陰爻が一卦の果てに孤立しており、人が行き詰まって通じない境地に陥るようなものだからである。

邵雍の解釈

凶。この爻を得る者は、天の時を得られず、名誉も利益も得られない。官にある者は臨機応変さに欠け、前途は多難である。

傅佩栄の解釈

  • 時運: 臨機応変を知らず、一生貧困である。
  • 財運: 良機を逃し、嘆いても無駄である。
  • 家宅: 開明であることが宜しく、頑迷であれば対処しがたい。
  • 健康: 病勢は危篤である。

高島吞象の解釈

  • 時運: 運路は正しいが、固執して融通が利かず、そのために生涯貧困に苦しむ。
  • 商業: 好機は極まり、臨機応変を知らないため、窮地に陥り、ただ独り苦しむだけである。
  • 功名: その人は正道を固守してへつらわず、困窮の中で節操を守るが、名を成すことは難しい。
  • 戦争: 爻象は重陰で柔弱無力、かつ地が窮まり勢いが極まる時に当たり、ただ苦守して出ないことしか知らず、最後には必ず凶となる。
  • 病気: 陰盛んにして陽衰え、病勢は極まり、凶である。
  • 妊娠: 男児が生まれる。

変卦原文

中孚(ちゅうふ)は、豚魚(とんぎょ)にして吉なり。大川(たいせん)を渉るに利あり。貞(ただ)しきに利あり。
節してこれを信ず。故にこれを受くるに中孚(ちゅうふ)をもってす。

変卦の現代語訳

中孚卦。豚魚を捧げて祀る。供物は薄くとも誠意があれば吉。大河を渡るに利あり。これは吉なる貞卜である。《象辞》に曰く:本卦は上卦が巽(風)、下卦が兌(澤)であり、澤の上に風があって風が吹き波が湧き起こる。これが中孚の卦象である。君子はこの卦象を観て、風化が国を導くことに感じ入り、徳教を第一とし、それによって訴訟を審議し、軽々しく重刑を科さないようにする。

邵雍の解釈

信にして実あり、誠実にして信用あり。知己の助けを得て、望みは達成される。小吉:この卦を得た者は、正直で誠実な者には吉であり、友人の助けを得て物事を成し遂げられる。邪心を抱く者には凶となる。

伝統的解卦

この卦は異卦(下兌上巽)が重なったものである。孚の本来の意味は「孵」であり、卵が孵化する期日が極めて正確であることから、信(まこと)の意味を持つ。卦の形は外実内虚であり、心の中の誠実さを例えているため中孚卦と呼ばれる。これは処世の根本である。


三・卦例

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