易経 · No.61 · 風沢中孚
風沢中孚(第61卦)の卦辞、爻辞、変卦、伝統的解釈をまとめた易経資料。
本卦
| 六親 | 納甲 | 風沢中孚 |
|---|---|---|
| 官鬼 | Xin Mao 辛卯 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 父母 | Xin Si 辛巳 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 兄弟 | Xin Wei 辛未 | ▄▄ ▄▄ 世 |
| 兄弟 | Ding Chou 丁丑 | ▄▄ ▄▄ |
| 官鬼 | Ding Mao 丁卯 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 父母 | Ding Si 丁巳 | ▄▄▄▄▄▄▄ 応 |
本卦原文
中孚(ちゅうふ)は、豚魚(とんぎょ)にして吉なり。大川(たいせん)を渉るに利あり。貞(ただ)しきに利あり。
節してこれを信ず。故にこれを受くるに中孚(ちゅうふ)をもってす。
本卦の現代語訳
中孚卦。豚魚を捧げて祀る。供物は薄くとも誠意があれば吉。大河を渡るに利あり。これは吉なる貞卜である。《象辞》に曰く:本卦は上卦が巽(風)、下卦が兌(澤)であり、澤の上に風があって風が吹き波が湧き起こる。これが中孚の卦象である。君子はこの卦象を観て、風化が国を導くことに感じ入り、徳教を第一とし、それによって訴訟を審議し、軽々しく重刑を科さないようにする。
邵雍の解釈
信にして実あり、誠実にして信用あり。知己の助けを得て、望みは達成される。小吉:この卦を得た者は、正直で誠実な者には吉であり、友人の助けを得て物事を成し遂げられる。邪心を抱く者には凶となる。
傅佩栄の解釈
- 時運: 波風は避けがたく、訴訟に注意せよ。
- 財運: 慎重に行動すれば、災いを免れることができる。
- 家宅: 訴訟の災いあり。婚姻が訴訟を招く。
- 健康: 驚きはあるが危険はない。
高島吞象の解釈
- 時運: 「澤の上に風あり」、波風の危険を防げ。
- 商業: 慎重に協議し、緩やかに行動するのが宜しい。そうすれば害を免れることができる。
- 戦争: 人を殺すことを好まない心を以てすれば、心より信頼され、向かうところ敵なしとなる。
- 功名: 一時的に罪獄が治まらず、功名は望みにくい。
- 婚姻: 婚姻が仇を招き、それによって速やかに投獄される。慎むべきである。
- 家宅: 主に訴訟や投獄の災いがある。
- 病気: 危機的ではあるが、一時的に生命は保たれる。
- 訴訟: 一時的には解決しない。
- 妊娠: 女子を産む。
伝統的解卦
この卦は異卦(下兌上巽)が重なったものである。孚の本来の意味は「孵」であり、卵が孵化する期日が極めて正確であることから、信(まこと)の意味を持つ。卦の形は外実内虚であり、心の中の誠実さを例えているため中孚卦と呼ばれる。これは処世の根本である。
- 大象: 中孚は誠信の意。風が澤の水の上に吹けば、澤の水は必ず応じて波を起こす。共鳴の象である。
- 運勢: 何事も「誠」をもって人に接し、「信」をもって処事すれば諸事すべて吉。心に邪念を抱けば凶。
- 事業: 誠実と忠信の態度で事業に臨めば、大いなる成就を得て順調に発展する。必ず正道の原則に従い続けるべきであり、油断してはならず、また人を過信しすぎてもならない。特に孤高な性格で心を閉ざしてしまうことは避けること。さもなければ事業は失敗に向かう。
- 商売: 処理は極めて適切で、市場の要求に合致している。慎重に経営し、信義を重んじ、質の高いサービスを提供すれば、満足のいく結果が得られる。たとえ危険を冒し困難に挑んでも問題は生じない。
- 名声: 道徳的修養を基礎とした上で、苦労をいとわず知識と本領を学び、絶えず自己を高めなければならない。同時に、困難を恐れず、努力して前進すること。
- 婚姻: 双方が誠信の態度をもって互いに接し、幸福で満ち足りる。
- 判断: 誠信を身を立て世に処す礎石とし、誠実に人に接し、制度を守り、原則を堅持し、和やかで謙虚であれば、いかなる困難も克服できる。問題が生じたとしても、直ちに修復可能である。ただし、人を見抜く眼力を養い、是非を弁える水準を高めることが肝要である。
二・爻辞
初九
本卦と変卦
| 六親 | 納甲 | 風沢中孚 | 六親 | 納甲 | 風水渙 |
|---|---|---|---|---|---|
| 官鬼 | Xin Mao 辛卯 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 父母 | Xin Mao 辛卯 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 父母 | Xin Si 辛巳 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 兄弟 | Xin Si 辛巳 | ▄▄▄▄▄▄▄ 世 |
| 兄弟 | Xin Wei 辛未 | ▄▄ ▄▄ 世 | 子孫 | Xin Wei 辛未 | ▄▄ ▄▄ |
| 兄弟 | Ding Chou 丁丑 | ▄▄ ▄▄ | 兄弟 | Wu Wu 戊午 | ▄▄ ▄▄ |
| 官鬼 | Ding Mao 丁卯 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 子孫 | Wu Chen 戊辰 | ▄▄▄▄▄▄▄ 応 |
| 父母 | Ding Si 丁巳 | ▄▄▄▄▄▄▄ 応 ○ → | 父母 | Wu Yin 戊寅 | ▄▄ ▄▄ |
爻辞原文
初九
虞(はか)れば吉なり。他あれば燕(やす)からず。
爻辞の現代語訳
初九:安神(心を落ち着かせる)の礼を行えば吉。このような異変があれば、当然ながら宴礼は行わない。《象辞》に言う:初九の爻辞に安神の礼を行えば吉とあるのは、先人を慕う願いが変わらないからである。
邵雍の解釈
吉。この爻を得れば、貴人の引き立てを得て、計画は成就する。しかし喜びの中に憂いあり。正道を行い、身を修め養生すべきで、安楽に流れてはならない。官職にある者は推薦を受け、要職に就くことができる。
傅佩栄の解釈
- 時運: 心を専一にすれば、志はついに成る。
- 財運: 本業に安んじていれば、長く経てば必ず得られる。
- 家宅: 転居の必要なし。一に終始する。
- 健康: 病状の急変に厳重に警戒すること。変われば危険である。
高島吞象の解釈
- 時運: 陽剛が令を得ており、心を専一にして他の道に惑わされないため、吉である。
- 商業: 本業に安んじ、他へ移らなければ、冬に入ってから利がある。
- 功名: 志があればついに成る。
- 戦争: 『巽』の初爻に「武人の貞に利あり」とあるように、狩猟に従うも従軍するも、その義は同じである。心を一つにして志を専らにし、勇躍して前進すれば、おのずと勝ちを得る。吉。
- 婚姻: 一に終始する(添い遂げる)象がある。
- 病気: 病気は心配ないが、他の変化を恐れる。変化すれば危うい。
- 訴訟: 別の問題(余計な枝葉)が生じる恐れがある。
- 妊娠: 女子が生まれる。
変卦原文
渙(かん)は、亨(とお)る。王有廟(ゆうびょう)に仮(いた)る。大川(たいせん)を渉(わた)るに利あり。貞(ただ)しきに利あり。
兌とは説ぶなり。説びて後にこれを散らす。故にこれを受くるに渙(かん)をもってす。
変卦の現代語訳
渙卦。亨(通)る。王、宗廟に仮(いた)り、災いを祓い福を祈るためである。大川を渡るに利あり。これは吉なる貞卜である。『象辞』に曰く、本卦の上卦は巽(風)、下卦は坎(水)である。風が水の上を行くのが、渙の卦象である。先王はこの卦象を観て、天帝を祭り、宗廟を建て、天を尊び祖先に孝を尽くす「徳教」を推し進めた。
邵雍の解釈
離散や解消、災害の霧散。機に乗じて変化を観、威を養い鋭気を蓄える。小吉:この卦を得る者は、初めは順調にいかないが、最終的には困難を脱する。万事において慎重であれば百事亨る。我が儘や放縦は忌むべきである。
伝統的解卦
この卦は異卦(下が坎、上が巽)が重なり合う。風が水の上を行き、波を立てて四方に溢れ流れる。渙は、水が流れ散る意味。組織や人心の弛緩・散乱を象徴し、積極的な手段と方法によって克服し、弊害を打破して、危機を安泰へと変えなければならない。
二九
本卦と変卦
| 六親 | 納甲 | 風沢中孚 | 六親 | 納甲 | 風雷益 |
|---|---|---|---|---|---|
| 官鬼 | Xin Mao 辛卯 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 兄弟 | Xin Mao 辛卯 | ▄▄▄▄▄▄▄ 応 |
| 父母 | Xin Si 辛巳 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 子孫 | Xin Si 辛巳 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 兄弟 | Xin Wei 辛未 | ▄▄ ▄▄ 世 | 妻財 | Xin Wei 辛未 | ▄▄ ▄▄ |
| 兄弟 | Ding Chou 丁丑 | ▄▄ ▄▄ | 妻財 | Geng Chen 庚辰 | ▄▄ ▄▄ 世 |
| 官鬼 | Ding Mao 丁卯 | ▄▄▄▄▄▄▄ ○ → | 兄弟 | Geng Yin 庚寅 | ▄▄ ▄▄ |
| 父母 | Ding Si 丁巳 | ▄▄▄▄▄▄▄ 応 | 父母 | Geng Zi 庚子 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
爻辞原文
九二
鳴鶴(めいかく)陰(いん)に在り。其(そ)の子これに和す。我に好爵(こうしゃく)あり。吾(われ)爾(なんじ)とこれを靡(とも)にせん。
爻辞の現代語訳
九二:老いたる鶴が陰で鳴き、その子がこれに和す。私に美酒あり、あなたと共にこれを楽しもう。《象辞》に曰く:子が親に応ずるのは、心が通じ合っているからである。
邵雍の解釈
吉。この爻を得る者は、行くとして利あらざるはなく、財貨を多く得、あるいは子を授かる。官職にある者は昇進する。
傅佩栄の解釈
- 時運: 彼が唱えれば此れが和し、まさに我が意に適う。
- 財運: 主客が心を同じくし、互いに利益を得る。
- 家宅: 家は尊く子は孝行であり、夫が唱えれば婦が従う。
- 健康: 伝染性の疾病あり。
高島吞象の解釈
- 時運: 一方が唱えれば他方が和し、まさに望み通りとなり、運気が亨通する時に当たっている。
- 商業: 主客が心を同じくし、気合が相投じ、互いに利益をもたらす兆しがある。
- 功名: 父子共に昇進する慶びがある。
- 戦争: 上下が一体となり、腕が手を使い、手が指を使うように、一気につながっている。進むときは共に進み、退くときは共に退く兆しがあり、容易には攻略できない。
- 婚姻: 夫婦が和合して楽しむ。
- 病気: 伝染性の病症である。
- 家宅: 必ずや高貴な家であり、かつ孝行で賢明な子を得る。
- 妊娠: 女子が生まれる。
変卦原文
益は、往くところあるに利あり。大川(たいせん)を渉(わた)るに利あり。
損して已(や)まざれば必ず益(ま)す。故にこれを受くるに益(えき)をもってす。
変卦の現代語訳
益卦。これを得るは、往くところあるに利あり、大川を渡るに利あり。《象辞》に曰く:本卦は上卦が巽にして巽は風、下卦が震にして震は雷。風雷激荡するは益の卦象なり。君子はこの卦象を観て、風雷の威力に畏れおののき、もって善を見ればすなわちこれに従い、過ちあればすなわちこれを改む。
邵雍の解釈
上を損して下を益し、奮発して為すあり。進取して名を成し、商賈は利を得る。小吉:この卦を得る者は、まさに好運に当たり、奮発して進図し、人の助けを得て名利を獲得す。
伝統的解卦
この卦は異卦(下震上巽)が重なる。巽は風、震は雷。風雷激荡し、その勢いはますます強く、雷はますます響き、風と雷は相助けて互いに長じ、交々相助益す。この卦は損卦と相反する。これは上を損して下を益するものであり、後者は下を損して上を益するものである。二卦は損益の原則を解き明かしている。
三六
本卦と変卦
| 六親 | 納甲 | 風沢中孚 | 六親 | 納甲 | 風天小畜 |
|---|---|---|---|---|---|
| 官鬼 | Xin Mao 辛卯 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 兄弟 | Xin Mao 辛卯 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 父母 | Xin Si 辛巳 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 子孫 | Xin Si 辛巳 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 兄弟 | Xin Wei 辛未 | ▄▄ ▄▄ 世 | 妻財 | Xin Wei 辛未 | ▄▄ ▄▄ 応 |
| 兄弟 | Ding Chou 丁丑 | ▄▄ ▄▄ × → | 妻財 | Jia Chen 甲辰 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 官鬼 | Ding Mao 丁卯 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 兄弟 | Jia Yin 甲寅 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 父母 | Ding Si 丁巳 | ▄▄▄▄▄▄▄ 応 | 父母 | Jia Zi 甲子 | ▄▄▄▄▄▄▄ 世 |
爻辞原文
六三
敵を得たり。或いは鼓(こ)し或いは罷(や)め、或いは泣き或いは歌う。
爻辞の現代語訳
六三:敵を破り、あるいは太鼓を叩いて追撃し、あるいは凱歌をあげる。知らせが届き、あるいは嬉し涙を流し、あるいは大声で歌う。《象辞》に曰く:太鼓を叩き、あるいは歌うが、爻象から見れば六三は陰爻にして陽位にあり、勝利の中に測り知れない災いが潜んでいることを恐れる。
邵雍の解釈
凶。この爻を得る者は、喜びの中に憂いがあり、物事が二転三転する。官職にある者は同僚と不和になり、進んだ後に退く。
傅佩栄の解釈
- 時運: 運勢が乱れ、栄辱がそれに伴う。
- 財運: 急に成ったり急に敗れたりし、主見を欠く。
- 家宅: 予期せぬ事態を警戒すべし。二転三転して成らず。
- 健康: 体調の良し悪しが定まらず、神仏の加護を祈るべし。
高島吞象の解釈
- 時運: 当面の運路は乱れている。
- 商業: 急に満ちたり欠けたり、成ったり敗れたりするのは、すべて本人の決断が定まらないためである。
- 功名: 昇降が常なく、栄辱がそれに伴う。
- 戦争: 強敵が前にあり、打ち勝つことが難しい。
- 婚姻: 二転三転して成らず。
- 家宅: 家神が安んぜず、物事がひっくり返ることが多い。
- 病気: 病状が重くなったり軽くなったりする。邪気の障りに注意せよ。
- 旅人: 帰ろうとしてまた立ち止まり、一時的に定まらない。
- 遺失物: 得たものを再び失うことを防ぐべし。
- 妊娠: 女子が生まれる。
変卦原文
小畜は亨(とお)る。蜜雲(みつうん)して雨ふらず、わが西郊(せいこう)よりす。
比とは比しむなり。比しめば必ず畜(たくわ)うるところあり。故にこれを受くるに小畜(しょうちく)をもってす。
変卦の現代語訳
小畜卦。吉。西の郊外に濃雲が立ち込めるが、まだ雨は降らない。《象辞》に曰く:上卦は巽、巽は風。下卦は乾、乾は天。和風が地を払い、草木がなびいて生き生きと繁茂する、これが小畜の卦象である。君子はこの卦象を観て、万物を促し育む和風に倣い、自らの徳行を励まし、徳教を推し進める。
邵雍の解釈
力量が薄弱で、前進が阻まれる。才能を隠して時を待ち、忍耐強く進めるべき。小凶:この卦を得る者は、力量が弱く、運勢が変転しやすいため、実力を蓄えて静かに時機を待つのが宜しい。急進すれば危険があり、何事も忍耐強く進める必要がある。
伝統的解卦
この卦は異卦(下乾上巽)が重なったもので、乾は天、巽は風を表す。風が和らぎ雨が順調で、穀物が育つことをたとえ、ゆえに卦名は小畜(蓄)となる。力量に限りがあるため、一定の段階まで発展するのを待ってから初めて大いに為すことができる。
四六
本卦と変卦
| 六親 | 納甲 | 風沢中孚 | 六親 | 納甲 | 天沢履 |
|---|---|---|---|---|---|
| 官鬼 | Xin Mao 辛卯 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 兄弟 | Ren Xu 壬戌 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 父母 | Xin Si 辛巳 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 子孫 | Ren Shen 壬申 | ▄▄▄▄▄▄▄ 世 |
| 兄弟 | Xin Wei 辛未 | ▄▄ ▄▄ 世 × → | 父母 | Ren Wu 壬午 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 兄弟 | Ding Chou 丁丑 | ▄▄ ▄▄ | 兄弟 | Ding Chou 丁丑 | ▄▄ ▄▄ |
| 官鬼 | Ding Mao 丁卯 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 官鬼 | Ding Mao 丁卯 | ▄▄▄▄▄▄▄ 応 |
| 父母 | Ding Si 丁巳 | ▄▄▄▄▄▄▄ 応 | 父母 | Ding Si 丁巳 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
爻辞原文
六四
月望(ぼう)に幾(ちか)し。馬の匹(たぐい)亡(うしな)う。咎(とが)なし。
爻辞の現代語訳
六四:月が満ちる頃、馬を失うが、大きな災いはない。《象辞》に曰く:馬を失うとは、今後は警戒を怠らず、同様の事態を防ぐべきということである。
邵雍の解釈
平。この爻を得る者は、抜擢を受けることができるが、配偶者を失うか、あるいは財産を失う憂いがある。官職にある者は昇進し、要職に就く。
傅佩栄の解釈
- 時運: 満ちるを保ち安泰を維持し、公を先にして私を後にする。
- 財運: 策謀は順調に進み、財源も豊かになる。
- 家宅: 陰気が強すぎる。配偶者を失う恐れがある。
- 健康: 次第に回復に向かう。
高島吞象の解釈
- 時運: 運気は全盛にあり、安泰を保ち私心を去って公に従うことで、咎なしとできる。
- 商業: 「月幾望(月が望に近し)」は財利の豊かさをたとえ、「馬匹亡(馬を失う)」は物事が速やかに解決することをたとえる。吉。
- 官途: 春風に得意となる兆しがある。
- 戦争: 月夜に乗じて進攻するに宜しい。馬の蹄を包み、兵は声を潜めて勇猛に進めば、必ず勝利を得る。
- 婚姻: 願いは十分に叶うが、「匹亡(配偶者を失う)」については、遠からず配偶者を失う災いがあることを恐れる。
- 病気: 三五の期は不利なり。
- 家宅: この宅は陰気が旺盛すぎ、同居人の中に死亡の災いを免れぬ恐れあり。
- 旅人: 十四、五日には帰るべし。
- 妊娠: 女児を生む。
変卦原文
虎の尾を履(ふ)む、人を咥(くら)わず。亨(とお)る。
物畜えられて然る後に礼あり。故にこれを受くるに履(り)をもってす。
変卦の現代語訳
履卦。虎の尾を踏むような危うさがあっても、虎は人を噛まず、吉となります。『象辞』に言う:本卦の上卦は乾(天)、下卦は兌(沢)であり、上には天、下には沢があり、尊卑の別が明らかである。これが履卦の象である。君子はこの卦象を見て、上下の秩序や尊卑を弁え、人々に規律を守らせ、本分を尽くさせるのである。
邵雍の解釈
歩みが不安定で、困難や危険が伴います。謙虚に自らを重んじ、慎んで主人に仕えるべきです。小凶:この卦を得たときは困難な時期であり、多くの障害や不順があります。すべての事において急進は禁物で、順序を追って進み、慎重に行動しなければなりません。
伝統的解卦
この卦は異卦(下卦が兌、上卦が乾)が重なったものです。乾は天、兌は沢であり、天を君主、沢を庶民に例えています。原文には「虎の尾を踏むも、人を咥(か)まず」とあります。そのため、結果は吉となります。君主は上に、民は下にあり、それぞれがしかるべき位置にあります。兌の柔軟さが乾の剛強さに遭うため、踏むところは危険を伴います。「履」は実践を意味し、卦の義は地に足をつけ、着実に前進・向上することを意味します。
五九
本卦と変卦
| 六親 | 納甲 | 風沢中孚 | 六親 | 納甲 | 山沢損 |
|---|---|---|---|---|---|
| 官鬼 | Xin Mao 辛卯 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 官鬼 | Bing Yin 丙寅 | ▄▄▄▄▄▄▄ 応 |
| 父母 | Xin Si 辛巳 | ▄▄▄▄▄▄▄ ○ → | 妻財 | Bing Zi 丙子 | ▄▄ ▄▄ |
| 兄弟 | Xin Wei 辛未 | ▄▄ ▄▄ 世 | 兄弟 | Bing Xu 丙戌 | ▄▄ ▄▄ |
| 兄弟 | Ding Chou 丁丑 | ▄▄ ▄▄ | 兄弟 | Ding Chou 丁丑 | ▄▄ ▄▄ 世 |
| 官鬼 | Ding Mao 丁卯 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 官鬼 | Ding Mao 丁卯 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 父母 | Ding Si 丁巳 | ▄▄▄▄▄▄▄ 応 | 父母 | Ding Si 丁巳 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
爻辞原文
九五
孚(まこと)あり攣如(れんじょ)たり。咎なし。
爻辞の現代語訳
九五:俘虜が群をなし、連なり縛られる。災いなし。『象伝』に言う:誠信を心に抱き、終始一貫している。九五の爻象が示すように、その者の行いはその地位に相応している。
邵雍の解釈
吉。この爻を得る者は、人情和合し、謀事成り、往くとして利あらざるはなし。官にある者は君臣一心となり、上司の賞賛を得ん。
傅佩栄の解釈
- 時運: 運勢中正にして、求めれば必ず応じられる。
- 財運: 同心協力して、経営成る。
- 家宅: 和楽の家、百年好合。
- 健康: 手足不便なるも、病を帯びて延年す。
高島吞象の解釈
- 時運: 求める所、謀る所、心にかなわぬことなし。
- 商業: 同心協力して合弁経営すれば、利益を得ざるはなし。
- 官途: 求めれば必ず成る。
- 戦争: 軍心団結し、戮力同心すれば、おのずから勝ちを制す。
- 婚姻: 二人同心し、百年好合の慶びあり。
- 家宅: 一家和楽にして、百室盈ち止まる。
- 病気: 病は肝風により手足の痙攣を致すも、病を帯びて延年し、いまだ咎なし。
- 訴訟: 桎梏の災いあらんことを防げ。
- 妊娠: 女児を生む。
変卦原文
損は、孚(まこと)あれば、元吉(げんきつ)にして、咎(とが)なし。貞(てい)にすべくして、往くところあるに利あり。曷(なに)をかこれ用いん。二簋(にき)用(もっ)て享(まつ)るべし。
解とは緩(かん)なり。緩(ゆる)くすれば必ず失うところあり。故にこれを受くるに損(そん)をもってす。
変卦の現代語訳
損卦。この卦を得れば、捕獲するものがあり、大吉にして有利であり、災いなく、心にかなう占いとなる。また、行くところ利益がある。人が二つの器の食べ物(簋)を送って寄こすので、口福を享受できる。『象辞』に言う:本卦の上卦は艮、艮は山;下卦は兌、兌は沢であり、山の下に沢があるのが損の卦象である。君子はこの卦象を観て、沢の水が山の麓を浸食するのを戒めとし、自らの憤怒を抑え、貪欲をふさぐ。
邵雍の解釈
下を損して上を益し、盈を損して虚を益す。先難後易、入るを量りて出ずるを制す。小吉:この卦を得る者は、己を損して人を利す。始めは滞りがあるものの、尽くしたことは必ず報われ、災い転じて福となす象である。
伝統的解卦
この卦は二つの単卦(下兌・上艮)が重なったものである。艮は山、兌は沢。山の下に沢があり、大沢が山の根元を浸食する。損と益は表裏一体であり、損の中に益があり、益の中に損がある。この二者の関係には慎重に対処しなければならない。下を損して上を益するやり方は、国を治める上で度を超せば国の根基を損なう。損ずべきは損ずべきだが、必ず力量を量り、適度にとどめる。少しく損じて益するのが最も良い。
上九
本卦と変卦
| 六親 | 納甲 | 風沢中孚 | 六親 | 納甲 | 水沢節 |
|---|---|---|---|---|---|
| 官鬼 | Xin Mao 辛卯 | ▄▄▄▄▄▄▄ ○ → | 兄弟 | Wu Zi 戊子 | ▄▄ ▄▄ |
| 父母 | Xin Si 辛巳 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 官鬼 | Wu Xu 戊戌 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 兄弟 | Xin Wei 辛未 | ▄▄ ▄▄ 世 | 父母 | Wu Shen 戊申 | ▄▄ ▄▄ 応 |
| 兄弟 | Ding Chou 丁丑 | ▄▄ ▄▄ | 官鬼 | Ding Chou 丁丑 | ▄▄ ▄▄ |
| 官鬼 | Ding Mao 丁卯 | ▄▄▄▄▄▄▄ | 子孫 | Ding Mao 丁卯 | ▄▄▄▄▄▄▄ |
| 父母 | Ding Si 丁巳 | ▄▄▄▄▄▄▄ 応 | 妻財 | Ding Si 丁巳 | ▄▄▄▄▄▄▄ 世 |
爻辞原文
上九
翰音(かんおん)天に登る。貞(ただ)しけれど凶。
爻辞の現代語訳
上九:鶏が天に飛ぶ。占えば凶兆。『象伝』に言う:鶏が天に飛ぶ、どうして長く飛び続けられようか。
邵雍の解釈
凶。この爻を得る者は、虚多く実少なく、前途は凶険なり。商売をする者は損失あり。官にある者は近顔の喜びあり。
傅佩栄の解釈
- 時運: 虚にして実なく、人を心配させる。
- 財運: 外強中乾にして、未来憂うべし。
- 家宅: 家業保ち難く、偕老は難しと恐る。
- 健康: 病状甚だ苦し。
高島吞象の解釈
- 時運: 運途また盛んなるも、虚にして実なく、転じて危うさを覚える。
- 商業: 場面すこぶる広く、声勢もまた宏大なるも、外観ありて内蘊なく、久しく保ち難きを恐る。
- 功名: 盗みを働きながら名声を求めるは、君子の恥じる所なり。
- 婚姻: 偕老は難しと恐る。
- 家宅: この宅は牝鶏司晨の象あり、家業保ち難く、凶なり。
- 病気: 肝風痛みを作し、叫び声しきりにして、病状すこぶる苦しく、凶なり。
- 訴訟: 勢い上に向かい控える、凶なり。
- 妊娠: 女児を生む、小児よく泣き、育ち難きを恐る。
変卦原文
節(せつ)は亨(とお)る。苦節貞(てい)にすべからず。
渙とは離るるなり。物もって離るるに終るべからず。故にこれを受くるに節(せつ)をもってす。
変卦の現代語訳
节卦(せつか)。願い事は通る。ただし、節制を苦痛とするならば、その吉凶を占うことはできない。『象伝』に言う:本卦の下卦は兌(沢)、上卦は坎(水)である。沢の中に水が満ちているため、堤防を高く築いて防ぐ必要がある。これが節卦の象形である。君子はこの卦象を観て、政綱や制度を確立し、倫理の原則を定めるのである。
邵雍の解釈
操守と節度を保ち、適度なところでとどめること。時勢を推し量り、変化に融通を利かせること。小凶:この卦を得た者は、分相応に自守すべきであり、貪欲であってはならない。諸事において節制が必要であり、度を越してはならない。特に酒色を戒めるべきである。
伝統的解卦
この卦は異卦(下兌・上坎)が重なったものである。兌は沢、坎は水を表す。沢に水があるが、流れる量には限りがあり、多すぎれば沢の外へ溢れ出る。したがって節度が必要であり、ゆえに「節」と名付けられた。節卦と渙卦は相反し、互いに綜卦(裏表の卦)であり、交互に作用し合う。天地に節度があるからこそ常に新しくあり続け、国家に節度があるからこそ安泰であり、個人に節度があるからこそ完璧たり得るのである。
三・卦例
Share